耕種農業区分とは?
耕種農業区分とは、特定技能制度における「農業」分野の2つの試験区分のうち、植物を栽培して農産物を生産する業務に従事する区分です。
野菜・果樹・米麦・花き・きのこ類・茶等の栽培管理および農産物の集出荷・選別が対象業務となります。露地栽培・施設栽培の双方が含まれ、日本農業の主要部分をカバーする幅広い区分です。
耕種農業の業務に従事するためには、1号農業技能測定試験(耕種農業全般)または対応する技能実習2号修了が必要です。あわせて日本語試験(JLPT N4以上または基礎テスト)の合格が求められます。
農業分野は派遣形態が認められる数少ない分野で、例えば、農繁期・農閑期の季節性に対応した産地リレー(北海道→東北→関東→九州等)での就労も可能です。
具体的な意味・内容
栽培管理(必須業務)
種まき・育苗・定植・施肥・農薬散布・剪定・整枝・誘引・摘果・収穫・雑草管理等の栽培作業全般です。作物特性に応じた栽培技術の理解が求められます。露地栽培ではトラクター等の農業機械操作、施設栽培では温湿度管理・養液管理が含まれます。
農産物の集出荷・選別
収穫物の運搬・洗浄・計量・規格選別・袋詰め・箱詰め・出荷準備が対象です。市場・JA・直売所・加工業者向けの出荷形態に応じた包装・表示が必要です。コールドチェーン対応や鮮度管理も含まれます。
付随業務
農業機械の点検・補修、農業施設(ハウス・倉庫・選果場)の清掃・整備、農作業に付帯する作業(肥料・農薬の運搬等)が対象です。日本人農業者が通常従事する付随業務全般が含まれます。
主な対象作物
野菜(露地・施設)・果樹・米麦・大豆・花き・きのこ類・茶・工芸作物等が対象です。トマト・キュウリ・ナス・レタス・キャベツ・白菜・リンゴ・ナシ・ブドウ・ミカン・モモ・水稲・小麦・菊・バラ・シイタケ等、日本農業の主要作物をカバーします。
関連する制度・在留情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 必要な試験 | 1号農業技能測定試験(耕種農業全般)+日本語試験 |
| 試験実施団体 | 一般社団法人全国農業会議所(プロメトリック委託) |
| 受験料 | 8,000円(国内) |
| 合格基準 | 満点の65%以上 |
| 2号合格率(直近6回) | 耕種農業 約3〜4割 |
| 雇用形態 | 直接雇用または派遣(農業分野は派遣特例あり) |
| 5年間受入見込数(農業全体) | 78,000人(令和6〜10年度) |
| 2025年6月末在留者数(農業全体) | 1号 約34,935人/2号 約519人 |
| 協議会加入 | 必須(受入機関・派遣元・派遣先すべて) |
実務上の注意点
季節性への対応
耕種農業は作物・地域により農繁期・農閑期の差が大きく、年間を通じた直接雇用が困難なケースが多いです。派遣特例を活用した産地リレー(北海道→東北→関東→九州等)での就労が可能で、年間を通じた就労を実現できます。
日本人と同等以上の処遇
賃金は日本人と同等以上、最低賃金以上が必須です。労働時間・休日・社会保険等の労働条件についても日本人労働者と同等の処遇が求められます。技能実習時代の処遇格差問題への対応として、特に厳格な遵守が要求されます。
2号への移行支援
2023年6月の閣議決定で農業分野が2号対象に追加されたため、長期就労・家族帯同を希望する人材は2号取得を目指すことができます。2号試験は労務管理に関する出題が加わるため、リーダー業務の経験積み上げが鍵となります。
技能実習修了者の活用
耕種農業に関連する技能実習2号を良好に修了した者は試験免除で特定技能1号に移行できます。受入機関は既存の技能実習修了者の継続雇用を検討することで、人材確保コストを抑えることができます。
よくある質問
Q. 耕種農業から畜産農業へ業務変更できますか?
A. 業務変更は可能ですが、改めて畜産農業区分の試験合格が必要です。
1号農業技能測定試験は区分別に試験が分かれているため、別区分の業務に従事する場合は当該区分の試験合格が必須です。所属機関変更と併せて在留資格の手続きも必要です。
Q. 派遣で受入する場合の手続きは?
A. 派遣元事業者と派遣先(農業者)の双方が農業特定技能協議会に加入する必要があります。
派遣元はJA・農協系等の要件と労働者派遣法上の許可が必要です。派遣先は過去5年以内に同一労働者を6ヶ月以上継続雇用した経験等の要件を満たす必要があります。
Q. 米作専業の小規模農家でも受入できますか?
A. 受入機関の要件を満たせば可能ですが、繁閑差が大きい米作のみでは派遣形態の活用が現実的です。
個人農家での直接雇用も可能ですが、年間を通じた業務確保が必要です。野菜・果樹との複合経営や派遣特例の活用が有力な選択肢となります。
Q. 技能実習からの移行は可能ですか?
A. 耕種農業に関連する技能実習2号を良好に修了した場合、試験免除で特定技能1号に移行できます。
関連職種の範囲は全国農業会議所・農林水産省のサイトで確認できます。技能実習修了者は実務経験があるため、受入後の即戦力として高く評価されています。