用語集 特定技能関連

飲食料品製造業分野(特定技能)いんしょくりょうひんせいぞうぎょうぶんや

飲食料品製造業分野(特定技能)とは?

飲食料品製造業分野(特定技能)とは、在留資格「特定技能」の対象となる19分野の一つで、日本の食品製造業における人材不足に対応するための分野です。

所管省庁は農林水産省(食品産業部食品製造課)で、2019年の制度創設時から対象分野として運用されています。受入見込数・実際の受入実績ともに特定技能19分野の中で最大級の規模を誇る主力分野です。

業務内容は飲食料品(酒類を除く)の製造・加工および安全衛生の確保で、食料品製造業・清涼飲料製造業・茶コーヒー製造業・製氷業・菓子製造小売業など幅広い業種が対象となります。

特定技能1号・2号の両方が設定されており、長期的な定着が可能な分野として活発に利用されています。

制度の背景

飲食料品製造業分野の特定技能は、食品製造業界の慢性的な人材不足への対応として設けられました。日本の食品製造業は労働集約的で、若年労働力の確保が困難な状況が続いており、外国人材の活用が業界維持の重要な要素となっています。

運用は食品産業特定技能協議会が中心となり、製造業全般を対象とする幅広い設計が特徴です。HACCP(ハサップ)に基づく衛生管理を行う事業所であることが受入要件に含まれており、食品安全への配慮が制度設計に反映されています。

主な種類と要件

飲食料品製造業分野での特定技能活用には、対象業種・取得要件・受入機関要件の3つを理解することが重要です。対象範囲が広い反面、業種判定が重要な分野です。

① 対象業種

食料品製造業水産食料品製造業(除く塩干水産物製造業)、肉製品製造業、乳製品製造業、調味料製造業、糖類製造業、精穀・製粉業、惣菜・弁当製造業など
飲料製造業清涼飲料製造業、茶・コーヒー製造業(酒類は除く
製氷業業務用・家庭用の氷の製造業
菓子・パン等小売業菓子小売業(製造小売)、パン小売業(製造小売)、豆腐・かまぼこ等加工食品小売業
対象外酒類製造業、外食業(外食業分野で対応)

対象は日本標準産業分類に基づき判断され、製造小売業(製造して販売)も対象に含まれます。

スーパーマーケットの惣菜・弁当製造部門なども対象となる場合があり、業種判定は事前に農林水産省や協議会に確認することが推奨されます。

② 取得要件(外国人本人)

特定技能1号飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験+日本語試験(JLPT N4以上またはJFT-Basic)
特定技能2号飲食料品製造業特定技能2号技能測定試験+複数の従業員を指導しながら工程を管理する者としての実務経験2年以上
試験免除(1号)食品関係職種の技能実習2号良好修了者は試験免除
試験実施機関一般社団法人外国人食品産業技能評価機構等

試験は国内外で実施されており、海外(インドネシア・フィリピン・ベトナム等)での受験も可能です。HACCP対応の衛生管理に関する知識も試験範囲に含まれており、食品安全への意識が問われます。

技能実習からの移行が活発で、食品関係の技能実習2号良好修了者は試験免除のメリットを活用できます。

③ 受入機関(企業)の要件

業種要件飲食料品製造業の対象業種に該当すること(日本標準産業分類)
HACCP対応HACCP(ハサップ)に基づく衛生管理を実施していること
協議会加入食品産業特定技能協議会への加入が必須
雇用形態直接雇用のみ(派遣不可)
報酬日本人と同等額以上の報酬

HACCP衛生管理は2021年6月から食品衛生法で全食品事業者に義務化されており、適正に運用していることが受入の前提となります。

協議会加入は受入前に完了させる必要があり、受入計画と支援体制の整備も求められます。

立場別の実務ポイント

飲食料品製造業分野の特定技能活用には、製造事業者・外国人本人それぞれで押さえるべき実務ポイントがあります。

受入企業(食品製造事業者)

業種判定の事前確認

対象業種か否かの判定は日本標準産業分類に基づき行います。複合的な事業を行う事業者は主たる業務で判定するため、事前に農林水産省や協議会への確認が推奨されます。外食業との境界(弁当製造販売や惣菜製造販売など)は特に注意が必要です。

衛生管理体制の整備

HACCP衛生管理は食品事業者の必須要件で、外国人材への衛生教育を多言語で実施することが重要です。母国語または平易な日本語での衛生マニュアル整備、定期的な衛生研修の実施、記録の徹底などが食品安全と外国人定着の両方に寄与します。

外国人本人

食品衛生の徹底

食品製造業では異物混入防止・温度管理・手指消毒などの衛生管理が最重要です。試験対策段階から食品衛生の基礎を学習し、現場での徹底実践が求められます。HACCP関連知識は2号取得や将来のキャリアアップに直結する重要なスキルです。

2号取得とキャリア形成

2号取得には複数従業員の指導経験2年以上が必要です。1号として実務経験を積みつつ、リーダー・班長クラスの役職を目指すことで、2号取得への道が開けます。2号取得により家族帯同・無期限就労が実現し、長期的な日本定着が可能となります。

類似制度との比較

食品製造分野には特定技能以外にも複数の外国人受入制度があります。それぞれの違いを整理することが重要です。

比較項目特定技能1号特定技能2号技能実習(食品関係)
在留期間通算5年無期限最長5年
家族帯同不可不可
業務範囲製造・加工+衛生管理+指導・工程管理個別職種の作業
派遣雇用不可不可不可
2号要件試験+指導経験2年

飲食料品製造業分野は受入実績19分野中最多で、技能実習からの移行も活発に行われています。1号で5年・2号で無期限という長期的なキャリアパスが確立され、業界全体での定着が進んでいる成熟した分野となっています。

よくある質問

Q. スーパーの惣菜部門でも受入できますか?

A. スーパーマーケット内で惣菜・弁当を製造している部門は、業種判定によっては対象となります。日本標準産業分類で「製造小売業」に該当する業務であれば飲食料品製造業分野の対象です。

ただし、外部仕入れ商品の販売のみや、店舗内のレジ・接客業務は対象外です。食品製造の実態があることが必須で、業種判定は協議会への確認が確実です。

Q. 酒類製造業は対象になりますか?

A. 酒類製造業は対象外です。日本酒・ビール・ワイン・焼酎などの酒類を主たる製造物とする事業者は飲食料品製造業分野での受入はできません。

酒類製造に関しては別途技人国等の在留資格が検討対象となります。一方、清涼飲料・茶・コーヒーなど非アルコール飲料は飲食料品製造業分野の対象となります。

Q. 派遣で雇用することはできますか?

A. 飲食料品製造業分野では派遣雇用は認められません。直接雇用のみが受入の前提条件となります。これは食品衛生・品質管理の観点から、雇用関係の安定性が重視されるためです。

派遣雇用が認められるのは農業・漁業の2分野のみで、他の17分野は直接雇用のみとなります。受入企業は正規の雇用契約を外国人材と直接結ぶ必要があります。

Q. 2号取得は実際にどのような流れですか?

A. 1号として就労する中で班長・リーダークラスの役職を担い、複数の従業員を指導しながら工程管理する経験を2年以上積みます。その後、飲食料品製造業特定技能2号技能測定試験に合格することで2号への移行が可能となります。

受入企業としては、優秀な1号取得者を計画的に昇進させ、指導的役割を任せることが2号取得支援のポイントです。2号取得により家族帯同・無期限就労が可能となり、企業にとっても長期戦力として育成できます。

参考資料

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