介護福祉士国家試験とは?
介護福祉士国家試験とは、介護分野における唯一の国家資格「介護福祉士」を取得するために必要な国家試験です。社会福祉士及び介護福祉士法に基づき、公益財団法人社会福祉振興・試験センターが実施しています。
介護福祉士は介護の専門職として、利用者への介護提供だけでなく、介護過程の展開・他職種連携・介護プランの作成など高度な業務を担う中核資格です。
外国人が介護福祉士に合格した場合、在留資格「介護」へ移行でき、在留期間更新の上限が外れて家族帯同も認められるなど、特定技能1号と比べて待遇が大きく向上します。
特定技能1号「介護」で就労する外国人にとっては、長期定着・永住権取得・家族との生活実現を見据えた重要なキャリアパスです。
具体的な意味・内容
試験は受験ルート別に要件・科目が異なります。外国人が受験する場合のメイン経路である実務経験ルート、養成施設ルート、福祉系高校ルートの3つが代表的です。
実務経験ルート
従業期間3年以上・従事日数540日以上の介護等業務経験+実務者研修修了が受験資格となります。特定技能1号「介護」で3年以上働いた外国人は、このルートで受験するのが標準です。働きながら受験できるため、在留期間中の戦略的な資格取得が可能です。
養成施設ルート
厚生労働大臣指定の介護福祉士養成施設(2年制以上の専門学校・短大・大学)を卒業することで受験資格を得ます。EPA(経済連携協定)介護福祉士候補者や留学生はこのルートで取得することが多いです。在留資格「留学」または「特定活動」(EPA)で来日して養成施設で学習する流れとなります。
パート合格制度(2025年度導入)
第38回試験(2026年1月実施)から、複数の科目を3つのパート(パート①〜③)に区分けして合否を判定するパート合格制度が導入されました。合格したパートは翌年・翌々年の受験で免除されるため、外国人受験者にとっても複数年にわたって段階的に合格を目指せる柔軟な仕組みとなりました。
合格率
2025年実施(第37回)の合格率は78.3%(受験者75,387人中58,992人合格)でした。一見高い合格率ですが、受験者の多くが実務経験者・養成施設修了者であり、十分な準備を経た上での受験のため数字が高くなっています。日本人受験者と外国人受験者の合格率には差があり、外国人にとっては日本語力が大きな鍵となります。
関連する制度・在留資格との関係
介護福祉士に合格すると、在留資格「介護」への移行が可能となり、特定技能1号とは大きく異なる待遇が得られます。両者の比較は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠法令 | 社会福祉士及び介護福祉士法 |
| 実施機関 | 公益財団法人社会福祉振興・試験センター |
| 受験料 | 18,380円 |
| 試験日(第38回) | 2026年1月25日(合格発表 2026年3月16日) |
| 合格率(第37回) | 78.3% |
| パート合格制度 | 第38回(2025年度実施)から導入。3区分制で合格パートは翌年以降免除 |
| 合格後の在留資格 | 「介護」へ移行可能(在留期間更新の上限なし、家族帯同可) |
在留資格「介護」は5年・3年・1年・3か月のいずれかで付与され、更新を続ければ無制限に在留可能です。永住要件の通算年数にも算入されるため、永住権取得への道も開けます。
実務上の注意点
特定技能1号期間中の戦略的受験
特定技能1号「介護」は通算5年の在留期間制限があるため、3〜4年目までに介護福祉士に合格して在留資格「介護」へ移行する戦略が望まれます。3年経過後は実務経験ルートで受験資格が得られるため、3年経過後すぐの受験を目指す計画が標準です。
実務者研修の早期修了
受験資格には実務者研修(450時間相当)の修了が必要です。働きながら通信+スクーリング形式で受講するのが一般的で、6か月〜1年かかります。3年経過時点で受験するためには、就業開始から早期に研修申込を行う計画性が求められます。
日本語力の壁
試験問題は日本語のみで出題され、医学・福祉の専門用語が大量に登場します。漢字読解力・専門語彙の暗記・長文読解力が要求されるため、JLPT N3以上、可能であればN2レベルの日本語力があると合格率が高まります。送出機関や受入施設で試験対策クラスを提供している例もあるため、活用を検討する価値があります。
パート合格制度の活用
第38回試験から導入されたパート合格制度を活用すれば、年1回の試験で全11科目を一度に合格する必要がなくなり、3年計画で段階的に合格を目指せます。外国人受験者にとっては大きなメリットとなる新制度です。
他試験との違い
介護福祉士国家試験は、介護技能評価試験・初任者研修・実務者研修などと混同されやすいため、整理します。
| 項目 | 介護福祉士国家試験 | 介護技能評価試験 | 実務者研修 |
|---|---|---|---|
| 性格 | 国家資格(最高位) | 特定技能1号要件試験 | 研修課程修了 |
| 主目的 | 介護福祉士資格取得 | 特定技能1号介護分野の取得 | 国家試験受験資格 |
| 合格後の効果 | 在留資格「介護」へ移行可 | 特定技能1号「介護」取得 | 実務経験ルートでの受験資格取得 |
| 受験料 | 18,380円 | 約1,000円 | 10〜20万円(研修受講料) |
| 合格率 | 約78% | 約65〜72% | 受講+修了試験 |
介護分野のキャリアアップ階段は「介護技能評価試験 → 特定技能1号で実務3年+実務者研修 → 介護福祉士国家試験 → 在留資格『介護』」というステップで進む設計です。
よくある質問
Q. 特定技能1号「介護」で何年働けば受験資格が得られますか?
A. 従業期間3年以上・従事日数540日以上の介護等業務経験で受験資格を得られます。あわせて実務者研修の修了も必要です。
3年は連続している必要はなく、特定技能1号期間内であれば断続的でも合算カウントできます。技能実習「介護」の期間も算入対象となるため、技能実習経由で来日した外国人は技能実習期間も含めて3年を計算できます。
Q. 試験は外国語で受けられますか?
A. 通常版は日本語のみでの出題ですが、EPA介護福祉士候補者向けには「全ての漢字へのふりがな付記」「試験時間1.5倍」などの特別措置が用意されています。
EPAルート以外の外国人受験者には特別措置が適用されないため、日本語学習の蓄積が合否を大きく左右します。実務経験を積みながら日本語の継続学習を行うことが重要です。
Q. パート合格制度では何年以内に全パート合格する必要がありますか?
A. 合格したパートは翌年・翌々年の受験で免除されます。つまり最初の受験から3年以内に全パート合格する必要があります。
3年以内に全パート合格できなかった場合、合格していたパートも無効になり、再度全科目受験となります。3年計画で確実に合格するための学習スケジュール立案が重要です。
Q. 合格後すぐに在留資格「介護」へ変更できますか?
A. 合格と介護福祉士登録完了後、在留資格変更許可申請が可能です。実際の変更には約1〜3か月の審査期間が必要です。
介護福祉士登録は合格証受領後に都道府県へ申請する手続きで、登録証発行までさらに数週間かかります。特定技能1号の在留期限が近い場合は、合格直後から手続きを並行して進めることが推奨されます。