育成就労制度

2027年4月1日、外国人技能実習制度に代わる新しい仕組み「育成就労制度」が始まります。技能実習生を受け入れている企業も、これから外国人材の採用を考える企業も、受入れのルールが大きく変わります。

このページでは、育成就労制度の全体像を、出入国在留管理庁(以下、入管庁)や外国人技能実習機構(以下、機構)の公表資料をもとにまとめました。制度の目的、始まるまでのスケジュール、技能実習との違い、対象となる17分野、日本語と転籍のルール、今いる技能実習生の扱い、企業が今から準備すべきことを順に説明します。

※2026年9月19日時点の情報です。制度の細部は今後も公表が続くため、最新情報は末尾の参考資料で確認してください。

1. 育成就労制度とは(要点)

育成就労制度は、人手不足の分野で外国人材を「育成」し、その分野で働く人材として「確保」するための制度です。技能実習制度は「開発途上国への技能移転による国際貢献」を目的としていました。育成就労制度は、日本国内の人材確保を正面から目的に掲げた点が大きな違いです。

要点は次の5つです。

  • ●始まる日:2027年(令和9年)4月1日。施行日を定める政令は、2025年9月26日に閣議決定されました
  • ●期間:原則3年間。3年間の就労を通じて、特定技能1号の水準の技能を身につけることを目指します
  • ●その後:試験に合格すれば、在留資格「特定技能1号」に移り、同じ分野で働き続けられます
  • ●対象分野:17分野。特定技能の19分野のうち、自動車運送業と航空は対象外です
  • ●受入れの見込数:2029年(令和11年)3月末までに42万6,200人が上限とされています

技能実習制度は、施行日以降、新たな受入れができなくなります。すでに日本にいる技能実習生には経過措置があります(9節)。

2. いつから始まる? 施行までのスケジュール

育成就労制度は2027年4月1日に始まりますが、準備の手続きはすでに始まっています。

時期 出来事 企業への影響
2024年6月21日 育成就労制度を創設する改正法が公布(令和6年法律第60号) 技能実習制度の廃止が決定
2025年9月26日 施行日を2027年4月1日とする政令が閣議決定 開始日が確定
2026年1月23日 基本方針・分野別運用方針が閣議決定。対象17分野、受入れ見込数が決定 自社の業務が対象か判断できるようになった
2026年4月15日 監理支援機関の許可申請(施行日前申請)の受付開始 監理団体が新制度に向けて許可を申請
2026年9月1日 育成就労計画の認定申請(施行日前申請)の受付開始 企業が新制度での受入れを申請できる
2026年9月30日 技能実習制度の監理団体の新規許可申請の期限 —
2027年2月 技能実習1号の計画認定申請の期限(機構からの依頼) 技能実習で新たに受け入れる最後の機会
2027年3月31日 技能実習の計画認定を申請できる最終日(経過措置の対象) 3か月以内(原則6月30日まで)に実習開始が必要
2027年4月1日 育成就労制度の施行 新制度での受入れ開始

育成就労計画の認定申請は、申請者の住所を担当する機構の地方事務所・支所へ郵送で行います。2026年9月1日から、すでに受付が始まっています。

3. 技能実習・特定技能との違い

項目 技能実習(2027年3月まで) 育成就労(2027年4月から) 特定技能1号
目的 技能移転による国際貢献 人材の育成と確保 人手不足分野での即戦力の確保
期間 最長5年(1号〜3号) 原則3年 通算5年まで
対象分野 職種・作業ごとに設定 17分野 19分野
本人の希望による転籍 原則できない 一定の条件で認められる 同じ業務区分内で転職できる
日本語の要件 職種により異なる(介護は入国時に日本語能力試験N4相当以上) 就労開始前にA1相当以上 A2相当以上(日本語能力試験N4等)
企業を支える機関 監理団体 監理支援機関 登録支援機関(委託は任意)
送出機関への手数料 上限の定めなし 月給の2か月分までが本人負担の上限 —

