用語集 特定技能関連

特定技能1号とくていぎのういちごう

特定技能1号とは?

特定技能1号とは、深刻な人手不足の特定産業分野において、相当程度の知識又は経験を必要とする業務に即戦力として従事する外国人向けに創設された在留資格です。

技能試験と日本語試験の合格(または技能実習2号の良好な修了)によって取得でき、通算5年の在留期間中に日本の主要産業の労働力として活躍することが想定されています。

対象は16分野(2026年1月23日閣議決定で「リネンサプライ」「物流倉庫」「資源循環」の3分野が追加予定で19分野に拡大)に及び、受入企業には日本人と同等以上の報酬支給と、10項目の義務的支援の実施が義務付けられます。

2025年9月30日の運用要領改正では、産休・育休・病気休業期間を通算5年から除外できる柔軟化も実現しました。

制度の背景

特定技能1号は、少子高齢化による国内労働力不足が深刻化する中、2019年4月に改正入管法の施行で新設されました。技能実習制度とは異なり「純粋な労働力の受入」を目的とする点が画期的で、日本の在留資格制度における大きな転換点となりました。

2024年3月29日の閣議決定により5年間(2024〜2028年度)の受入見込数が全分野合計約82万人と設定され、前期(34.5万人)の約2.4倍への拡大が決まりました。

受入実績は急速に拡大しており、2024年6月末の251,594人から2025年6月末の336,196人(速報値)へと1年間で約8.2万人増加、2025年12月末までに累計約34万人を受け入れて見込数の40%に達しています。

分野別では飲食料品製造業・建設・農業・介護・外食業が大きく伸びています。

取得要件と対象分野

特定技能1号を取得するには、分野別の技能試験と日本語試験の両方に合格する必要があります。技能実習2号を良好に修了した者は両試験が免除されるため、実質的に2つのルートが存在します。

① 取得の基本要件

年齢17歳以上(インドネシアは18歳以上)
技能水準分野別の特定技能1号評価試験に合格(相当程度の知識又は経験)
日本語能力JFT-Basic A2相当以上、またはJLPT N4以上に合格
介護分野の追加要件介護日本語評価試験の合格が追加で必要
免除ルート技能実習2号を良好に修了+関連業務への移行:技能試験・日本語試験ともに免除
健康状態業務従事に支障のない健康状態であること

雇用契約は「日本人と同等以上の報酬」「通常の労働時間」「分野で定められた業務への従事」などを満たす必要があります。

送出国との二国間取決めがある国(ベトナム・フィリピン・ミャンマー・カンボジア・ネパール・インドネシア等)では、それぞれの国の送出機関を経由することが義務付けられています。

② 対象の16分野(2026年以降は19分野へ)

分野区分対象分野
当初12分野(2019年創設時)介護、ビルクリーニング、工業製品製造業(旧素形材・産業機械・電気電子統合)、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業
2024年追加4分野自動車運送業、鉄道、林業、木材産業
2026年追加予定3分野リネンサプライ、物流倉庫、資源循環

各分野には分野別の特定技能協議会が設置され、受入機関は初回受入時に該当分野の協議会加入が義務付けられます。

介護分野・建設分野では分野特有の追加要件(受入人数枠・受入計画認定など)があり、実務運用が複雑になる傾向があります。

③ 在留期間と家族帯同

在留期間通算5年(1年・6ヶ月・4ヶ月単位で更新)
2025年10月改正後の柔軟化産休・育休・病気・労災休業期間を通算5年から除外可能(申請と疎明資料必要)
最長の特例特定技能2号試験不合格者等で一定条件を満たす場合、最長6年
更新回数2025年改正で1回の申請で最長3年まで指定可能に
家族帯同原則不可(配偶者・子の呼び寄せは認められない)
再入国5年満了後は特定技能2号への移行または他の在留資格への変更が必要

家族帯同ができないことは特定技能1号の大きな制約で、長期的な安定就労を望む外国人は特定技能2号への移行を視野に入れたキャリアプランを立てる必要があります。

2025年9月30日の改正により、産休・育休期間の除外が可能になったことで、女性労働者のキャリア継続性が大きく改善されました。

立場別の実務ポイント

受入企業が押さえるべきポイント

10項目の義務的支援の整備

事前ガイダンス・空港送迎・住居確保・生活オリエンテーション・公的手続き同行・日本語学習機会提供・相談対応・日本人との交流促進・転職支援・定期面談の10項目を実施します。自社支援の要件を満たさない場合は登録支援機関(月額平均約28,386円)への全部委託が必須です。

分野別協議会への加入

初回受入時に該当分野の特定技能協議会に加入します。建設分野はJAC正会員36万円/賛助会員24万円+月額12,500円の受入負担金、その他分野は原則無料です。在留資格申請前の加入が基本ですが、介護分野は受入後2ヶ月以内の事後加入が可能です。

