用語集 特定技能関連

自動車整備分野(特定技能)じどうしゃせいびぶんや

自動車整備分野(特定技能)とは?

自動車整備分野(特定技能)とは、在留資格「特定技能」の対象となる19分野の一つで、日本の自動車整備業における深刻な人材不足に対応するための分野です。

所管省庁は国土交通省で、2019年の制度創設時から対象分野として運用されています。特定技能1号・2号の両方が設定されており、長期的な整備技術者としてのキャリア形成が可能な分野です。

業務内容は日常点検整備・定期点検整備・特定整備などで、2号では電子制御装置の整備・鈑金塗装・要員への指導などより高度な業務にも従事できます。

受入企業は道路運送車両法に基づく地方運輸局長の認証(認証工場・指定工場)を受けていることが必須条件で、無認証の事業所での受入れはできません。

制度の背景

自動車整備分野の特定技能は、日本の自動車整備業界の人材不足への対応として設けられました。自動車保有台数は多い一方で整備士の高齢化と若年層の減少が続いており、外国人材の受入れが業界維持の重要な要素となっています。

試験実施機関は日本自動車整備振興会連合会(日整連)で、業界団体主導で外国人材の技能水準を保証する仕組みとなっています。試験は国内に加えてフィリピン・ベトナムでも実施されており、海外からの人材受入が活発な分野です。

技能実習「自動車整備」職種からの移行ルートも整備されており、技能実習2号修了者は試験免除で特定技能1号に移行できます。

主な種類と要件

自動車整備分野の特定技能活用には、業務内容・取得要件・受入機関要件の3つを理解することが重要です。認証工場であることが受入の前提条件となる点が特徴です。

① 従事できる業務

特定技能1号日常点検整備・定期点検整備・特定整備(分解整備等)・付随業務(洗車、部品運搬等)
特定技能2号1号の業務+電子制御装置の整備・鈑金塗装などの高度業務、他の要員への指導
対象車種乗用車・トラック・バス・特殊車両など、すべての自動車が対象

1号から2号にステップアップすると、業務範囲が大幅に広がります。

近年の自動車は電子制御装置(ECU・ADAS等)の整備や鈑金塗装など高度な技術が求められており、2号取得者はこれらの業務で中核的な役割を担えるようになります。他の整備士への技術指導も2号の重要な業務となっています。

② 取得要件(外国人本人)

特定技能1号自動車整備分野特定技能1号評価試験または自動車整備士技能検定3級+日本語試験(JLPT N4以上またはJFT-Basic)
特定技能2号自動車整備分野特定技能2号評価試験または自動車整備士技能検定2級+認証工場での3年以上の実務経験
試験免除(1号)自動車整備職種の技能実習2号良好修了者は試験免除
試験実施場所日本国内+フィリピン・ベトナム(海外試験あり)

試験は学科試験(構造・機能・取扱法、点検修理調整、計量器工具、材料燃料の知識等)と実技試験で構成されます。

日本の自動車整備士技能検定(3級・2級)に合格すれば特定技能試験が免除される特例もあり、日本の国家資格取得者には有利な制度設計となっています。

③ 受入機関(企業)の要件

認証工場道路運送車両法に基づく地方運輸局長の認証を受けた自動車整備工場(認証工場または指定工場)
協議会加入自動車整備分野特定技能協議会の構成員になること
雇用形態直接雇用のみ(派遣不可)
報酬日本人整備士と同等額以上の報酬
支援体制10項目の特定技能外国人支援計画の実施

最も重要な要件は認証工場であることです。道路運送車両法では分解整備(特定整備)を行う事業所は認証を受けることが義務付けられており、無認証の事業所では特定技能外国人を受け入れることができません。協議会への加入手続きは、認証を受けてから行うことになります。

立場別の実務ポイント

自動車整備分野の特定技能活用には、整備工場・外国人本人・業界団体それぞれの連携が重要です。

受入企業(自動車整備工場)