特定技能との関係も押さえておきましょう。育成就労は「特定技能1号の水準まで育てる3年間」、特定技能は「育った人材が働き続ける在留資格」という位置づけです。そのため、育成就労の対象分野は特定技能の分野とほぼ重なっています。特定技能の詳しい内容は特定技能制度とはをご覧ください。

4. 対象となる17分野

育成就労で受け入れられるのは、次の17分野です。2026年1月23日の閣議決定で、リネンサプライ・物流倉庫・資源循環の3分野が加わりました。表の「転籍までの期間」は、本人の希望で転籍できるようになるまでに、同じ企業で働く必要がある期間です(7節)。

分野 転籍までの期間
介護 2年
ビルクリーニング 1年
リネンサプライ(2026年追加) 1年
工業製品製造業 2年
建設 2年
造船・舶用工業 2年
自動車整備 2年
宿泊 1年
鉄道 1年
物流倉庫(2026年追加) 1年
農業 1年
漁業 1年
飲食料品製造業 2年
外食業 2年
林業 1年
木材産業 1年
資源循環(2026年追加) 2年

転籍までの期間は、分野別運用方針(2026年1月23日閣議決定)の各分野の別紙で定められています。期間が2年の分野でも、受入れ企業の判断で1年にできます。

注意点

  • ●特定技能の分野である自動車運送業と航空は、育成就労の対象外です。この2分野で外国人材を受け入れる場合は、特定技能を使います
  • ●新たに加わった3分野は、分野ごとの基準(告示)の公布・施行後、準備が整い次第、受入れが始まる予定です。受入れ開始の時期は分野ごとに異なるため、所管省庁の発表を確認してください
  • ●1つの分野の中でも、受け入れられる業務の範囲(業務区分)が決まっています。自社の業務が当てはまるかは、分野別運用方針で確認します

用語の詳しい説明は、用語集の育成就労の対象17分野もご覧ください。

5. 受け入れる企業に求められること

育成就労で外国人を受け入れる企業(法律上は「育成就労実施者」)には、主に次のことが求められます。

  1. 1.育成就労計画の認定を受ける
    外国人1人ごとに、3年間でどの業務を、どの水準まで身につけてもらうかを計画にまとめ、機構の認定を受けます。詳しくは用語集の育成就労計画をご覧ください
  2. 2.日本人と同等以上の報酬を支払う
    同じ業務に従事する日本人と比べて、同等以上の報酬を支払う必要があります
  3. 3.分野別の協議会に加入する
    分野ごとに設けられる協議会への加入が求められます
  4. 4.受入れの形を選ぶ
    監理支援機関の支援を受けて受け入れる「監理型」と、企業が単独で行う「単独型」があります。中小企業の多くは監理型を選ぶことになります

監理支援機関とは
技能実習の「監理団体」に代わる機関です。受入れ企業への監査や指導、外国人の保護・支援、転籍の支援などを行います。ここで注意したいのは、今の監理団体が自動的に監理支援機関になるわけではないことです。監理団体も、新たに監理支援機関の許可を受けなければ、育成就労の監理支援を行えません。今お付き合いのある監理団体が、監理支援機関の許可を申請しているかを早めに確認しましょう。詳しくは用語集の監理支援機関をご覧ください。

6. 外国人に求められる日本語と技能の水準

育成就労では、日本語と技能の目標が段階ごとに決まっています。日本語の水準は、国が定める「日本語教育の参照枠」のレベル(A1、A2など)で示されます。

時点 日本語 技能
就労を始める前 A1相当以上の試験に合格(日本語能力試験N5、JFT-Basic等)、または認定日本語教育機関でA1相当の講習を100時間以上受講 —
本人の希望で転籍するとき A2.1相当以上 技能検定基礎級、または育成就労評価試験(初級)への合格(分野により異なる)
3年間の修了時(特定技能1号へ移るとき) A2.2相当以上(日本語能力試験N4等) 特定技能1号評価試験、技能検定3級等への合格
  • ●介護分野と、鉄道分野の運輸係員は、ここに示した水準より高い日本語能力が求められます
  • ●介護:就労を始める時点から転籍時までA2.2相当以上。3年間の修了時には、A2.2相当以上に加えて介護特定技能評価試験(日本語)の合格も必要です
  • ●鉄道の運輸係員:就労を始める時点と転籍時はA2.2相当以上、修了時はB1相当以上です
  • ●受入れ企業には、外国人が日本語を学ぶ機会を確保することが求められます

