用語集 特定技能関連

受入れ機関の基準うけいれきかんのきじゅん

受入れ機関の基準とは?

受入れ機関の基準とは、特定技能外国人を雇用する企業(特定技能所属機関)が満たすべき適合性要件の総称です。基準を満たさない企業は新規受入れが認められず、既存の特定技能外国人の在留期間更新も不許可となるため、受入れの大前提となる重要要件です。

基準は雇用契約の基準(報酬同等要件・労働条件など)と受入れ機関自体の基準(過去5年以内の法令違反なし・1年以内の非自発的離職や行方不明者なし等)に大別されます。

支援体制の充足(自社支援の場合)または支援委託契約の締結(委託の場合)が求められ、3層すべてのクリアが必要です。

具体的な意味・内容

受入れ機関の基準は、雇用契約・機関自体・支援体制の3層構造で運用されます。各層の具体的な要件と判定基準を整理します。

第1層:雇用契約の基準

特定技能外国人と締結する雇用契約の内容に関する基準です。報酬同等要件(日本人と同等以上の賃金)、業務内容が産業分野の対象業務に該当すること、所定労働時間が同種業務の日本人と同等であること、一時帰国時の有給休暇付与・帰国旅費負担・保証金徴収禁止などが含まれます。

第2層:受入れ機関自体の基準(適格性)

機関自体が「特定技能外国人を適切に受け入れる能力と適格性」を有することを示す基準です。過去5年以内に出入国・労働関係法令違反がないこと、過去1年以内に同種業務従事者の非自発的離職を発生させていないこと、過去1年以内に当該機関の責めに帰すべき事由による行方不明者を発生させていないこと、欠格事由(暴力団関係等)に該当しないことが代表的要件です。

第3層:支援体制の充足

1号特定技能外国人への義務的支援10項目を実施できる体制を有することの基準です。自社支援の場合は支援責任者・支援担当者の選任と過去2年以内の中長期在留者雇用実績、外国語対応体制が必要です。登録支援機関に全部委託する場合は、支援委託契約の締結により基準を満たしたとみなされます。

分野別協議会への加入

該当する産業分野の分野別協議会への加入が義務化されています(2024年6月15日以降は在留資格申請前の加入が必須)。協議会が設置されていない初期の例外を除き、全16分野で加入義務があり、未加入の場合は新規受入れができません。

関連する法律・基準

受入れ機関の基準の主要項目を体系的に整理すると以下のとおりです。

分類主な基準
法令遵守労働・社会保険・租税法令の遵守。法令違反による罰金刑等を受けていないこと
欠格事由過去5年以内に出入国・労働・社会保険・刑法等の違反による罰金刑等がないこと、暴力団関係でないこと
離職実績過去1年以内に同種業務の従業員を非自発的離職させていないこと
行方不明者過去1年以内に当該機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと
雇用契約適合報酬同等要件、所定労働時間の妥当性、業務内容が分野対象業務に該当
支援体制自社支援の場合は要件充足、登録支援機関全部委託の場合はみなし規定適用
協議会加入該当分野の分野別協議会への加入(在留資格申請前)
書類保管特定技能外国人に関する書類を雇用契約終了後1年以上保管

これらの基準は新規受入れ時のみならず、在留期間更新審査定期届出の場面でも継続的に確認されます。受入れ後に基準を満たさなくなった場合、特定技能外国人の在留更新が不許可となるリスクがあるため、継続的な遵守体制の構築が必要です。

実務上の注意点

非自発的離職の判定範囲を誤らない

非自発的離職とは、解雇・退職勧奨・労働条件の重大な変更による退職などを指し、自己都合退職は原則含まれません。ただし、ハラスメントや劣悪な労働条件を放置した結果としての退職は実質的な非自発的離職と判定される場合があるため注意が必要です。同種業務の日本人労働者が判定対象であり、別業務の離職は影響しません。

