介護分野(特定技能)とは?
介護分野(特定技能)とは、在留資格「特定技能1号」の対象となる19分野のうち、高齢化が進む日本の介護現場で人材不足に対応するために設けられた分野です。
所管省庁は厚生労働省で、外国人材が介護福祉施設等で身体介護を中心とした業務に従事することを可能にします。2019年の特定技能制度創設時から対象分野として運用されています。
令和6年4月からの5年間の受入見込数は13万5,000人と設定されており、既存の12分野の中でも特に大規模な受入が計画されています。在留期間は通算5年が上限ですが、国家試験合格により在留資格「介護」へ移行することで、在留期間無制限の長期定着が可能となります。
制度の背景
在留外国人数が400万人を突破する中、超高齢社会における介護人材の確保は最重要課題です。2024年の法改正により、2027年4月からは従来の技能実習制度に代わり、人材確保・育成を目的とした「育成就労制度」が開始される予定ですが、特定技能はその後のステップアップ先として引き続き中心的な役割を担います。
介護分野は他の特定技能分野と異なり、在留資格「介護」という上位資格への移行ルートが確立されている点が最大の特徴です。特定技能1号で実務経験を積み、介護福祉士国家試験に合格すれば、在留期間無制限・家族帯同可能なキャリアアップが実現できます。
この仕組みにより、単なる労働力の確保にとどまらず、専門性の高い「介護のプロ」として日本に定着する外国人が増加しています。
主な種類と要件
介護分野の特定技能外国人として働くには、業務内容の理解と3つの試験合格(または免除条件の充足)が必要です。
① 従事できる業務
| 主な業務 | 身体介護(入浴・食事・排泄の介助等) |
|---|---|
| 付随業務 | レクリエーションの実施、機能訓練の補助、記録作成など |
| 対象施設 | 介護老人福祉施設(特養)・介護老人保健施設(老健)・介護医療院・有料老人ホーム・デイサービス等 |
| 訪問系サービス | 令和7年(2025年)4月より条件付きで解禁(訪問介護等への従事が可能に) |
長らく制限されていた訪問介護についても、一定の実務経験(施設での就労経験等)や適切な指導・監督体制の整備を条件に、2025年4月から従事が認められるようになりました。在宅介護分野での人材不足解消も期待されています。
② 取得要件(3つの試験)
| ① 介護技能評価試験 | 介護の専門知識・技能を問う試験。学科40問+実技5問、試験時間60分 |
|---|---|
| ② 日本語試験 | JLPT N4以上またはJFT-Basic(国際交流基金日本語基礎テスト)の合格 |
| ③ 介護日本語評価試験 | 介護現場で必要な専門用語・コミュニケーション能力を問う試験 |
| 試験免除 | 介護分野の技能実習2号修了者、介護福祉士養成施設修了者、EPA介護福祉士候補者(4年間の在留期間満了) |
3つの試験はすべて合格する必要があり、試験は海外でも実施されています。日本語能力については一般的な日常会話レベル(N4)に加えて、介護現場で使用する専門用語や表現を習得していることが求められます。
③ 受入機関(企業)の要件
| 協議会への加入 | 介護分野特定技能協議会(JICWELS運営)への加入が必須。入会証明書の発行を受ける |
|---|---|
| 受入人数の上限 | 事業所ごとに日本人等の常勤介護職員の総数が上限 |
| 対象施設の要件 | 介護施設等としての指定・認可を受けている施設であること |
| 報酬 | 日本人介護職員と同等額以上の報酬 |
受入事業所は所定の手続きで協議会に加入し、入会証明書を取得する必要があります。申請から発行まで通常2週間程度です。人員配置基準として、常勤介護職員の総数を超えて特定技能外国人を受け入れることはできないため、受入計画は現有人員に応じて設計します。
立場別の実務ポイント
介護分野の特定技能活用には、受入事業所・外国人本人・支援体制の3方面で押さえるべきポイントがあります。
受入事業所
登録支援機関との連携
