用語集 特定技能関連

造船・舶用工業分野(特定技能)ぞうせんはくようこうぎょうぶんや

造船・舶用工業分野(特定技能)とは?

造船・舶用工業分野(特定技能)とは、在留資格「特定技能」の対象となる19分野の一つで、日本の造船業および舶用機器製造業における人材不足に対応するための分野です。

所管省庁は国土交通省(海事局船舶産業課)で、2019年の制度創設時から対象分野として運用されています。特定技能1号・2号の両方が設定されており、建設分野と並んで特定技能2号の先行導入分野として位置づけられています。

業務区分は2024年3月の閣議決定で従来の6区分から「造船」「舶用機械」「舶用電気電子機器」の3区分に再編され、柔軟な人材活用が可能となりました。

受入見込数は令和6年(2024年)からの5年間で36,000人と設定されており、日本の造船業の国際競争力維持に重要な役割を果たしています。

制度の背景

造船・舶用工業分野の特定技能は、日本の造船業における深刻な人材不足国際競争力の低下への対応として設けられました。日本の造船業は中国・韓国との激しい国際競争下にあり、熟練技能者の高齢化と若手人材の減少が大きな課題となっています。

試験実施機関はClassNK(一般財団法人日本海事協会)で、造船業界の技術水準の国際的信用を保ちつつ、外国人材の受入れを進める仕組みとなっています。

業務区分の再編(2024年3月)により、従来の細分化された6区分(溶接・塗装・鉄工・仕上げ・機械加工・電気機器組立て)が3つの大区分に統合され、企業内での柔軟な業務配置が可能になりました。

主な種類と要件

造船・舶用工業分野での特定技能活用には、業務区分・取得要件・受入機関要件の3つを理解することが重要です。

① 業務区分(3区分)

造船船舶の製造・艤装・修繕工程に係る作業全般。溶接・塗装・鉄工・仕上げ・機械加工などの作業
舶用機械船舶に搭載される機械類(エンジン・ボイラー・ポンプ等)の製造・組立て
舶用電気電子機器船舶の電気系統・電子制御機器・航海計器等の製造・組立て

2024年3月の再編により、従来の6区分(溶接・塗装・鉄工・仕上げ・機械加工・電気機器組立て)が3つの大区分に統合されました。

同じ造船所内でも従事可能な業務範囲が広がり、外国人材の柔軟な配置が可能になっています。特定技能2号試験は溶接・塗装・鉄工の3試験が先行実施されています。

② 取得要件(外国人本人)

特定技能1号造船・舶用工業分野特定技能1号試験日本語試験(JLPT N4以上またはJFT-Basic)
特定技能2号特定技能2号試験(溶接・塗装・鉄工)+実務経験(監督者・班長経験)
試験免除(1号)造船関係職種の技能実習2号良好修了者は試験免除
試験実施機関ClassNK(一般財団法人日本海事協会)

試験はClassNKが実施し、申請者の希望する場所に試験監督者を派遣する方式も可能で、企業現場での受験が実現できます。技能実習からの移行も活発で、造船関連の溶接・塗装等の技能実習経験者は試験免除で特定技能1号に移行できます。

③ 受入機関(企業)の要件

協議会加入造船・舶用工業分野特定技能協議会への加入。受入開始から4ヶ月以内に加入必須
雇用形態直接雇用のみ(派遣雇用は不可)
業種要件造船業・舶用工業に該当する事業者であること
支援体制10項目の特定技能外国人支援計画の実施(登録支援機関への委託可)
報酬日本人と同等額以上の報酬

造船・舶用工業分野では派遣雇用が認められない点が他の製造業分野との違いです。造船所での直接雇用のみが認められ、人材会社を通じた派遣は不可です。

2024年6月15日以降、初回受入時には協議会加入証明書の添付が必要となり、手続きがより厳格化されています。

立場別の実務ポイント

造船・舶用工業分野の特定技能活用には、受入造船会社・外国人本人・業界団体それぞれで押さえるべき実務ポイントがあります。

受入企業(造船会社)

協議会加入のタイミング管理

受入開始から4ヶ月以内の協議会加入が義務付けられているため、入社スケジュールと合わせて加入手続きを進めることが重要です。2024年6月以降は初回受入時の申請段階で加入証明が必要なため、採用活動開始前から加入準備を進めることが推奨されます。

