評価試験免除条件とは?
評価試験免除条件とは、特定技能1号の在留資格を取得する際に、本来必要となる分野別の特定技能評価試験(技能試験)と日本語試験(JFT-Basic A2相当またはJLPT N4以上)が免除されるための要件です。
最も代表的な免除ルートは技能実習2号の良好な修了で、一定の基準を満たせば両試験が免除されて特定技能1号に直接移行できます。介護分野では、養成施設修了者やEPA介護福祉士候補者向けの特別な免除ルートも設けられています。
2027年4月施行予定の育成就労制度では、従来の技能実習からの自動免除ルートは廃止され、試験合格が原則必須となる大きな制度変更が予定されています。
特定技能2号には免除ルートがなく、全員が試験合格と実務経験要件を満たす必要があります。
免除の具体的条件と範囲
免除条件は個別の外国人の経歴に応じて複数のパターンがあり、免除される試験の範囲も異なります。
受入候補者の経歴を正確に把握し、どの免除ルートに該当するか(または該当しないか)を判断することが採用実務の出発点となります。
① 技能実習2号の「良好な修了」による免除(最主要ルート)
| 在籍期間要件 | 技能実習を通算2年10ヶ月以上修了(技能実習1号「1年」+技能実習2号「1年10ヶ月以上」) |
|---|---|
| 技能面の要件(以下のいずれか) | ①技能検定3級合格、または技能実習評価試験(専門級)の実技試験合格、②実習実施者作成の評価調書で「良好な修了」が認定されること |
| 評価調書の内容 | 実習中の出勤状況(欠勤の有無)、技能修得状況、生活態度等を総合的に評価 |
| 関連業務への移行 | 技能試験+日本語試験の両方が免除 |
| 別分野への移行 | 日本語試験のみ免除、移行先分野の技能試験は受験必要 |
技能検定3級や専門級実技試験に不合格であっても、評価調書で良好修了と認定されれば免除対象となります。
この場合、欠勤記録・技能修得記録・生活態度の記録を実習期間中から適切に管理することが受入企業(実習実施者)の重要な責任となります。評価調書は監理団体を経由して外国人技能実習機構(OTIT)に提出され、「良好な修了」の公式証明となります。
② 業務関連性による免除範囲の決定
| 関連性あり | 技能実習の職種・作業と特定技能の業務区分に対応関係が認められる→技能試験+日本語試験の両方免除 |
|---|---|
| 関連性なし | 技能実習の職種・作業が特定技能の業務区分と対応しない→日本語試験のみ免除、技能試験は受験 |
| 確認方法 | 分野別運用要領の付属表(別表6-1等)で業務区分との対応関係を確認 |
| 例:関連性あり | 技能実習「食品製造」→特定技能「飲食料品製造業」、技能実習「とび」→特定技能「建設(土木)」 |
| 例:関連性なし | 技能実習「食品製造」→特定技能「建設」、技能実習「機械加工」→特定技能「介護」 |
建設分野では2025年以降、従来の19業務区分が「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3区分に統合されたため、関連性の判断範囲が大きく広がりました。
工業製品製造業は17業務区分、農業は2業務区分、漁業は2業務区分など、分野により区分数と対応関係が異なります。
採用候補者の技能実習職種が移行先分野のどの業務区分に対応するかは、分野所管省庁の運用要領で必ず確認する必要があります。
③ 介護分野特有の免除ルート
| 介護福祉士養成施設修了者 | 日本国内の介護福祉士養成施設を修了した者は、介護技能評価試験・介護日本語評価試験・一般の日本語試験がすべて免除 |
|---|---|
| EPA介護福祉士候補者(4年滞在修了) | EPA(経済連携協定)に基づく介護福祉士候補者として4年間適切に就労・研修した者は、すべての試験が免除 |
| 技能実習「介護」2号修了者 | 介護職種での技能実習2号を良好に修了した者は、介護分野の3試験(介護技能評価試験・介護日本語評価試験・一般日本語試験)がすべて免除 |
| 介護福祉士国家試験合格者 | 在留資格「介護」への変更が可能(特定技能より上位の資格) |
