登録支援機関とは?
登録支援機関とは、特定技能所属機関(受入企業)からの委託を受けて、特定技能1号外国人に対する「1号特定技能外国人支援計画」の全部または一部を実施する機関のことです。
2026年3月末時点で全国に約11,200機関が登録されており、民間法人・業界団体・行政書士事務所・社労士事務所・技能実習の監理団体などが登録支援機関として活動しています。
特定技能1号外国人を雇用する受入企業は、10項目の義務的支援(事前ガイダンス・空港送迎・住居確保・生活オリエンテーション・日本語学習支援・相談対応・定期面談等)を自社で行うか、登録支援機関へ委託することが求められます。
自社支援の要件を満たさない企業は登録支援機関への全部委託が必須で、中小企業や特定技能外国人を初めて受け入れる企業では委託が一般的な選択肢です。
主な業務・役割
事前ガイダンス・生活オリエンテーションの実施
特定技能雇用契約締結後、入国前または着任後に、労働条件・日本の生活ルール・公的手続きの流れなどを本人が十分理解できる言語で説明します。3時間以上の実施が義務付けられており、対面またはビデオ通話で行います。
空港送迎・住居確保の支援
入国時の空港から住居または受入企業までの送迎、帰国時の空港までの見送りを行います。住居の確保(賃貸物件の紹介・契約支援・保証会社との調整)、生活備品の用意、銀行口座開設・携帯電話契約の同行支援なども担当します。
日本語学習機会の提供と継続支援
地域の日本語教室の情報提供、オンライン日本語学習サービスの案内、日本語学習教材の提供など、本人のレベルに応じた学習機会を継続的に支援します。2025年4月改正で地域共生施策との連携も明記されました。
相談対応・定期面談の実施
本人から労務・生活・人間関係に関する相談を受け、本人が理解できる言語で対応します。3ヶ月に1回以上の定期面談を実施し、労務基準法違反等の問題がある場合は労働基準監督署等の関係機関へ通報する義務を負います。
出入国在留管理庁への届出
支援の実施状況を受入企業を通じて年1回の定期届出で報告し、支援内容や委託契約の変更等があれば随時届出を行います。2025年4月改正により、従来別々だった所属機関・支援機関の届出は一本化されています。
関与する場面・登録要件
登録支援機関は事前の登録申請が必須で、出入国在留管理庁による審査を経て登録簿に記載されます。
登録要件は支援体制・実績・コンプライアンス面で幅広く定められており、登録後も毎年度の状況把握・5年ごとの更新審査を受ける仕組みです。
| 組織体制要件 | 支援責任者1名と支援担当者1名以上を選任(兼任可、常勤が望ましい) |
|---|---|
| 実績・経験要件 | 以下のいずれか:①直近2年以内に中長期在留者(就労資格)の受入実績、②2年以内に有償・業として外国人相談業務経験、③支援担当者が過去5年間に2年以上の中長期在留者生活相談経験 |
| 言語対応要件 | 特定技能外国人が十分理解できる言語で情報提供・相談対応を実施できる体制 |
| 欠格事由 | 直近1年以内に責めに帰すべき事由による失踪者を発生させていない、5年以内の不正・不当行為なし、欠格事由非該当 |
| 費用負担の制限 | 支援費用を外国人本人に直接・間接的に負担させないこと |
| 申請手数料・審査 | 申請手数料28,400円(収入印紙)、審査期間約2ヶ月、登録有効期間5年(更新制) |
登録申請は申請者の本店または主たる事務所の所在地を管轄する地方出入国在留管理局に行います。
郵送申請も可能で、支援業務を開始する予定日の2ヶ月前までの申請が推奨されます。登録後は出入国在留管理庁の公式ウェブサイトで登録簿が一般公開され、受入企業は業者選定の参考にできます。
活用のメリット・選び方
登録支援機関に委託するメリットは、法令遵守の確実性と支援品質の安定化にあります。約10,559機関の中から自社に適した委託先を選ぶには、実績・費用・対応言語・支援内容・アフターフォロー体制を多面的に比較することが重要です。
支援実績・特化分野の確認
登録だけで実際に支援業務を行っていない機関も多いとされており、実働件数・支援中の外国人数・対応国籍・勤続率などの実績を確認します。介護・建設・製造業など特定分野に特化した機関では、分野固有のノウハウが蓄積されています。
対応言語と通訳体制
支援対象となる特定技能外国人の母国語(ベトナム語・インドネシア語・ミャンマー語・フィリピン語・中国語・タイ語など)に対応できるかを確認します。外部通訳のみで対応する場合、緊急時の対応スピードに影響します。
