通算在留期間5年上限とは?
通算在留期間5年上限とは、在留資格「特定技能1号」で日本に滞在できる期間の合計が原則として5年以内に制限される入管法上のルールです。
在留期間更新の上限ではなく、複数の在留期間(1年・6か月・4か月)を積み上げた合計が5年に達した時点で、特定技能1号としての在留が継続できなくなります。
5年経過後も日本での就労を継続するには、特定技能2号への移行など別ルートが必要となります。永住権取得との関係でも重要な意味を持つ基本ルールです。
具体的な意味・内容
5年の通算は、新規入国時から起算され、再入国許可で出国した期間も原則として算入されます。算入される期間と除外される期間を正確に把握することが、在留期間の管理において重要です。
通算に算入される期間
特定技能1号での在留中の就労期間・無就労期間(失業中)・再入国許可による出国期間(一時帰国期間)がすべて算入されます。さらに特定技能2号への移行を希望する場合の在留資格「特定活動」の期間も特定技能1号の通算期間に含まれます。
通算に算入されない期間
新型コロナウイルス感染拡大防止措置などやむを得ない事情で再入国できなかった期間、産前産後休業期間・育児休業期間・病気/怪我による休業期間は通算に含まれません。これらの期間は申立書の提出により除外を申請できます。
計算の基本ルール
新規入国から再入国許可なしで出国した期間ごとの在留期間を合算します。1か月未満の端数は30日を1か月として計算し、余りの日数は切り捨てる扱いです。例えば1年4か月15日と3年2か月20日を合算すると、4年6か月35日=4年7か月5日(5日切り捨て)となります。
特定技能2号評価試験不合格者の例外(最大6年)
2025年改正により、特定技能2号評価試験等に不合格となった者のうち、再受験を希望し一定の要件を満たす場合は、5年を超えて在留することが認められ、通算最長6年までの在留が可能となりました。「5年を超えて在留することについて相当の理由がある」と認められる場合の例外措置です。
関連する法律・制度
通算5年上限ルールは、特定技能1号と他の在留資格・制度を関連づけて理解する必要があります。育成就労期間・特定技能2号・永住許可審査の通算年数との関係は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠法令 | 出入国管理及び難民認定法第2条の5第8項 |
| 原則上限 | 通算5年(再入国許可による出国期間を含む) |
| 例外による上限 | 2号評価試験不合格者で一定要件充足の場合は最大6年(2025年改正) |
| 特定技能2号への移行 | 2号は更新の上限なし。1号期間とは別カウント |
| 育成就労期間との関係 | 育成就労(最長3年)終了後に特定技能1号5年でさらに就労可能。両者は別々に通算 |
| 永住許可審査での扱い | 1号期間は永住要件の「就労資格5年以上」にカウントされない(2号は対象) |
育成就労3年+特定技能1号5年+特定技能2号5年以上のルートをたどることで、通算13年以上の在留と永住許可申請が可能になる設計です。
1号期間中は永住要件にカウントされないため、長期定着を見据える場合は2号移行の戦略が重要となります。
実務上の注意点
在留期間の合計を社内で管理する必要
受入れ機関は、特定技能1号外国人の通算在留期間の累計を労務管理上把握しておく必要があります。在留カードに表示される「在留期間」は次回更新までの期間にすぎず、5年の累計は別途追跡する運用となります。失業期間や一時帰国期間も累計に含まれるため、給与台帳と入管届出記録を突合した管理体制が望まれます。
育休・産休・病気休業は除外申請が必要
産前産後休業・育児休業・病気/怪我による休業期間は通算から除外できますが、自動的に除外されるわけではない点に注意が必要です。在留期間更新申請時または通算期間確認時に、休業の事実を立証する書類(医師の診断書・出産証明書・育休取得証明など)を添えて申立書を提出する必要があります。
5年到達直前の戦略設計
5年到達の半年〜1年前までに、特定技能2号への移行(評価試験合格+実務経験)か、別在留資格への切替(技術・人文知識・国際業務など)か、本人の帰国かを決定する必要があります。直前で判断すると間に合わないケースが多いため、3〜4年目から計画的に進路を協議することが推奨されます。
技能実習からの移行者は実習期間を含めない
技能実習2号修了者が特定技能1号へ移行する場合、技能実習としての在留期間は通算5年に含まれません。特定技能1号として在留した期間のみが対象です。技能実習3号修了者についても同様で、技能実習+特定技能1号で実質最長10年程度の在留設計が可能となります。
関連用語との違い
通算5年上限は「在留期間」「在留期限」「永住要件の通算年数」などと混同されがちです。違いを整理します。
| 項目 | 通算在留期間5年上限 | 在留期間(1回あたり) | 永住要件の通算年数 |
|---|---|---|---|
| 意味 | 特定技能1号で在留できる累積上限 | 1回の在留資格で付与される期間 | 永住許可審査での日本在留累計 |
| 長さ | 原則5年(最大6年) | 4か月・6か月・1年 | 原則10年以上(うち就労資格5年以上) |
| 更新の有無 | 通算5年で打止め | 更新可能 | 条件充足で永住権取得 |
| 1号期間の扱い | 本ルールの対象 | 本ルールに加算される | 永住要件には加算されない |
「在留期間」は1回ごとの許可期間を指すのに対し、「通算在留期間」は累計の上限ルールを指します。永住要件の通算年数とも別概念で、特定技能1号期間は永住要件の就労資格5年にカウントされない点が見落とされがちな重要論点です。
よくある質問
Q. 失業中で就労していない期間も5年に含まれますか?
A. はい、含まれます。特定技能1号の在留資格を保有している限り、就労の有無にかかわらず通算期間に算入されます。
転職活動中で受入れ機関が決まっていない期間も同様にカウントされるため、転職には3か月以内の制限(在留資格に基づく活動を3か月以上行っていない場合は在留資格取消対象)と通算5年制限の二重の時間管理が必要です。
Q. 一時帰国の期間は通算に含まれますか?
A. 再入国許可(みなし再入国許可を含む)による出国期間は含まれます。一時帰国中も通算カウンターは進む扱いです。
例外として、新型コロナのような上陸拒否措置で再入国できなかった期間は申立書提出により除外可能です。通常の里帰り・年末年始帰国などは除外対象外のため、一時帰国の頻度・期間にも注意が必要です。
Q. 5年経過後に再度特定技能1号を取得できますか?
A. 原則として再取得はできません。一度通算5年を満了した者は、再度特定技能1号を取得することはできない運用です。
5年経過後に日本での就労を継続するには、特定技能2号への移行、または技術・人文知識・国際業務など他の在留資格への切替が必要です。母国で数年過ごしてから再度日本に来る場合も、特定技能1号での再入国は認められない点に注意してください。
Q. 育成就労3年と特定技能1号5年は別々に通算されますか?
A. はい、別々の通算枠です。育成就労期間(最長3年)は特定技能1号の通算5年には含まれません。
2027年4月施行の育成就労制度では、育成就労3年+特定技能1号5年=最長8年の就労が想定され、その後特定技能2号へ移行することで在留期限の上限が外れる設計となっています。育成就労からのキャリアパスを設計する際の重要な前提です。