介護分野は一般の日本語試験に加え介護日本語評価試験という追加試験があるため、免除ルートの設計が他分野より複雑です。
EPA候補者で介護福祉士国家試験に合格できなかった者向けの特定技能1号への移行ルートが整備されており、4年間の活動実績が試験免除の根拠として認められています。
④ 特定技能2号には免除ルートなし
特定技能1号から2号への移行には、技能実習や1号からの自動免除ルートが設けられていません。
全員が分野別の特定技能2号評価試験(または技能検定1級)への合格と、分野別に1〜3年程度の指導・監督経験(班長・サブリーダー等の役職経験)を満たす必要があります。
漁業・外食業の2号ではJLPT N3以上の日本語能力も追加要件となります。
関連する法律・制度と最新動向
評価試験免除制度は、技能実習制度の廃止と育成就労制度の創設(2027年4月施行予定)により、2026年以降大きな転換点を迎えます。
従来の仕組みを理解するとともに、新制度への移行を見越した計画が重要となります。
技能実習制度の2027年3月末廃止
技能実習制度は2027年3月末で新規受入が終了します。2025〜2026年に技能実習2号を修了する外国人は従来の「良好な修了」による免除ルートで特定技能1号に移行可能で、制度廃止直前の駆け込み移行が活発化する見込みです。
育成就労制度での試験合格必須化
2027年4月施行の育成就労制度では、特定技能1号への移行時に技能検定3級等とJLPT N4以上の合格が必須となります。技能実習のような「良好な修了」による自動免除ルートは廃止され、試験合格が原則となるため、育成期間中の学習支援体制の強化が重要です。
経過措置
2027年4月時点で技能実習中の外国人については、従来の免除ルールが適用される経過措置が設けられる見込みです。詳細は2026年中に政府から公表される運用要領で明確化される予定で、関連情報の継続的な確認が必要です。
建設分野の業務区分統合(2025年)
建設分野の業務区分が19から3区分(土木・建築・ライフライン設備)に統合され、技能実習からの移行可能範囲が大幅に広がりました。業務区分統合前の従来ルールを前提にしていると、免除ルートの機会を見逃すおそれがあります。
運用要領の継続改正
分野別運用要領の別表6-1等は、業務区分の追加・技能実習職種の拡大等に応じて継続的に改正されます。出入国在留管理庁と分野所管省庁の公式サイトで最新版を確認することが実務上不可欠です。
実務上の注意点
評価試験免除条件の適用を受けるには、免除を根拠づける証憑資料の準備が必要です。
書類不備により免除が認められず、急遽試験受験が必要になるケースもあるため、事前確認と書類整備が重要です。
「良好な修了」の証明書類準備
技能実習2号の良好な修了を証明するには、①技能検定3級合格証、②技能実習評価試験(専門級)実技試験合格証、または③評価調書のいずれかが必要です。評価調書は実習実施者→監理団体→OTITの経路で作成・提出されるため、技能実習修了前から書類の流れを確認しましょう。
業務関連性の事前確認
採用する外国人の技能実習職種と自社分野の業務区分の対応関係は、分野別運用要領付属表で確認します。関連性があれば両試験免除、なければ日本語試験のみ免除という違いは採用スケジュールに直結するため、採用決定前に必ず確認してください。
別分野への移行時の技能試験受験
技能実習修了分野と別の分野で特定技能1号を取得する場合、移行先の技能試験を受験する必要があります。試験実施スケジュールを踏まえた採用計画を立て、候補者への学習支援を提供することが実務上重要です。
介護分野の複合免除ルート
介護分野は介護技能評価試験・介護日本語評価試験・一般日本語試験の3つの試験があり、免除ルートによって対象範囲が異なります。EPA候補者や養成施設修了者については、それぞれの経歴を裏付ける証明書類(活動記録・卒業証書等)を適切に準備する必要があります。
2027年以降の育成就労制度下での対応
育成就労制度では試験合格が必須となるため、受入企業は育成期間中の学習時間確保、試験対策教材の提供、技能検定3級受験の支援など、従来の技能実習より踏み込んだ教育支援体制の構築が求められます。