特定技能外国人の受入には10項目の支援計画が義務付けられており、事業所で対応できない場合は登録支援機関に委託します。介護分野では生活支援・日本語学習支援・医療面での配慮など、複合的な支援が必要となるため、経験豊富な支援機関の活用が推奨されます。
介護福祉士へのステップアップ支援
特定技能外国人を長期定着させるには、介護福祉士国家試験合格に向けた支援が重要です。実務経験3年の後、実務者研修受講と国家試験合格を経て在留資格「介護」に移行すれば、家族帯同・無期限就労が可能となります。事業所として学習時間の確保や試験対策講座の提供などが定着率向上に寄与します。
外国人本人
日本語能力の継続向上
来日時はN4レベルでも、現場では高齢者との会話・記録業務・医療用語など高度な日本語が必要です。継続的な学習により、より高いレベル(N2以上)を目指すことで、業務の幅が広がり将来的なキャリアアップの選択肢が増えます。
国家資格取得の計画
介護福祉士国家試験の受験には3年以上の実務経験+実務者研修(450時間)修了が必要です。来日直後から計画的に学習を進め、在留期間5年以内での合格を目指すことが推奨されます。合格すれば家族帯同と永続的な在留が可能になります。
類似制度との比較
介護分野には特定技能以外にも複数の在留資格があります。それぞれの性質を理解して、目的に応じた受入ルートを選ぶことが重要です。
| 比較項目 | 特定技能「介護」 | 在留資格「介護」 | 技能実習「介護」 | EPA候補者 |
|---|---|---|---|---|
| 資格 | 介護技能試験+N4 | 介護福祉士国家資格 | 技能実習計画 | 本国看護資格等 |
| 在留期間 | 通算5年 | 無期限(更新可) | 最長5年 | 4年(候補期間) |
| 家族帯同 | 不可 | 可 | 不可 | 不可 |
| 訪問介護 | 原則不可 | 可 | 不可 | 不可 |
| 受入目的 | 人手不足対応 | 長期就労 | 技能移転 | 国家資格取得 |
介護業界の外国人受入制度は4つのルートがあり、キャリアステージに応じた選択が可能です。多くの外国人は技能実習→特定技能→介護福祉士→在留資格「介護」のステップを歩み、長期的な日本定着を目指します。在留資格「介護」は業務範囲も広く、訪問介護を含むすべての介護業務に従事できる最上位の資格です。
よくある質問
Q. 特定技能「介護」で訪問介護はできますか?
A. はい、令和7年(2025年)4月より一部条件付きで解禁されました。施設での一定の実務経験があること、適切なバックアップ体制(ICT活用や管理者との連携等)があることなどが求められます。
Q. 介護福祉士国家試験には何年で合格できますか?
A. 受験資格を得るには3年以上の実務経験+実務者研修(450時間)修了が必要です。試験は毎年1月に実施されるため、最短で来日から4年目の受験となります。特定技能の通算5年の期間内に合格して在留資格「介護」に移行するケースが多いです。
EPA候補者出身の外国人の合格率は近年改善していますが、それでも約30〜40%です。日本人を含む全体の合格率(約70%)と比較するとハードルが高いため、計画的な学習が不可欠です。
Q. 受入事業所が特定技能を活用するメリットは?
A. 介護人材の安定的な確保、即戦力としての活用(試験合格により一定の知識・技能が保証)、転職制限による定着率の向上、処遇改善加算の対象など複数のメリットがあります。
また、特定技能から在留資格「介護」への移行ルートが明確に整備されているため、長期的な人材育成を計画できる点も大きな利点です。初期の日本語・技能トレーニングに投資することで、将来的な幹部候補としての活用も可能となります。
Q. 特定技能2号「介護」はありますか?
A. 介護分野には特定技能2号は設定されていません。代わりに、在留資格「介護」(介護福祉士国家資格取得者)への移行ルートが用意されており、こちらで長期的な就労を実現する仕組みとなっています。
他の18分野では特定技能2号への移行が可能ですが、介護は国家資格という明確な基準があるため、在留資格「介護」が実質的な特定技能2号相当として機能しています。介護福祉士資格は永久的な資格であり、その意義の大きさが反映された制度設計です。