認証工場の確認と準備

自動車整備工場として特定技能外国人を受け入れるには、まず地方運輸局長の認証を確認します。未認証の場合は、認証取得が受入の前提条件となります。認証取得には工場設備・整備士配置・管理体制などの要件を満たす必要があり、準備に相当な時間を要します。

2号へのキャリア形成支援

優秀な外国人整備士の長期定着には、特定技能2号への移行支援が効果的です。2号取得に必要な3年以上の実務経験と試験対策をサポートすることで、家族帯同・無期限就労が可能となり、企業にとっても長期戦力として育成できます。自動車整備士技能検定2級の取得支援も有効な選択肢です。

外国人本人

最新の自動車技術への対応

日本の自動車整備は電気自動車(EV)・ハイブリッド車・先進運転支援システム(ADAS)など最新技術への対応が求められます。来日時の基礎技能に加えて、電子制御装置の整備など高度技術の習得が必要となるため、現場での継続的な学習が重要です。

日本の国家資格への挑戦

日本の自動車整備士技能検定(3級・2級)に合格すれば、特定技能試験が免除されるだけでなく、国家資格保有者としてキャリア・待遇で大きく有利になります。1号として就労しながら3級、その後2級取得を目指すことで、特定技能2号の取得もスムーズになります。

類似制度との比較

自動車整備業には特定技能以外にも複数の外国人受入制度があります。それぞれの性質を理解することが重要です。

比較項目特定技能1号特定技能2号技能実習「自動車整備」
在留期間通算5年無期限最長5年
家族帯同不可不可
従事業務日常・定期・特定整備+電子制御・鈑金塗装・指導基礎的な整備業務
試験要件1号試験または3級2号試験または2級+実務3年技能実習計画認定
受入要件認証工場+協議会加入認証工場+協議会加入実習実施者の認定

自動車整備業界のキャリアパスは技能実習→特定技能1号→特定技能2号のステップが整備されており、最終的に家族帯同・長期定着が実現します。

日本の自動車整備士国家資格(3級・2級)の取得ルートも並行しているため、外国人整備士の将来的なキャリア選択肢が豊富な分野です。

よくある質問

Q. 認証工場でない整備工場でも受入はできますか?

A. できません。自動車整備分野では道路運送車両法に基づく地方運輸局長の認証を受けた事業所でなければ、特定技能外国人を受け入れることができません。まず認証を取得することが前提条件となります。

認証工場には認証工場(一般の整備工場)と指定工場(国土交通省指定の車検整備工場)の区分がありますが、いずれも受入可能です。認証申請には工場設備・整備士の人員配置・管理組織などの要件があり、取得には時間がかかるため早期の準備が推奨されます。

Q. 日本の自動車整備士資格と特定技能の関係は?

A. 日本の自動車整備士技能検定に合格していれば、特定技能試験が免除される特例があります。3級合格で特定技能1号試験免除、2級合格で特定技能2号試験免除となります。

日本の整備士資格は国家資格として高い信用力があり、待遇面でも有利に働きます。来日後に1級を取得して独立開業を目指す外国人もおり、長期的なキャリア形成には国家資格取得が有効な選択肢となります。

Q. 海外での試験受験は可能ですか?

A. 可能です。自動車整備分野の特定技能試験はフィリピンとベトナムで定期的に実施されています。来日前に現地で受験・合格してから来日することができるため、渡航コストや時間の削減につながります。

試験実施日程は日本自動車整備振興会連合会(日整連)の公式サイトで公開されています。海外試験は日本国内試験と同じ水準で実施されるため、合格すれば日本国内での採用と同等の資格が得られます。

Q. EV・ハイブリッド車の整備も対応できますか?

A. はい、対応可能です。特定技能2号では電子制御装置の整備が正式な業務として認められており、EV・ハイブリッド車の整備も担当できます。1号でも現場教育を受けて従事することは可能です。

ただし、高電圧電気取扱などの特殊作業には別途の資格・訓練が必要となります。日本の自動車業界はEV化が急速に進んでいるため、特定技能外国人材にとって将来性のあるキャリア分野となっています。

参考資料

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