用語集 特定技能関連

適合特定技能雇用契約てきごうとくていぎのうこようけいやく

適合特定技能雇用契約とは?

適合特定技能雇用契約とは、特定技能所属機関(受入企業)と特定技能外国人が締結する雇用契約のうち、入管法および「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」に定められた基準に適合する雇用契約のことです。

通常の雇用契約とは異なり、分野で定める技能業務への従事、日本人と同等以上の報酬、差別的取扱いの禁止、帰国費用の負担、健康管理の実施など、法定の要件を全て満たす必要があります。

基準に適合しない契約は、在留資格認定証明書交付申請や変更許可申請の不許可原因となります。

実務上は「参考様式第1-5号 特定技能雇用契約書」「参考様式第1-6号 雇用条件書」「参考様式第1-16号 雇用契約に係る重要事項事前説明書」の3点セットで作成し、日本語と本人が十分理解できる言語の併記が必須で、在留資格申請時の中核書類となります。

2025年の運用要領改正で、就労開始遅延時の届出義務新設、定期届出の年1回化、受入機関適格性書類の提出方法変更など、複数の重要な変更が加えられました。

必要になる場面

適合特定技能雇用契約は、特定技能外国人を新規に採用するとき、転職により新たな受入機関が雇用するとき、在留期間を更新するとき、雇用条件を変更するときなど、雇用関係の成立・変更が発生するすべての場面で必要です。

基準の確認と契約書の整備は、採用活動の最初期から進める必要があります。

海外からの新規呼び寄せ時

在留資格認定証明書交付申請の添付書類として、日本語と母国語併記の雇用契約書・雇用条件書・重要事項事前説明書を提出します。本人の署名を得て申請書類一式に添付します。

国内での在留資格変更時

留学生・技能実習修了者等が特定技能1号に変更する場合、在留資格変更許可申請時に適合特定技能雇用契約の締結・提出が必要です。雇用契約の内容と申請書類の整合性が厳しく審査されます。

転職による新規雇用時

特定技能1号・2号の外国人が転職する場合、新たな受入機関との間で適合特定技能雇用契約を締結します。転職後の業務内容・報酬水準が基準を満たしているか、旧雇用主との差異が適正であるかが審査のポイントとなります。

雇用条件の変更時

業務内容・報酬・労働時間等の契約内容に変更が生じた場合、変更後の契約が基準を満たすことを確認し、出入国在留管理庁への随時届出(雇用契約変更届)を14日以内に提出します。

在留期間更新時

特定技能1号は通算5年の中で1年・6ヶ月・4ヶ月ごとの更新が必要で、更新申請時に契約内容が基準を維持していることを確認します。最新の雇用契約書・雇用条件書を添付します。

作成・締結の手順と基準

適合特定技能雇用契約は、省令で定める基準に適合するよう慎重に作成します。

基準に違反する契約は無効扱いとなり、在留資格が許可されないため、法令・運用要領・分野別運用要領の最新版を必ず参照してください。

  1. 出入国在留管理庁の公式サイトから最新の参考様式(第1-5号雇用契約書、第1-6号雇用条件書、第1-16号重要事項事前説明書)をダウンロードします。英語・ベトナム語・インドネシア語・ミャンマー語・フィリピン語・中国語・タイ語・ネパール語・クメール語などの多言語版が公開されており、本人の母国語に合わせて選択します。
  2. 基準適合性を確認しながら記載事項を埋めます。①分野省令で定める技能業務への従事、②所定労働時間が同機関の通常労働者と同等、③報酬が日本人と同等以上、④差別的取扱いの禁止、⑤一時帰国時の有給休暇付与、⑥帰国費用負担、⑦健康・生活状況の把握措置、の7項目を含める必要があります。
  3. 日本人同等以上の報酬額の根拠を準備します。同職種・同経験年数の日本人社員の給与水準との具体的比較資料(賃金規程、給与台帳等)を用意し、「同等以上」であることを客観的に立証できる状態にします。建設分野では地域最低賃金の1.1倍以上で設定する運用が確立しています。
  4. 重要事項事前説明書(参考様式第1-16号)で、雇用条件の全項目を本人が十分理解できる言語で説明します。来日前の事前ガイダンス(3時間以上)の中で、この説明書を用いて口頭説明と質疑応答を行います。本人の理解を確認した上で署名を得ます。
  5. 雇用契約書と雇用条件書に本人・受入機関双方が署名・捺印して契約成立となります。契約書類は在留資格認定証明書交付申請または変更許可申請の添付書類として出入国在留管理庁に提出し、審査を経て在留資格が許可されます。

注意点・よくある失敗

適合特定技能雇用契約は記載不備・基準違反による不許可リスクが高い書類のため、作成段階での慎重なレビューが必須です。

採用予定日の直前で修正が発生すると採用スケジュール全体に影響するため、早期の準備が重要です。

日本人と同等以上の報酬の立証

「同等以上」という抽象表現ではなく、具体的な比較根拠(同職種・同経験年数の日本人社員の実際の給与)を示す必要があります。日本人社員がいない場合は、ハローワークでの求人票、厚生労働省の賃金統計等を用いた合理的な算定根拠の準備が必要です。