同等以上の報酬の確保

日本人と同等またはそれ以上の報酬水準を設定する必要があり、同職種・同経験年数の日本人社員の給与水準との具体的比較が審査で求められます。建設分野では月給制による安定給与が必須となります。

外国人本人が押さえるべきポイント

試験合格の計画的な受験

分野別技能試験とJFT-Basic(または JLPT N4)の両方の合格証が必要です。JFT-BasicはCBT方式で通年受験可能、JLPTは年2回(7月・12月)と機会が限られます。Prometric IDはパスポートと完全一致する氏名で登録する必要があります。

通算5年の計画的活用

通算5年は「累計」であるため、離職期間や一時帰国期間も含まれます。2025年改正で産休・育休・病気休業は除外申請が可能になりましたが、疎明資料の準備が必要です。5年満了後は特定技能2号への移行か、他の在留資格への変更を計画しましょう。

家族帯同不可の認識

特定技能1号は家族帯同が認められず、配偶者・子を日本に呼び寄せることはできません。長期的に家族と日本で暮らすには、特定技能2号への移行(家族帯同可能)または技人国・高度専門職等への変更が必要です。

類似制度との比較

特定技能1号と混同されやすい在留資格として、特定技能2号・技能実習・育成就労制度(2027年4月施行予定)があります。目的・要件・在留期間・家族帯同の可否に大きな違いがあります。

制度目的・水準在留期間・家族帯同
特定技能1号人手不足分野の即戦力労働通算5年(特例最大6年)/家族帯同不可
特定技能2号熟練した技能を持つ労働期間上限なし・更新可/家族帯同可
技能実習(2027年3月まで)国際貢献としての技能移転最長5年/家族帯同不可
育成就労(2027年4月〜)特定技能1号への育成原則3年以内/家族帯同不可
技術・人文知識・国際業務専門職(大卒等)の就労5年・3年・1年・3ヶ月/家族帯同可
高度専門職高度人材ポイント制1号5年・2号無期限/家族帯同可

特定技能1号は「試験合格または技能実習修了」で取得できる現場労働の在留資格、特定技能2号は「熟練技能+実務経験」で取得する管理的業務の在留資格という位置付けの違いがあります。

2027年4月施行の育成就労制度では、育成就労→特定技能1号→特定技能2号というキャリアパスが整理され、長期在留と家族帯同が可能な2号への円滑な移行が制度的に強化される見通しです。

よくある質問

Q. 特定技能1号の在留期間5年は延長できますか?

A. 原則として通算5年が上限ですが、2025年9月30日の改正により、産休・育休・病気・労災による休業期間を申請により5年のカウントから除外できるようになりました。

また、特定技能2号試験に不合格となった特定技能1号の外国人で一定の条件を満たす者は、通算最大6年まで在留可能です。

5年の特例を超えて在留するには、特定技能2号への移行または他の在留資格への変更が必要です。

Q. 転職はできますか?

A. 同じ分野内であれば転職が可能です。業務内容や活動の範囲が変わらなければ在留期間更新許可申請(通称:ビザ更新)で対応できます。

別の分野へ転職する場合は、移行先分野の技能試験に合格した上で、在留資格変更許可申請を行う必要があります。

転職時にも新たな受入機関が特定技能所属機関の基準を満たしていることが条件です。

Q. 家族を日本に呼び寄せることはできますか?

A. 特定技能1号では家族帯同が認められていません。

配偶者や子を「家族滞在」等の在留資格で呼び寄せることはできないため、長期的に家族と日本で暮らしたい場合は特定技能2号への移行や、他の家族帯同可能な在留資格への変更を検討する必要があります。

特定技能2号では、一定条件下で配偶者・子が「家族滞在」の在留資格で同伴できます。

Q. 特定技能1号の受入人数に上限はありますか?

A. 原則として企業単位の受入人数枠はありませんが、介護分野(事業所ごとに日本人等常勤介護職員数が上限)と建設分野(企業の常勤職員数が上限)は例外的に枠が設定されています。

分野全体の5年間受入見込数(2024〜2028年度で全分野合計約82万人)に達した場合は新規受付が停止される可能性があります。

2025年6月末時点で約40%の受入が進んでおり、今後の運用変更に注意が必要です。

Q. 特定技能1号から2号への移行に試験は必要ですか?

A. はい、特定技能2号へ移行するには、分野別の特定技能2号評価試験への合格が必要です。技能実習修了による免除ルートは2号にはなく、原則として全員が試験受験を経る必要があります。

加えて、分野別に1〜3年程度の指導・監督経験などの実務経験要件を満たすことが求められます。

漁業・外食業分野では追加でJLPT N3以上の日本語能力も必要です。

参考資料

用語集
お問い合わせ 03-5772-7338平日(10:00~19:00)
LINE