特定技能19分野とは?
特定技能19分野とは、在留資格「特定技能」で外国人を受け入れ可能な特定産業分野の総称です。
2019年の制度創設時は14分野からスタートし、2022年の製造業統合・2024年の4分野追加を経て16分野となり、2026年1月23日の閣議決定で新たに3分野が追加されて合計19分野に拡大されました。日本の人手不足分野への外国人材受入を促進する国家的な枠組みです。
現在は既存16分野(稼働中)と新規3分野(リネンサプライ・物流倉庫・資源循環)の合計19分野構成となっています。新規3分野については技能評価試験の整備等が必要で、実際の採用開始は2027年頃の見込みです。
2024年3月の閣議決定で受入見込み数も再設定され、5年間で合計123万人超という大規模な外国人受入計画となっています。
制度の背景
特定技能制度は、日本の深刻な人手不足に対応するために2019年4月に新設された在留資格です。各分野の運用は所管省庁(厚労省・国交省・農水省・経産省等)が分野別運用方針を策定し、技能評価試験の実施・受入機関の指導・受入見込数の管理を担当しています。
分野拡大の歴史は、2019年の14分野(うち製造業は3分野)→2022年の統合で12分野(製造業3分野が工業製品製造業に統合)→2024年3月で16分野(4分野追加)→2026年1月で19分野(3分野追加)と段階的に拡充されてきました。
今後も人手不足が深刻な業界からの追加要望に応じて、さらなる拡大が検討される可能性があります。
主な種類と要件
19分野は制度開始時期で大きく「旧12分野」「2024年追加4分野」「2026年追加3分野」の3グループに分類されます。各分野には業務区分が定められ、技能評価試験に合格した外国人が受入対象となります。
① 既存12分野(2019年開始)
| 所管省庁 | 分野名 |
|---|---|
| 厚生労働省 | 介護、ビルクリーニング |
| 経済産業省 | 工業製品製造業(旧素形材・産業機械・電気電子情報の3分野が2022年に統合) |
| 国土交通省 | 建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊 |
| 農林水産省 | 農業、漁業、飲食料品製造業、外食業 |
制度創設時から稼働している中核12分野です。
特に介護・外食業・飲食料品製造業・建設・農業は受入人数が多く、特定技能制度の主力となっています。工業製品製造業は2022年に3分野が統合されたもので、業務区分は19区分に細分化されています。
② 2024年追加4分野
| 分野名 | 5年間の受入見込数 |
|---|---|
| 自動車運送業 | 24,500人(バス運転者・タクシー運転者・トラック運転者) |
| 鉄道 | 3,800人(運転士・車掌・駅係員・軌道整備等) |
| 林業 | 1,000人(育林・素材生産・林業種苗育成等) |
| 木材産業 | 5,000人(木材加工・流通等) |
2024年3月29日の閣議決定で追加された4分野です。
自動車運送業は2024年の「物流2024年問題」に対応する形で新設され、トラックドライバー不足への対策として大きな期待が寄せられています。鉄道も運転士・車掌などの運輸係員を含む点で画期的な拡大となりました。
③ 2026年追加3分野
| 分野名 | 対象業務 |
|---|---|
| リネンサプライ | ホテル・病院・介護施設等へのシーツ・タオル等のリネン供給業務 |
| 物流倉庫 | 物流倉庫の管理・荷役・ピッキング等の業務 |
| 資源循環 | 廃棄物処理・リサイクル関連の業務 |
2026年1月23日の閣議決定で新たに追加された分野です。いずれも人手不足が深刻な業界で、物流倉庫はEコマース拡大に伴う需要増、資源循環はSDGs対応、リネンサプライは観光・医療・介護の下支え産業として重要視されています。
技能評価試験の整備が必要なため、実際の受入開始は2027年頃の見込みです。
立場別の実務ポイント
特定技能19分野の活用には、受入企業・外国人本人・登録支援機関それぞれの立場で押さえるべきポイントがあります。
受入企業・業界団体
所管省庁のガイドライン確認
