受入負担金(建設分野)とは?
受入負担金(建設分野)とは、建設分野で特定技能外国人を受け入れる企業が、一般社団法人建設技能人材機構(JAC)へ毎月支払う事業運営費負担金のことです。
建設分野は他分野と異なり、JACへの加入と本負担金の支払いが特定技能受入れの必須要件とされています。負担金はJACが行う技能教育・試験実施・巡回指導・送出機関連携などの事業運営費に充当されます。
外国人本人の給与から天引きすることは禁止されており、受入れ企業が全額負担する仕組みです。建設分野は他分野に比べて受入コストが高く設定されている代わりに、受入計画認定や処遇改善制度の整備によって、外国人材の処遇向上が図られています。
具体的な意味・内容
受入負担金は、外国人本人の経歴(海外試験合格/国内試験合格/試験免除)によって金額が異なります。さらに、JACへの加入経路(賛助会員直接加入/正会員団体経由)によっても、年会費を含めた総コストが変わります。
海外試験合格者ルート
海外で建設分野特定技能試験に合格して来日する外国人を受け入れる場合、月額20,000円〜25,000円の負担金が発生します。指定海外教育訓練を受講していない場合は20,000円、未受講ルートでは25,000円など、JACが定める区分により差があります(金額は時期により改定されるため、最新版はJAC公式サイトで要確認)。
国内試験合格者ルート
留学生・他の在留資格保有者などが日本国内で建設分野特定技能試験に合格して特定技能1号へ移行する場合、月額13,750円程度の負担金となります。海外ルートと比べて低額に設定されています。
試験免除者ルート(技能実習2号修了者)
建設関連職種の技能実習2号を良好に修了して特定技能1号へ移行する者については、月額12,500円程度と最も低額に設定されています。最も多い受入ルートとなっています。
JAC会員区分による年会費
受入企業はJACへの加入経路として、①賛助会員として直接加入(年会費24万円)、または②JAC正会員である建設業者団体の会員となり間接的に加入する2つの方法があります。間接加入の方が一般的に安価ですが、所属する建設業者団体の会費が別途発生します。
関連する法律・制度との関係
受入負担金は、建設分野の受入計画認定制度(国土交通省)と密接に関連しています。建設分野では他分野にない受入計画認定が必要であり、JAC加入と負担金支払いはこの認定の前提条件のひとつです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠 | 建設分野における特定技能外国人の受入れに関する運用要領(国土交通省) |
| 支払先 | 一般社団法人建設技能人材機構(JAC) |
| 支払方式 | 月額制(特定技能外国人1人ごとの人頭割) |
| 金額 | 受入ルートにより月額12,500円〜25,000円程度 |
| 外国人本人への転嫁 | 禁止(給与天引き等は不可) |
| 用途 | JACの教育訓練・試験実施・巡回指導・送出機関連携等 |
| 受入計画認定との関係 | JAC加入は国土交通省の受入計画認定の前提要件 |
金額は段階的に改定されており、過去には2020年・2024年などで料金体系の見直しが行われています。最新の料金表はJAC公式サイト(jac-skill.or.jp)で確認することが推奨されます。
実務上の注意点
外国人本人への転嫁は厳禁
受入負担金を外国人本人の給与から天引きする、本人に直接請求するなどの行為は明確な法令違反です。違反が発覚した場合、受入機関は新規受入停止や在留期間更新不許可となるだけでなく、企業の社会的信用にも重大な影響が生じます。給与計算における誤った天引きも違反となるため、給与明細の運用ルールを社内で徹底する必要があります。
月額×12か月の総額試算
1人あたり月額12,500〜25,000円を1年間支払うと、年間15万円〜30万円の負担となります。さらに賛助会員年会費24万円や建設キャリアアップシステム(CCUS)登録料、登録支援機関への委託料も加算されるため、初年度コストは1人あたり50〜80万円程度を見込む必要があります。受入計画段階での予算化が重要です。
建設業者団体経由の間接加入による節約
JACの正会員である建設業者団体(全建総連、全建中央会、全国鉄筋工事業協会など)の会員となれば、賛助会員年会費24万円を直接支払う必要がなくなります。所属業界の団体会員になることで、他のメリット(情報提供・研修参加・業界ネットワーク)も得られるため、検討に値するルートです。
退職時の支払い停止
特定技能外国人が退職した場合、退職月の翌月から負担金支払いを停止します。退職届をJACへ速やかに提出することで二重支払いを避けられます。逆に、退職届の提出漏れがあると不要な負担金を支払い続けるリスクがあるため、退職時の事務フローに組み込んでおく必要があります。
他分野の協議会費との違い
建設分野の受入負担金は、他分野の協議会加入料と比較して大きく異なる特徴があります。多くの分野では加入料・年会費は無料ですが、建設分野は明確に有料制となっています。
| 項目 | 建設分野(JAC) | 他分野(介護・製造等) |
|---|---|---|
| 協議会加入料 | 賛助会員年会費24万円または団体会費 | 原則無料 |
| 受入負担金 | 月額12,500〜25,000円/人 | なし |
| 外国人本人への転嫁 | 禁止 | 該当なし |
| 受入計画認定 | 必要(国土交通省) | 不要 |
| 年間費用負担(1人あたり) | 15〜30万円+会費 | 0円 |
建設分野が他分野に比べて高コストとなっている背景には、建設業界における処遇改善・キャリアアップ支援・送出機関への監督強化などのため、業界横断的な取組をJACが担っている事情があります。
よくある質問
Q. 受入負担金は税務上どう扱われますか?
A. 法人の必要経費として扱われ、損金算入が認められます。具体的な勘定科目は「支払手数料」「会費」「外注費」など、各社の運用に応じて選択されています。
外国人本人の給与とは別建ての法人経費として処理する必要があり、給与から控除する形での処理は法令違反となります。税務処理に迷う場合は顧問税理士に相談することが推奨されます。
Q. 1人だけ採用する場合でも賛助会員になる必要がありますか?
A. 直接JACに加入する場合は1人採用でも賛助会員(年会費24万円)が必要ですが、JAC正会員である建設業者団体経由の加入であれば、団体会費のみで済みます。
少人数受入れの場合は団体経由加入が経済合理性に優れます。所属する事業協同組合や建設業者団体がJAC正会員であるかを確認し、可能であればその団体を通じて加入する設計が一般的です。
Q. 負担金の金額はいつ改定されますか?
A. JACの理事会決定により随時改定されます。過去の改定履歴では、2020年・2024年などに料金区分の見直しが行われています。
最新の料金表はJAC公式サイト(jac-skill.or.jp)または所属する建設業者団体経由で配信される会員向け情報で確認してください。年度予算策定時にJACの最新料金体系を反映する運用が必要です。
Q. 特定技能2号にも受入負担金は発生しますか?
A. はい、特定技能2号に移行した場合も負担金は継続します。料金区分は1号と異なる場合があるため、JACに直接確認することが推奨されます。
2号は在留期間更新の上限がないため、長期にわたって負担金が発生し続けます。長期就労を見越した予算設計が重要となります。