用語集 特定技能関連

支援委託契約しえんいたくけいやく

支援委託契約とは?

支援委託契約とは、特定技能所属機関(受入れ機関)が、1号特定技能外国人への義務的支援10項目の全部または一部を登録支援機関に委託する際に締結する契約です。

受入れ機関と登録支援機関が支援業務の範囲・対価・期間・責任分担を明文で取り決め、入管法に基づく届出と組み合わせて運用されます。

支援を全部委託した場合、受入れ機関は支援体制基準を満たしたものとみなされる(みなし規定)ため、自社で支援責任者・支援担当者を選任せずに済みます。

実務上、特定技能外国人を受け入れる企業の約8割が登録支援機関への全部委託を選択しており、支援委託契約は特定技能制度の中核的な実務書類です。

必要になる場面

支援委託契約は、特定技能外国人の在留資格認定証明書交付申請または変更許可申請の段階から必要となります。新規受入れ時のほか、契約変更や登録支援機関の切替などライフサイクル全般で関与します。

特定技能外国人の新規受入れ時

登録支援機関に支援を委託する受入れ機関は、在留資格申請の前段階で支援委託契約を締結します。在留資格申請書類のひとつとして契約書コピーの提出が求められ、契約締結なしでは受入れ自体が認められません。

委託料・契約期間・委託範囲の変更時

委託料の改定(一人あたり月額の変更)、契約期間の延長・短縮、委託範囲の変更(全部委託から一部委託への変更等)など、契約内容に変更が生じた場合は、変更日から14日以内に随時届出が必要です。

登録支援機関の変更・自社支援への切替時

既存の登録支援機関との契約を解約し、別の登録支援機関と新契約を締結する場合や、登録支援機関への委託をやめて自社支援に切り替える場合も、解約と新規締結(または計画変更)の両方の届出が必要です。

申請・取得の手順

支援委託契約の締結から届出までは、概ね以下のステップで進行します。届出義務の起算日は契約変更・締結・終了の各事由発生日であり、起算日の管理が実務の鍵となります。

  1. 登録支援機関を選定する。出入国在留管理庁ホームページの登録支援機関登録簿で適合機関を確認し、複数機関から相見積もりを取得して選定する。
  2. 支援内容・委託料・契約期間・解約条件を協議する。委託範囲は「義務的支援の全部」「一部のみ(項目を特定)」のいずれかを明確にする。
  3. 支援委託契約書を作成し、両当事者が押印・署名して締結する。参考様式第5-10号をベースに自社・委託先の事情を加えてカスタマイズすることが一般的。
  4. 在留資格申請書類のひとつとして契約書コピーを提出。新規受入れの場合は在留資格認定証明書交付申請または変更許可申請に添付する。
  5. 契約変更・締結・終了が発生した場合、参考様式第3-3号(支援委託契約に係る届出書)を変更日から14日以内に管轄入管へ提出する。

注意点・よくある失敗

委託料の安さだけで選定してしまう

登録支援機関の委託料相場は月額2〜3万円ですが、極端に安い機関は支援品質や対応速度に問題があるケースがあります。義務的支援10項目の実施頻度・対応言語・夜間休日対応の有無まで確認して選定することが重要です。

再委託禁止規定を見落とす

登録支援機関は、委託を受けた支援業務をさらに別の登録支援機関へ再委託することができません。受入れ機関が委託先の登録支援機関の組織体制を確認せず、実際は別機関が支援している実態がある場合は法令違反となるため注意が必要です。

届出期限の14日カウントを誤る

契約変更・締結・終了の届出期限は、事由発生日から14日以内です。郵送の場合は到達主義のため、発送日ではなく入管到達日でカウントされます。期限超過は罰則対象となるため、契約日とともに届出期限をカレンダー登録する運用が推奨されます。

委託範囲の合意が曖昧

義務的支援10項目のうちどれを委託し、どれを自社で実施するかが契約書上で曖昧な場合、トラブル時に責任の所在が不明確になります。「全部委託」と明記するか、「事前ガイダンス・住居確保・生活オリエンテーションの3項目のみ」のように項目を具体的に列挙することが望ましい運用です。

類似書類との違い

支援委託契約は、特定技能制度における他の関連書類と役割が異なります。特定技能雇用契約・支援計画・参考様式第5-10号それぞれとの関係を整理します。

項目支援委託契約特定技能雇用契約1号特定技能外国人支援計画
当事者受入れ機関 ⇔ 登録支援機関受入れ機関 ⇔ 特定技能外国人受入れ機関が単独で作成
主目的支援業務の外部委託の取り決め労働条件・報酬・期間の取り決め義務的支援10項目の実施計画
主な様式参考様式第5-10号参考様式第1-5号・1-6号参考様式第1-17号
変更時の届出参考様式第3-3号参考様式第3-1号参考様式第3-2号

3つの書類は相互に関連しており、特定技能雇用契約に基づく雇用関係を、支援計画と支援委託契約によって支援体制面から補完する構造になっています。

新規受入れ時はこの3点セットを整えて申請するのが基本パターンです。

よくある質問

Q. 義務的支援の一部だけを委託することはできますか?

A. 可能です。これを「一部委託」と呼びます。例えば事前ガイダンスと生活オリエンテーションのみを登録支援機関に委託し、残り8項目は自社で実施するといった設計が認められています。

ただし一部委託の場合は、自社で実施する項目について受入れ機関自身が支援体制基準(過去2年以内の中長期在留者雇用実績、支援責任者・担当者の選任など)を満たす必要があります。「みなし規定」が適用されるのは全部委託の場合のみである点に注意してください。

Q. 委託料の相場はどのくらいですか?

A. 全部委託の場合、特定技能外国人1人あたり月額2〜3万円が一般的な相場です。受入人数や対応言語、地域によって変動します。

初期費用(事前ガイダンス・送迎・生活セットアップ等)として5〜10万円程度を別途請求する機関や、月額をディスカウントする代わりに長期契約を結ぶ機関もあります。年間総額を比較する際は、月額×12か月+初期費用+オプション費用で試算することが推奨されます。

Q. 委託先の登録支援機関を変更したい場合の手続きは?

A. 既存契約の解約と新規契約の締結を行い、それぞれについて参考様式第3-3号(支援委託契約に係る届出書)を14日以内に提出します。

切替前後で支援内容が変わる場合は支援計画の変更(参考様式第3-2号)も併せて届け出ます。空白期間が発生しないように、新契約の開始日と旧契約の終了日を連続させることが実務上重要です。

Q. 契約書のひな型はどこで入手できますか?

A. 出入国在留管理庁ホームページで公表されている参考様式第5-10号がひな型として利用できます。

参考様式は最低限の必要事項を満たすシンプルな構成のため、実務では支援内容の詳細・解約条件・損害賠償・秘密保持などの条項を追加してカスタマイズするのが一般的です。複雑な事案では行政書士・弁護士へのレビュー依頼が推奨されます。

参考資料

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