母国語併記の漏れ

雇用契約書・雇用条件書は、日本語のみで作成すると本人の理解確認ができず、基準違反として不許可になります。必ず日本語と本人が十分理解できる言語の併記版を作成し、双方に署名を得る必要があります。

業務内容の分野適合性

契約書に記載する業務内容が、移行先分野の業務区分に該当するかを確認します。工業製品製造業17区分、建設3区分、鉄道5区分など分野により業務区分数が異なり、区分外の業務を多く含むと基準違反となります。

帰国費用負担の明記

外国人が契約終了後に帰国費用を負担できない場合、受入機関が負担することを契約書に明記する必要があります。この条項が欠落していると基準違反となります。

2025年改正後の様式使用

参考様式は継続的に改訂されており、2025年4月の制度改正後に新様式への更新がありました。古い様式を使用すると再提出を求められる可能性があるため、必ず最新版を使用してください。建設分野では月給制の明示、給与計算方法の詳細記載等、分野特有の要件も加わります。

類似書類との違い

適合特定技能雇用契約に関連する書類として、通常の労働契約書、重要事項事前説明書、労働条件通知書などがあります。

それぞれ役割と根拠法令が異なるため、すべてを揃えて整備する必要があります。

書類根拠法令役割
特定技能雇用契約書(様式第1-5号)入管法・基準省令特定技能固有の雇用条件を定める
雇用条件書(様式第1-6号)労働基準法+入管法労働条件の詳細(労働時間・賃金・休日等)
雇用契約に係る重要事項事前説明書(様式第1-16号)入管法・基準省令来日前の本人理解確保
労働条件通知書労働基準法15条日本の労働法令上の必須書類
建設分野固有書類建設分野運用要領月給制・給与計算詳細・昇給の仕組み

特定技能雇用契約書・雇用条件書は、労働基準法上の労働条件通知書の要件も兼ねる性格を持ち、両法令の要件を同時に満たす必要があります。

重要事項事前説明書は、本人が来日前に契約内容を十分理解することを担保するため、事前ガイダンスの中で説明して署名を得る点が特徴です。

よくある質問

Q. 日本人と同等以上の報酬はどう立証すればよいですか?

A. 同職種・同経験年数の日本人社員の給与水準を、賃金規程・給与台帳・源泉徴収票等で示すのが基本です。

日本人社員がいない場合は、厚生労働省の賃金統計・求人情報誌の相場・ハローワーク求人票の内容などから合理的に算定し、算定根拠を説明書類として申請に添付します。

「同等以上」の立証不十分は不許可の主要原因の一つで、採用前から給与体系の設計・説明準備を進めることが重要です。

Q. 母国語併記の様式はどこで入手できますか?

A. 出入国在留管理庁の公式サイト「在留資格『特定技能』に関する参考様式」ページで、英語・ベトナム語・インドネシア語・ミャンマー語・フィリピン語・中国語・タイ語・ネパール語・クメール語など複数言語の併記様式が公開されています。

採用する外国人の母国語に合わせて選択し、PDFまたはExcel形式でダウンロードして使用します。

建設分野など分野固有の追加要件がある場合は、分野所管省庁のサイトで追加書類を確認してください。

Q. 派遣形態での雇用は認められますか?

A. 農業分野と漁業分野のみ、特定技能外国人を派遣形態で雇用することが認められています。その他の14分野では直接雇用が原則で、派遣は認められません。

派遣を行う場合は、雇用契約書に派遣先・派遣期間を明確に定め、派遣先も特定技能所属機関の基準を満たす必要があります。

その他分野で派遣形態の契約を締結すると基準違反となり不許可の原因となります。

Q. 契約内容を変更した場合の届出はいつまでに行いますか?

A. 雇用契約の重要な変更(業務内容・報酬・労働時間等)が発生した場合、発生日から14日以内に出入国在留管理庁へ「特定技能雇用契約変更届」(参考様式第3-1号)を提出する必要があります。

軽微な変更(役職名の変更等)であれば更新申請時にまとめて届けることも可能ですが、基準に影響する変更は14日以内の届出が原則です。

怠ると基準違反として登録取消・受入停止のリスクがあります。

Q. 建設分野の雇用契約は他分野と何が違いますか?

A. 建設分野では①月給制による安定給与の支払い義務、②技能習熟に応じた昇給の仕組み、③地域最低賃金の1.1倍以上の給与水準、④建設キャリアアップシステム(CCUS)への事業者・技能者両方の登録、⑤国土交通大臣による受入れ計画認定など、他分野にはない追加要件があります。

雇用契約書にはこれらの要件を反映した記載が必要で、日給月給制の契約は認められません。

建設分野の採用では、一般の雇用契約書テンプレートではなく、JACが提供する建設分野向けのテンプレートを使用することが推奨されます。

参考資料

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