用語集 特定技能関連

工業製品製造業分野(特定技能)こうぎょうせいひんせいぞうぎょうぶんや

工業製品製造業分野(特定技能)とは?

工業製品製造業分野(特定技能)とは、在留資格「特定技能」の対象となる19分野の一つで、日本の製造業における人材不足に対応するための分野です。

所管省庁は経済産業省で、2022年5月に従来の3分野(素形材産業・産業機械製造業・電気電子情報関連産業)が統合され、2024年3月の見直しで名称が「工業製品製造業」に変更されるとともに対象業種が大幅に拡大されました。

受入見込数は令和6年(2024年)からの5年間で約17万人と大幅に拡大され、特定技能分野の中でも最大級の規模となっています。特定技能1号(通算5年)と特定技能2号(在留期間無制限)の両方が設定されており、長期的な人材定着が可能な分野です。

制度の背景

工業製品製造業分野の特定技能は、日本の製造業の深刻な人材不足への対応と、製造業の国際競争力維持を目的に設けられました。2019年の制度創設時は素形材・産業機械・電気電子情報の3分野に分かれていましたが、運用の簡素化と事業者ニーズへの対応のため段階的に再編されてきました。

2022年5月の3分野統合では、技能評価試験が19区分に整理され、受入企業の区分判定の簡素化が図られました。さらに、2024年3月には対象業種が大幅拡大され、紙・段ボール製造業、コンクリート製品製造業、陶磁器工業製品製造業、紡織物・衣服等製造業、縫製業などが新たに加わりました。製造業のほぼ全域をカバーする包括的な分野となっています。

主な種類と要件

工業製品製造業分野では、業務区分・技能評価試験区分・受入機関要件の3つを理解することが重要です。製造業全般をカバーする広範な分野のため、自社業務がどの区分に該当するかを確認する必要があります。

① 業務区分(特定技能1号:10区分)

従来からの区分①機械金属加工 ②電気電子機器組立て ③金属表面処理
2024年追加区分④紙・段ボール製造 ⑤コンクリート製品製造 ⑥RPF(固形燃料)製造 ⑦陶磁器工業製品製造 ⑧紡織物・衣服等製造 ⑨縫製 ⑩その他の製造
特定技能2号機械金属加工・電気電子機器組立て・金属表面処理の3区分

特定技能1号の業務区分は2024年3月の拡大で10区分となり、日本の製造業のほぼ全域をカバーするようになりました。

特定技能2号は従来から稼働している3区分のみで、追加区分の2号移行は順次整備される見込みです。各業務区分には複数の技能評価試験区分が紐づいており、詳細な業務分類が行われます。

② 技能評価試験(19区分)

金属・機械系鋳造・鍛造・ダイカスト・機械加工・金属プレス・鉄工・工場板金・溶接・機械検査・機械保全
表面処理系めっき・アルミニウム陽極酸化処理・仕上げ・塗装
電気電子系電子機器組立て・電気機器組立て・プリント配線板製造
その他プラスチック成形・工業包装

技能評価試験は19区分に細分化されており、自分の業務に対応する試験を受験します。試験は製造分野特定技能1号評価試験として実施され、学科試験と実技試験の両方が課されます。

2026年度からは一般社団法人工業製品製造技能人材機構(JAIM)が試験実施主体となる予定です。

③ 受入機関(企業)の要件

協議会加入製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会(経済産業省設置)への加入が必須
業種要件日本標準産業分類に基づく所定の製造業に該当すること
報酬日本人と同等額以上の報酬
支援体制10項目の特定技能外国人支援計画の実施(登録支援機関への委託可)

受入機関は日本標準産業分類に基づき、対象となる製造業に該当することが前提です。協議会加入は受入開始前に完了させる必要があり、加入申請から発行まで通常1〜2週間かかります。

立場別の実務ポイント

工業製品製造業分野の特定技能活用には、受入企業・外国人本人の双方で押さえるべき実務ポイントがあります。

受入企業(製造業)

業務区分の正確な判定

自社の主たる業務が10の業務区分のどれに該当するかを正確に判定することが重要です。複数区分にまたがる業務がある場合、主たる業務で判断します。判定が難しい場合は経済産業省や業界団体への事前確認が推奨されます。

技能実習からの移行活用

製造業系の技能実習2号良好修了者は試験免除で特定技能1号に移行できます。既に雇用している技能実習生の特定技能移行を計画することで、継続雇用と技能向上の両立が図れます。技能実習の職種と特定技能の業務区分の対応関係を確認することが必要です。

外国人本人

技能向上と2号取得

特定技能1号の通算5年の在留期間内に特定技能2号への移行を目指すことで、長期的な日本定着が可能となります。2号は在留期間無制限・家族帯同可能のため、経済的・生活面で大きなメリットがあります。2号試験は実技・筆記の両方があり、日本語での専門用語理解も必要です。

日本語能力の継続向上

1号取得時はN4レベルでも、現場では技術用語・安全指示・品質管理の理解のためにより高い日本語力が求められます。特定技能2号では日本語試験の合格は不要ですが、試験問題を日本語で理解する必要があるため、継続的な学習が重要です。

類似制度との比較

製造業には特定技能以外にも複数の外国人受入制度があります。それぞれの性質を理解することで、目的に応じた選択が可能です。

比較項目特定技能1号特定技能2号技能実習(製造業系)
目的即戦力人材の受入熟練人材の長期定着技能移転(国際協力)
在留期間通算5年無期限最長5年
家族帯同不可不可
技能レベル試験合格水準熟練技能未経験〜3級相当
転職同分野内で可同分野内で可原則不可

製造業人材の獲得では、技能実習で育成→特定技能1号で5年活用→2号で長期定着というキャリアパスが整備されています。2027年からは育成就労制度(技能実習の後継制度)が開始予定で、特定技能への移行がさらに円滑化される見込みです。

よくある質問

Q. 自社の業務がどの区分に該当するかわかりません

A. 日本標準産業分類(総務省)の分類コードを確認し、経済産業省の運用要領と照らし合わせて判断します。判断が難しい場合は経済産業省製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会の事務局に相談することが推奨されます。

複数の業務区分にまたがる場合は主たる業務で判定します。業務区分の判定を誤ると受入後に問題となる可能性があるため、受入前に正確な判定を済ませることが重要です。

Q. 2024年3月に追加された業種でも既に受入可能ですか?

A. 可能です。2024年3月の閣議決定後、順次技能評価試験の整備が進んでおり、対応する試験が実施されている業種では受入が開始されています。紙・段ボール・コンクリート製品・陶磁器などの新規業種でも活用例が増えています。

新規業種では技能実習からの移行ルートが試験免除で利用しやすいため、既存の技能実習生がいる事業者は移行を検討することが効果的です。最新の試験実施状況はJAIMや経済産業省の公式情報で確認できます。

Q. 特定技能2号への移行はどのような流れですか?

A. 製造分野特定技能2号評価試験に合格し、一定期間の実務経験(通常2〜3年)を積むことで2号に移行できます。試験は実技試験と筆記試験があり、現場での指導能力も問われる高度な内容です。

2号合格後、在留資格変更許可申請を行うことで在留資格「特定技能2号」に変更されます。2号取得により在留期間無制限・家族帯同・永住申請への道が開けるため、優秀な人材の定着に向けた重要なステップとなります。

Q. 受入人数に上限はありますか?

A. 業種・分野ごとに受入見込数が設定されており、上限に達した場合は新規受入が制限される可能性があります。工業製品製造業分野は令和6年から5年間で約17万人という大規模な受入枠が設定されているため、当面は受入継続が可能と見込まれます。

参考資料

用語集
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