費用体系の透明性
月額支援委託料の平均は約28,386円で、71.8%の機関が15,000〜30,000円の範囲に設定しています。2025年以降、物価上昇を反映して30,000〜35,000円が標準化しつつあります。月額一括型と項目別支払型があり、項目別の場合は「24時間対応の相談窓口」が別料金となる事例もあるため注意が必要です。
建設・介護など分野固有の要件対応
建設分野ではJAC加入や建設特定技能受入計画の認定支援、介護分野では協議会加入支援など、分野ごとの特則に対応できる機関を選ぶとスムーズです。
業務範囲と追加サービス
10項目の義務的支援に加え、在留資格申請書類の作成支援(行政書士法人併設の場合)、人材紹介(有料職業紹介事業許可併有の場合)、定期届出の代行などを併せて提供している機関もあります。
類似機関との違い
外国人雇用に関わる支援・管理機関は制度ごとに異なり、それぞれ根拠法令・登録制度が異なります。技能実習の監理団体と混同されやすいため、違いを正確に理解することが重要です。
| 機関 | 対象 | 主な違い |
|---|---|---|
| 登録支援機関 | 特定技能1号 | 営利目的可、支援計画の委託受諾、許可不要(登録制) |
| 特定技能所属機関 | 特定技能1号・2号 | 外国人を直接雇用する企業そのもの |
| 監理団体 | 技能実習(団体監理型) | 原則非営利(事業協同組合等)、実習実施者の監督責任を負う |
| 監理支援機関(2027年4月〜) | 育成就労 | 育成就労制度における監理団体の後継(営利法人参入案も検討中) |
| 外国人材紹介会社 | 就労系在留資格全般 | 職業安定法に基づく有料職業紹介事業(採用あっせん) |
登録支援機関は技能実習の監理団体と異なり、営利法人(株式会社等)でも参入可能で、非営利要件は課されていません。また、支援計画の実施という役割であり、雇用関係のあっせん(紹介)は別免許(有料職業紹介事業)が必要です。
多くの登録支援機関は有料職業紹介事業許可を併有し、採用から入社後支援まで一貫して提供しています。
よくある質問
Q. 受入企業は必ず登録支援機関に委託しなければなりませんか?
A. 自社支援の要件(①直近2年以内の中長期在留者受入実績、または②支援担当者の生活相談業務経験2年以上など)を満たせば、自社で支援を実施できます。
要件を満たさない企業は登録支援機関への全部委託が必須です。
初めて特定技能外国人を受け入れる中小企業の大半は、委託を選ぶのが実務上の一般的な選択です。
Q. 登録支援機関になるための費用・審査期間はどのくらいですか?
A. 登録申請には28,400円の手数料(収入印紙)が必要で、審査期間は約2ヶ月です。登録の有効期間は5年で、更新時は再度の審査を受けます。
登録後の運営には、支援責任者・支援担当者の人件費、多言語対応のための通訳・翻訳コスト、システム・事務所維持費などが発生します。
支援委託契約を複数社と結ぶことで収益性を確保する事業モデルが一般的です。
Q. 登録支援機関が登録取消しとなるのはどのような場合ですか?
A. 支援計画の不実施、出入国在留管理庁への届出義務違反、虚偽申請、欠格事由該当(暴力団関連、労働法令違反で罰金刑、失踪者の多発等)などが主な取消事由です。
取消後は5年間、再登録ができません。
実際に2024〜2025年にも複数の機関が取消しを受けており、造船・舶用工業分野では具体的な違反事例が国土交通省から公表されています。
Q. 月額支援委託料の相場はいくらですか?
A. 出入国在留管理庁の統計によれば、特定技能外国人1人当たりの月額支援委託料の平均は約28,386円で、71.8%の機関が15,000〜30,000円の範囲内です。
2025年以降は物価高騰を反映し、質の高い包括支援では30,000〜35,000円が標準化しつつあります。
項目別支払型の場合、初期費用(事前ガイダンス・空港送迎等)が別途発生するため、総コストを確認することが必要です。
Q. 登録支援機関は人材紹介も同時に行えますか?
A. 登録支援機関の登録と、人材紹介(有料職業紹介事業)の許可は別制度です。両方を取得していれば、同一事業者が人材紹介と入社後支援をワンストップで提供できます。
ただし、それぞれの許可・登録要件が異なるため、両制度の運用ルールを同時に遵守する必要があります。
特に求職者(外国人本人)からの手数料徴収は両制度とも禁止されている点は共通です。