7. 転籍(転職)のルール

技能実習では、原則として受入れ先を変えることができませんでした。育成就労では、一定の条件を満たせば、本人の希望で転籍できます。

本人の希望による転籍の主な条件

  • ●同じ企業で、分野ごとに定められた期間(1年または2年)以上働いていること。期間が2年の分野でも、受入れ企業の判断で1年にできます
  • ●技能の試験(技能検定基礎級、または育成就労評価試験(初級)。分野により異なる)と、日本語の試験(A2.1相当以上。介護と鉄道の運輸係員はA2.2相当以上)に合格していること
  • ●転籍先が、同じ業務区分の仕事であり、適切に受入れを行える企業であること

やむを得ない事情による転籍
暴行やハラスメント、解雇や事業の縮小、賃金の不払いなどの重大で悪質な法令違反など、やむを得ない事情がある場合は、同じ企業で働いた期間の制限を受けずに転籍できます。

企業にとっては「育てた人材が他社に移る可能性がある」ということです。報酬、職場環境、日本語学習の支援など、働き続けたいと思ってもらえる環境づくりが、これまで以上に重要になります。詳しくは用語集の育成就労の転籍をご覧ください。

8. 費用と送出機関のルール

  • ●外国人が母国の送出機関に支払う手数料には上限があり、受入れ企業が支払う月給(所定内の月額)の2か月分までとされています。上限を超える分は、受入れ企業または監理支援機関が負担します
  • ●上限の対象は、送出手数料、日本語などの講習費、渡航費など、送り出しの過程で送出機関に支払う一切の費用です。本人の家族が支払う場合も含みます
  • ●「月給」は、時間外手当などを除いた所定内賃金の月額で計算します

送出機関の手数料が高く、来日前に多額の借金を抱えることが技能実習制度の大きな問題でした。上限が設けられたことで、受入れ企業側の費用負担が増える場合があります。受入れにかかる費用は、監理支援機関に内訳を確認して見積もることをおすすめします。

9. 今いる技能実習生はどうなる? 経過措置

育成就労制度が始まっても、日本にいる技能実習生がすぐに帰国しなければならないわけではありません。

ケース 扱い
2027年4月1日の時点で技能実習をしている 今の計画のまま技能実習を続けられる
2027年3月31日までに技能実習計画の認定を申請し、原則6月30日までに実習を始める 同じく技能実習として受け入れられる
技能実習1号から2号へ 移行できる
技能実習2号から3号へ 2027年4月1日の時点で2号を1年以上行っている人に限り移行できる
技能実習から育成就労へ 切り替えることはできない
技能実習2号を良好に修了した人が特定技能1号へ 当分の間、業務に関連性があれば移行できる

技能実習と育成就労は別の制度として扱われます。今いる技能実習生の今後は「技能実習を最後まで続け、その後は特定技能に移る」という道筋が基本になります。

一方、育成就労から特定技能1号へ移るときは、技能と日本語の試験の合格が必要です。技能実習2号の修了者のような試験の免除はありません。3年間で試験に合格できなかった場合は、再受験のために、最長1年の範囲で在留の継続を認める方針が示されています。

詳しくは用語集の経過措置と技能実習の廃止もご覧ください。

10. 企業が今から準備すべきこと(3ステップ)

STEP 1 自社の業務が対象になるか確認する(今すぐ)
任せたい業務が17分野のどれに当たるか、その分野のどの業務区分に入るかを確認します。自動車運送業や航空のように育成就労の対象外の分野では、特定技能での採用を検討します。

