用語集 特定技能関連

特定技能16業種とくていぎのうじゅうろくぎょうしゅ

特定技能16業種とは?

特定技能16業種とは、在留資格「特定技能」の対象となる16の特定産業分野のことで、2025年現在の受入対象分野を指す俗称です。

制度上の正式名称は「特定産業分野(16分野)」で、それぞれの分野ごとに業務区分・所管省庁・試験実施団体・受入要件が定められています。2019年の制度創設時は12分野14業種、2022年の統合整理を経て12分野、2024年3月29日の閣議決定で4分野が追加されて現在の16分野となり、2026年1月23日の閣議決定では3分野の追加が決まっているため、近く19分野へ拡大される予定です。

16分野はそれぞれ「深刻な人手不足」と認められた産業に限定されており、分野ごとの5年間受入見込数(2024〜2028年度で全分野合計約82万人)に沿って運用されています。

受入企業は該当分野の特定技能協議会への加入、同等以上の報酬支給、1号外国人への義務的支援の実施など、分野共通のルールに加えて分野別の固有要件(建設分野の受入れ計画認定、介護分野の事業所ごと人数枠など)を遵守する必要があります。

制度の背景と「業種」呼称の変遷

「特定技能16業種」という表現は、制度当初の「12分野14業種」という呼び方から発展した俗称です。厳密には「分野」が法令上の区分、「業種」は業界の商慣習的な区分であり、両者を混同せず整理して理解する必要があります。

時期呼称内容
2019年4月創設12分野14業種「素形材産業」「産業機械製造業」「電気・電子情報関連産業」が別々の3分野として設定
2022年5月12分野上記3分野を「工業製品製造業」に統合し、分野数を整理
2024年3月29日閣議決定16分野自動車運送業・鉄道・林業・木材産業の4分野を追加
2026年1月23日閣議決定19分野(予定)リネンサプライ・物流倉庫・資源循環の3分野を追加予定

所管省庁も分野により異なり、厚生労働省(介護、ビルクリーニング)、経済産業省(工業製品製造業)、国土交通省(建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道)、農林水産省(農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業)の4省庁が関与しています。

16分野の一覧と対象業務

① 介護・ビルクリーニング(厚生労働省所管)

介護高齢者施設・障害者施設での身体介助・生活支援。介護技能評価試験+介護日本語評価試験+一般日本語試験の3つの合格が必要。事業所ごとに日本人等常勤介護職員数が上限となる受入人数枠あり。特定技能2号は対象外(別途「介護」資格あり)。
ビルクリーニング事務所・学校・商業施設等の清掃業務。ホテル客室のベッドメイクも一定範囲で可。特定技能2号対象。

② 工業製品製造業(経済産業省所管)

工業製品製造業旧素形材・産業機械・電気電子情報関連産業の3分野を統合。機械加工、電気機器組立て、仕上げ、溶接、電子機器組立て等、計17の業務区分。2号は3業務区分。

③ 建設・造船・自動車整備・航空・宿泊(国土交通省所管)

建設土木・建築・ライフライン設備の3業務区分。国土交通大臣による受入れ計画の認定とJAC加入が必須(年会費36万円+受入負担金月12,500円)。月給制必須。
造船・舶用工業溶接・塗装・鉄工・仕上げ・機械加工・電気機器組立て・その他。協議会構成員認定が必要。
自動車整備自動車の日常点検・定期点検・分解整備。道路運送車両法に基づく認証工場・指定工場での就労。
航空空港グランドハンドリング(地上支援業務)、航空機整備。
宿泊ホテル・旅館でのフロント・企画広報・接客・レストランサービス等。

④ 農業・漁業・食品関連(農林水産省所管)

農業耕種農業全般(栽培管理・集出荷・選別等)、畜産農業全般(飼養管理・集出荷・選別等)の2業務区分。派遣形態での雇用が認められる数少ない分野。
漁業漁業(漁具製作・修繕、漁獲物処理保蔵等)、養殖業(養殖資材製作・修繕、養殖管理、養殖物収獲等)の2業務区分。2号は漁業でJLPT N3以上が追加要件。
飲食料品製造業飲食料品製造業全般(酒類除く)の製造・加工、安全衛生等。受入人数が最も多い分野の一つ。
外食業外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)。2号は漁業と同じくJLPT N3以上が追加要件。

⑤ 2024年追加の4分野

自動車運送業バス運転者・タクシー運転者・トラック運転者の3業務区分。運転業務に加え、トラックは荷役業務、バス・タクシーは接遇業務を含む。5年間受入見込数24,500人。2号対象外。
鉄道運輸係員(運転士・車掌・駅係員)・軌道整備・電気設備整備・車両製造・車両整備の5業務区分。5年間受入見込数3,800人。2号対象外。
林業育林・素材生産・林業種苗育成等の1業務区分。苗木の植栽・育成、丸太の生産等。5年間受入見込数1,000人。2号対象外。
木材産業製材業・合板製造業等の加工工程の1業務区分。5年間受入見込数5,000人。2号対象外。