関連用語との違い
評価試験免除条件と関連する概念として、特定技能移行要件・業務区分の関連性・技能検定などがあります。
それぞれの概念の位置付けを整理しておくことで、免除制度の全体像が把握しやすくなります。
| 用語 | 意味 | 関係 |
|---|---|---|
| 評価試験免除条件 | 試験合格が免除される具体的要件 | 本概念 |
| 特定技能移行要件 | 特定技能への在留資格変更全般の要件 | 評価試験免除は移行要件の一部 |
| 技能実習2号の良好な修了 | 技能実習修了評価で欠勤等がないこと | 免除条件の中核 |
| 技能検定3級 | 国家検定による技能水準認定 | 「良好な修了」の一要件 |
| 業務関連性 | 技能実習と特定技能の業務の対応関係 | 免除範囲を決定 |
| 特定技能所属機関基準 | 受入企業側の要件 | 外国人本人の免除とは別系統 |
評価試験免除条件は「外国人本人側の要件を緩和する制度」であり、受入企業側が満たすべき特定技能所属機関基準とは別系統の要件です。
両方の要件を並行して確認しないと採用が成立しません。また、評価試験免除があっても在留資格変更許可申請自体は必要で、申請書類の作成・手数料支払い等の手続きは通常通り発生します。
よくある質問
Q. 技能検定3級に不合格でも「良好な修了」と認められますか?
A. はい、認められる場合があります。
技能検定3級または技能実習評価試験(専門級)の実技試験に不合格でも、実習実施者が作成する評価調書で、実習中の出勤状況・技能修得状況・生活態度等が総合的に良好と認定されれば、「良好な修了」の証明となり試験免除の対象となります。
ただし、評価調書には記録の裏付けが必要なため、実習中からの適切な記録管理が前提となります。
Q. 技能実習と異なる分野の特定技能に移行する場合、試験免除はありますか?
A. 日本語試験のみ免除されます。技能実習2号を良好に修了していれば、別分野への移行でも日本語能力が認められているとみなされるため、日本語試験は免除されます。
ただし、移行先分野の技能試験は受験が必要です。
例えば技能実習「食品製造」を修了した外国人が特定技能「宿泊」に移行する場合、宿泊分野の技能試験を受験して合格する必要があります。
Q. 特定技能2号にも試験免除はありますか?
A. ありません。特定技能1号から2号への移行では、全員が分野別の特定技能2号評価試験(または技能検定1級)への合格が必要です。
技能実習のような「良好な修了」による免除ルートは設けられておらず、加えて分野別に1〜3年程度の指導・監督経験などの実務経験要件もあります。
漁業・外食業分野ではJLPT N3以上の日本語能力も追加で求められます。
Q. 介護分野の試験免除条件は他分野と違いますか?
A. 介護分野は他分野と比較して、免除ルートが多様で複雑です。
①介護福祉士養成施設修了者、②EPA介護福祉士候補者(4年滞在修了者)、③技能実習「介護」2号の良好修了者の3つのルートで、介護技能評価試験・介護日本語評価試験・一般日本語試験の3試験がすべて免除されます。
さらに介護福祉士国家試験合格者は在留資格「介護」(特定技能より上位の資格)に変更できる道も用意されています。
Q. 2027年の育成就労制度開始で免除条件はどう変わりますか?
A. 育成就労制度では、技能実習のような「良好な修了」による自動免除ルートは廃止され、特定技能1号への移行時に技能検定3級等の合格とJLPT N4以上の日本語能力が必須要件となります。
ただし、2027年4月時点で技能実習中の外国人については経過措置が設けられる見込みで、従来の免除ルートが引き続き適用される予定です。
2026年中に政府が発表する運用要領の詳細を必ず確認してください。
参考資料
- [1] 出入国在留管理庁「試験関係」
- [2] 出入国在留管理庁「特定技能制度」
- [3] 出入国在留管理庁「在留資格『特定技能』」
- [4] 出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」
- [5] 厚生労働省「技能実習生等向け技能検定の概要」