STEP 2 監理支援機関を選ぶ(2026年中)
今の監理団体が監理支援機関の許可を申請しているかを確認し、必要なら新しい機関を探します。支援の内容、費用の内訳、対応できる国・分野を比べて選びましょう。

STEP 3 育成就労計画を準備し、申請する(2026年9月から受付中)
育成就労計画の認定申請は、2026年9月1日から機構で受付が始まっています。報酬の設定、日本語学習の支援、住居の確保など、受入れの体制を整えたうえで申請します。技能実習で受け入れる場合の申請期限(2027年2月)もあわせて確認し、どちらの制度で受け入れるかを決めましょう。

無料相談のご案内
「自社の業務が対象分野に当たるか分からない」「監理支援機関の選び方を知りたい」「技能実習と育成就労のどちらで受け入れるべきか」など、外国人材採用ツナガル24の無料相談センターでご相談いただけます。
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11. よくある質問

Q. 育成就労制度はいつから始まりますか?
A. 2027年4月1日です。育成就労計画の認定申請は、2026年9月1日から受付が始まっています。→ 技能実習制度はいつ終わりますか?

Q. どんな分野で受け入れられますか?
A. 介護、建設、農業、外食業など17分野です。自動車運送業と航空は対象外です。→ どんな分野で受け入れられますか?

Q. 入国の時点で、どのくらいの日本語力が必要ですか?
A. A1相当以上の試験への合格、または認定日本語教育機関でのA1相当の講習100時間以上の受講が必要です。→ 外国人が入国するには、どのレベルの日本語・技能が必要ですか?

Q. 本人が希望すれば転籍できますか?
A. 分野ごとに決められた期間(1年または2年)以上働き、技能と日本語の試験に合格していれば、同じ業務区分の企業へ転籍できます。→ 外国人本人が希望する場合、転籍(転職)はできますか?

Q. 今の監理団体は、そのまま監理支援機関になりますか?
A. なりません。監理団体も、新たに監理支援機関の許可を受ける必要があります。→ 監理支援機関とは何ですか?

Q. 今いる技能実習生を育成就労に切り替えられますか?
A. 切り替えはできません。技能実習を続け、修了後は特定技能への移行を検討します。→ 技能実習や特定技能から移行するには?

Q. 3年間で試験に合格できなかったらどうなりますか?
A. 再受験のために、最長1年の範囲で在留の継続を認める方針が示されています。→ 試験に不合格になった場合はどうなりますか?

Q. 企業は今から何を準備すればよいですか?
A. 対象分野の確認、監理支援機関の選定、育成就労計画の準備の3つです(10節)。→ 企業は今から何を準備すべきですか?

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12. 関連ページ

参考資料

資料 発行 公開・更新 確認日
育成就労制度の概要(令和8年7月改訂) 出入国在留管理庁 2026年7月 2026-09-19
育成就労制度Q&A 出入国在留管理庁 更新日の表示なし 2026-09-19
分野別運用方針の主要記載事項 出入国在留管理庁 2026年1月閣議決定分 2026-09-19
育成就労制度の基本方針・分野別運用方針 出入国在留管理庁 2026年1月23日閣議決定 2026-09-19
施行期日を定める政令 出入国在留管理庁 2025年9月26日閣議決定 2026-09-19
閣議の概要(2025年9月26日) 首相官邸 2025-09-26 2026-09-19
育成就労計画認定 施行日前申請について 外国人技能実習機構 2026年9月8日更新 2026-09-19
監理団体の許可申請について 外国人技能実習機構 — 2026-09-19
育成就労制度の制度概要・関係法令 出入国在留管理庁 — 2026-09-20
育成就労制度運用要領(令和8年8月) 出入国在留管理庁 2026年8月 2026-09-20
【育成就労】制度運用要領と事前申請の案内等が公表されました 国際人材協力機構(JITCO) 2026-02-24 2026-09-19

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