分野別の実務ポイント

特定技能2号の対象可否

2号対象は11分野のみで、介護・自動車運送業・鉄道・林業・木材産業の5分野は対象外です。長期在留・家族帯同を希望する外国人を採用する場合、2号対象分野であるかを確認することが重要です。

受入人数枠の違い

介護(事業所ごとに日本人等常勤介護職員数が上限)、建設(企業の常勤職員数が上限)の2分野のみ人数枠があり、他の14分野は原則無制限です。ただし分野全体の5年間受入見込数に達した場合は受付停止の可能性があります。

派遣形態の可否

農業・漁業分野では派遣形態での雇用が認められますが、他の14分野は直接雇用のみです。人材派遣会社を活用した採用を検討する際は、分野の制度設計を確認する必要があります。

分野固有の追加要件

建設分野はJAC加入と受入れ計画認定、介護分野は協議会加入と人数枠管理、造船・舶用工業分野は国土交通省による事業者認定など、分野ごとに独自の追加手続きがあります。

分野別の試験と日本語要件

基本は技能試験+日本語試験(JFT-Basic A2相当またはJLPT N4以上)ですが、介護は追加で介護日本語評価試験、漁業・外食業の2号はJLPT N3以上が必要です。分野ごとの日本語要件の差異に注意してください。

類似制度との比較

特定技能の対象分野は、技能実習・育成就労・技人国といった他の在留資格制度と重なる部分と異なる部分があります。分野・職種の整理によって、最適な在留資格を選択することが受入計画の効率化につながります。

制度対象範囲特徴
特定技能16分野深刻な人手不足の特定産業分野即戦力としての労働、1号5年・2号無制限
技能実習(2027年3月まで)94職種171作業国際貢献としての技能移転、最長5年
育成就労17分野(2027年4月〜)特定技能1号との接続を前提とした産業分野育成を目的とし、原則3年以内に特定技能1号へ移行
技術・人文知識・国際業務専門職(事務・技術・国際)大卒・専門知識が前提、業務範囲が広い
在留資格「介護」介護福祉士国家資格者介護分野の高度専門職。家族帯同・長期在留可

育成就労制度の対象17分野は特定技能の16分野と概ね重なり、育成就労→特定技能1号→特定技能2号という一貫したキャリアパスが制度的に構築されます。

技能実習が廃止された後は、特定技能と育成就労が現場労働系の中心制度となる見通しです。

よくある質問

Q. なぜ「16業種」と呼ばれるのですか?正式名称は何ですか?

A. 制度創設時の「12分野14業種」の名残で、現在も「業種」という言葉が定着しています。正式名称は「特定産業分野(16分野)」で、出入国在留管理庁の公式文書では「分野」が用いられます。

分野内に複数の業務区分(例:工業製品製造業は17区分、建設は3区分、鉄道は5区分)が設定されている構造です。

2026年には3分野追加されて19分野となる予定です。

Q. どの分野が最も受入人数が多いですか?

A. 2025年時点では飲食料品製造業・工業製品製造業・介護・建設・農業・外食業の順に受入人数が多い傾向です。

2024年12月末から2025年12月末までの1年間で、飲食料品製造業が+23,405人、建設+16,403人、農業+13,568人、介護+12,185人、外食業+11,364人と大幅に増加しました。

全体の5年間受入見込数82万人のうち、40%程度(約34万人)がすでに受入済みとなっています。

Q. 16分野すべてで特定技能2号を取得できますか?

A. いいえ、特定技能2号の対象は11分野に限定されます。

介護・自動車運送業・鉄道・林業・木材産業の5分野は2号対象外です。

介護は別途、在留資格「介護」(介護福祉士国家資格取得者向け)が上位資格として機能しており、2024年追加の4分野は制度立ち上げ初期のため2号試験が未整備という事情があります。

Q. 派遣形態での雇用が認められる分野はありますか?

A. 農業分野と漁業分野の2分野のみで、特定技能外国人の派遣形態での雇用が認められています。

これは季節性の強い産業特性に配慮した措置で、労働者派遣事業者が特定技能協議会の構成員となって運用されます。

他の14分野は直接雇用が原則です。

Q. 新規4分野(自動車運送業等)はまだ受入が進んでいませんか?

A. 2024年3月の閣議決定で追加された4分野は、2025年から試験実施が本格化したばかりの段階で、受入実績は他分野と比較してまだ少数にとどまっています。

試験会場・学習教材・協議会体制の整備が進んでおり、2026年以降に本格的な受入拡大が見込まれます。

先行して受入を検討する企業は、所管省庁と協議会の公式情報を継続的に確認することが重要です。

参考資料

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