2号移行によるキャリア形成

溶接・塗装・鉄工の熟練工として特定技能2号への移行支援を計画することが、長期的な人材定着につながります。2号取得により家族帯同が可能となり、優秀な外国人技能者の定着と育成が実現できます。企業としては2号試験の受験機会を提供するなどの支援体制整備が有効です。

外国人本人

溶接・塗装等の技能習得

日本の造船業で必要とされる溶接技能・塗装技能・鉄工技能は、国際的にも通用する熟練技能です。特定技能1号から2号へのステップアップを目指し、現場での継続的な技能向上が重要となります。日本の造船技術は世界トップクラスであり、習得した技能は母国でも活かせる貴重な資産となります。

労働安全への配慮

造船現場は高所作業・重量物取扱い・火気使用など安全リスクが高い職場です。日本語での安全指示の理解が重要で、N4レベル以上の日本語能力を継続的に向上させることが安全確保につながります。労働災害防止のための訓練や講習への積極的な参加が求められます。

類似制度との比較

造船業には特定技能以外にも複数の外国人受入制度があります。制度間の違いを整理することで、目的に応じた選択が可能となります。

比較項目特定技能1号特定技能2号技能実習(造船関係)
在留期間通算5年無期限最長5年
家族帯同不可不可
業務範囲3区分(横断的に可能)3区分+監督業務個別職種
派遣雇用不可(直接雇用のみ)不可(直接雇用のみ)不可
要件試験+協議会加入試験+実務経験技能実習計画認定

造船業界のキャリアパスは技能実習→特定技能1号→特定技能2号のステップが確立されています。いずれも派遣不可の直接雇用が共通の要件で、造船所との継続的な関係が前提です。

2号の先行導入分野として長期的な技能者育成が可能な点が、製造業系他分野との大きな違いです。

よくある質問

Q. 派遣雇用はなぜ認められないのですか?

A. 造船業の作業は船舶という特殊環境での継続的な工程に従事することが求められ、派遣による短期的・断続的な就労には適さないためです。船舶製造は工程が長期にわたり、同じ作業員が一貫して担当することで品質が保たれるという業界特性があります。

また、技能継承と定着の観点からも、造船会社との直接雇用関係が望ましいとされています。派遣を認めると技能向上のインセンティブが低下し、業界全体の人材育成に悪影響が出る懸念があります。

Q. 業務区分が3つに統合されて何が変わりましたか?

A. 従来は6区分(溶接・塗装・鉄工・仕上げ・機械加工・電気機器組立て)で業務が細分化されていたため、同じ造船所内でも従事できる業務が限定的でした。3区分への統合により、造船区分内では溶接も塗装も鉄工も柔軟に担当可能となり、人材配置の自由度が大幅に高まりました。

ただし、試験区分は従来通り細分化されているため、それぞれの試験合格は必要です。例えば造船区分内で溶接作業を行うには溶接試験の合格が必要となります。業務の柔軟性と技能の専門性を両立する設計です。

Q. ClassNKとはどのような機関ですか?

A. ClassNK(一般財団法人日本海事協会)は船舶の検査・分類・認証を行う日本の船級協会で、国際的に広く認知されている機関です。造船・舶用工業分野の特定技能試験の実施機関としても指定されており、公正かつ国際水準に即した試験運営を担っています。

試験は国内外で随時実施されており、大規模造船所に試験監督者を派遣する形での受験も可能です。ClassNKの関与により、試験の信頼性と国際通用性が確保されています。

Q. 特定技能2号への移行はどうすればよいですか?

A. 現在実施されている特定技能2号試験は溶接・塗装・鉄工の3種類です。これらの試験に合格し、一定期間の監督者・班長としての実務経験を積むことで2号への移行が可能です。2号取得により在留期間無制限・家族帯同が認められます。

他の業務区分(舶用機械・舶用電気電子機器)の2号試験は順次整備される見込みです。受入企業としては、1号取得者を計画的に監督者・班長として育成し、2号試験への挑戦を支援することで、長期的な人材確保が実現できます。

参考資料

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