各分野の運用要領・分野別ガイドラインを所管省庁のウェブサイトで確認します。受入企業の要件、業務区分、適正な処遇(日本人と同等以上の報酬)、支援義務など、分野ごとに細かい規定があります。他分野の基準を流用せず、必ず自社分野の要領に従うことが重要です。
業界団体の協議会加入
多くの分野で、受入企業は業界団体の協議会への加入が求められます。協議会を通じて情報共有・指導・受入見込数の調整などが行われます。受入開始前に協議会への加入手続きを完了させることが必要です。
外国人本人
技能評価試験の受験
各分野の技能評価試験と日本語試験(JLPT N4以上または JFT-Basic)に合格することが必要です。分野ごとに試験内容が異なり、海外でも受験可能な試験もあります。合格証明書は在留資格申請時に提出します。
技能実習からの移行
技能実習2号・3号を良好に修了した場合は、試験免除で特定技能1号に移行できるケースがあります。技能実習の職種と特定技能の分野が対応している場合に限られ、詳細な対応関係は業種ごとに定められています。
類似制度との比較
特定技能は技能実習や他の就労系在留資格と対比して理解することが重要です。分野設定の考え方や受入要件の違いが整理できます。
| 比較項目 | 特定技能1号(19分野) | 技能実習 | 技人国 |
|---|---|---|---|
| 目的 | 人手不足分野への即戦力受入 | 技能移転による国際協力 | 専門知識・技術の活用 |
| 対象分野 | 19分野(限定列挙) | 約90職種 | 分野無制限(業務内容で判断) |
| 要件 | 技能試験+日本語試験 | 技能実習計画の認定 | 学歴または実務経験 |
| 在留期間 | 通算5年 | 最長5年 | 5年・3年・1年・3月 |
| 家族帯同 | 不可(2号は可) | 不可 | 可 |
特定技能19分野は人手不足対応の即戦力受入制度で、分野が閣議決定で限定列挙される点が特徴です。
技能実習と異なり労働者としての受入が明確で、技人国と異なり現場作業を含む業務が対象となります。育成就労制度(2027年施行予定)との連携により、今後さらに体系的な外国人受入制度に発展する見込みです。
よくある質問
Q. 新規3分野(2026年追加)はいつから受入可能ですか?
A. 閣議決定は2026年1月23日に行われましたが、実際の受入開始は2027年頃の見込みです。技能評価試験の整備・試験問題の作成・実施体制の整備などの準備期間が必要です。受入予定企業は、所管省庁や業界団体の発表を注視することが推奨されます。
準備期間中は受入企業として登録支援機関の確保・社内体制の整備・候補者情報の収集などを進めることで、受入開始と同時にスムーズに採用を始められます。
Q. どの分野が受入人数が多いですか?
A. 2025年現在、飲食料品製造業・外食業・介護・建設・農業が特定技能受入の主力分野となっています。特に飲食料品製造業と外食業は労働集約的な業務が多く、多くの外国人を受け入れています。
2024年追加の自動車運送業も今後の拡大が見込まれており、5年間で24,500人の受入見込数が設定されています。物流業界の人手不足を外国人材で補う動きが加速することが予想されます。
Q. 特定技能2号に移行できる分野は?
A. 以前は建設・造船・舶用工業の2分野のみでしたが、2023年8月の閣議決定で大幅に拡大され、現在は介護以外のほぼ全分野で特定技能2号への移行が可能です。介護は在留資格「介護」への移行ルートが別途用意されています。
特定技能2号は在留期間の上限なし・家族帯同可能など大きな優遇があるため、長期的な定着を目指す外国人にとって重要なステップとなります。2号への移行には熟練技能試験の合格と実務経験が必要です。
Q. 分野間の転職はできますか?
A. 原則として同一分野内での転職は可能ですが、分野をまたぐ転職(例:介護→建設)の場合は、新しい分野の技能試験に合格する必要があります。そのため分野間の転職はハードルが高くなります。
業務区分間の異動(工業製品製造業内での業務変更など)は同分野内の扱いとなるケースが多いです。詳細は受入企業または登録支援機関を通じて、入管に相談することが推奨されます。