行方不明者の責任判定

受入れ機関の責めに帰すべき事由による行方不明とは、賃金未払い・パワハラ・労働条件の契約違反など、機関側に原因がある場合を指します。本人の自由意思による失踪(より高待遇を求めての失踪等)は原則含まれませんが、入管調査で機関側に問題が認められれば責任ありと判定されます。

過去5年・1年のカウントの起算日

過去5年・1年は在留資格認定証明書交付申請時点から逆算してカウントします。新規受入れの度にカウントが更新されるため、5年経過直前の事案は申請タイミングをずらすことで欠格事由を解消できる場合があります。ただし、悪質な事案は別途審査されるため、機械的な逃れ方策ではない点に留意が必要です。

基準は受入れ後も継続適用

受入れ機関の基準は新規受入れ時の審査だけでなく、在留期間更新時・定期届出時に継続的にチェックされます。受入れ後に法令違反や非自発的離職が発生すると、既存の特定技能外国人の在留更新も連鎖的に不許可となる可能性があるため、継続的な労務コンプライアンス体制の維持が不可欠です。

登録支援機関の登録基準との違い

受入れ機関の基準と、登録支援機関の登録基準は別個に存在します。両者を混同すると申請時の準備ミスにつながるため、違いを整理します。

項目受入れ機関の基準登録支援機関の登録基準
対象特定技能外国人を雇用する企業支援業務を受託する組織
主な内容雇用契約・機関適格・支援体制の3層支援責任者の選任、業務遂行能力、5年以内の登録取消なし
確認のタイミング在留資格申請時、更新時、定期届出時登録申請時、5年ごとの更新時
違反時の効果新規受入れ不可、在留更新不許可登録取消、5年間の再登録不可

受入れ機関は雇用主としての適格性が問われるのに対し、登録支援機関は支援業務の遂行能力が問われます。

登録支援機関への支援委託は受入れ機関の支援体制要件を満たす方法の一つに過ぎず、受入れ機関自体の他の要件(過去5年の法令違反なし等)は別途独立して充足する必要があります。

よくある質問

Q. 設立間もない法人でも受入れ機関になれますか?

A. 法人の設立年数自体に基準はありません。設立直後の法人でも、雇用契約・機関適格・支援体制の各要件を満たせば受入れ可能です。

ただし、自社支援を選択する場合は過去2年以内の中長期在留者雇用実績が必要となります。実績がない場合は登録支援機関への全部委託を選択することで支援体制要件を充足できます。設立直後の機関は登録支援機関活用が現実的な選択肢です。

Q. 過去に労働基準法違反で是正勧告を受けたことがあります。受入れ可能ですか?

A. 是正勧告のみであれば直ちに欠格事由には該当しませんが、罰金刑以上の処分を受けた場合は過去5年以内なら欠格事由に該当します。

送検・公訴提起・罰金刑などの司法手続を経た場合のみ欠格事由となるため、行政指導・是正勧告のレベルで完結している場合は受入れ可能です。判断に迷う場合は管轄入管または行政書士に事前相談することが推奨されます。

Q. 1年以内に日本人を解雇している場合、特定技能の受入れはできませんか?

A. 解雇された日本人が同種業務に従事していた場合は受入れ不可です。別業務の解雇は影響しません。

例えば製造ラインの作業員を解雇しているのに製造分野で特定技能外国人を受け入れる場合は同種業務にあたります。事務職・営業職などの非製造職を解雇している場合は、製造分野での受入れに影響しません。判定の鍵は「解雇した日本人の業務」と「受け入れる外国人の業務」の同質性です。

Q. 受入れ後に基準を満たさなくなった場合、即座に特定技能外国人を解雇する必要がありますか?

A. 即時解雇は不要ですが、在留期間更新申請時に新たな受入れ機関を確保するか、外国人本人が他社へ転職する必要があります。

基準を満たさなくなった事由(法令違反・行方不明者発生等)は14日以内に随時届出する義務があります。届出後、外国人本人と相談のうえ、転職支援を行うことが受入れ機関の責任です。受入れ機関都合の解雇となる場合は、義務的支援10項目の「転職支援」の対象として、本人の次の就職先確保まで支援する必要があります。

参考資料

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