用語集 雇用・労務関連

多言語対応たげんごたいおう

多言語対応とは?

多言語対応とは、外国人労働者・住民への情報提供や意思疎通を、本人の理解できる言語で実施する取組の総称です。2

024年末で在留外国人は約376万人に達し、雇用・生活・行政の各分野で多言語対応が不可欠となっています。国は2018年の「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」を継続更新し、多言語対応・やさしい日本語の活用を推進しています。

厚生労働省は「雇用管理に役立つ多言語用語集」(13言語:英語・中国語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語・ウクライナ語・ヒンディー語・インドネシア語・ネパール語・タガログ語・タイ語・ベトナム語・アラビア語)を提供しています。

出入国在留管理庁・文化庁の「やさしい日本語ガイドライン」(2020年8月発行)も整備されており、2022年10月には「話し言葉のポイント」追補版が公表されました。育成就労(2027年4月施行予定)では日本語能力要件(A1相当・JLPT N5以上)と母国語対応体制が義務化されます。

具体的な意味・内容

厚生労働省13言語多言語用語集

雇用契約・労務管理・社会保険等で頻出する用語を13言語で対訳化した公的資料です。対応言語は英語・中国語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語・ウクライナ語・ヒンディー語・インドネシア語・ネパール語・タガログ語・タイ語・ベトナム語・アラビア語です。

外国人向け医療多言語説明資料も同13言語で整備されており、雇用・医療現場で広く活用されています。

やさしい日本語ガイドライン

出入国在留管理庁・文化庁が2020年8月に発行した、在留外国人に行政情報を確実に届けるための公式ガイドラインです。2022年10月には「話し言葉のポイント」追補版が公表されました。「文を短く区切る」「漢字にはふりがな」「敬語を簡略化」「曖昧な表現を避ける」等の具体的指針が示されています。多言語翻訳の補完手段として、日本人社員と外国人労働者のコミュニケーションに広く活用されます。

翻訳・通訳の確保と機械翻訳の活用

機械翻訳(DeepL・Google翻訳・ポケトーク等)は低コスト・リアルタイム・多言語同時対応の利点がありますが、医療・法律・契約など正確性が要求される領域では誤訳リスクがあります。重要文書(労働契約・就業規則・安全衛生指示)は専門翻訳者の翻訳+ネイティブチェックが推奨されます。日常的な情報共有は機械翻訳のみでも対応可能です。

分野別の多言語対応

分野別に多言語対応が進められています。医療では厚生労働省の医療多言語化資料・医療通訳派遣事業、教育では文部科学省の日本語指導が必要な児童生徒への取組・母語支援員配置、行政ではマイナンバーカード・住民票等の手続き案内の多言語化が進んでいます。主要自治体は外国人相談窓口を多言語化し、「多文化共生総合相談ワンストップセンター」を全国の主要都市に設置しています。

関連する制度・主な取組

項目内容
主な公的指針外国人雇用管理指針(厚労省告示276号)/やさしい日本語ガイドライン(文化庁・出入国在留管理庁)
厚生労働省13言語多言語用語集雇用契約・労務管理・社会保険等の頻出用語
対応言語英語・中国語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語・ウクライナ語・ヒンディー語・インドネシア語・ネパール語・タガログ語・タイ語・ベトナム語・アラビア語
やさしい日本語ガイドライン2020年8月発行/2022年10月「話し言葉のポイント」追補
機械翻訳ツールDeepL・Google翻訳・ポケトーク等
自治体多言語対応多文化共生総合相談ワンストップセンター(全国主要都市)
育成就労(2027年4月〜)日本語A1(N5)以上必須・母国語対応体制義務化
2024年末在留外国人約376万人(過去最高水準)

実務上の注意点

重要文書の専門翻訳

労働契約・就業規則・安全衛生指示等の重要文書は、機械翻訳のみでなく専門翻訳者の翻訳+ネイティブチェックが推奨されます。誤訳・脱落・更新漏れがトラブルの原因となるため、複数人によるチェック体制が重要です。

対応言語の選定

受入機関の主要送出国に応じた言語選定が重要です。ベトナム・フィリピン・インドネシア・ミャンマー・ネパール等の主要送出国の言語を中心に整備します。複数国からの受入では英語版+やさしい日本語版を共通言語とし、母国語版を段階的に拡充する方法が現実的です。

育成就労での要件強化

2027年4月施行予定の育成就労制度では、就労開始時に日本語能力A1(JLPT N5)以上または日本語教育機関での該当レベル教育受講完了が必須となります。監理支援機関は外国人の相談・苦情対応で母国語による対応体制を整備する義務があります。受入機関は2026年中の体制整備が重要です。

人材確保等支援助成金の活用

就業規則の多言語化・苦情相談体制の整備等は人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)の対象です。最大1制度20万円+経費の2/3(上限72万円)の助成が受けられます。多言語対応の取組費用の経済的負担を大幅に軽減できます。

関連用語との違い

項目多言語対応やさしい日本語異文化研修
主目的母国語での情報提供日本語の言い換え技術文化全般の理解
対象範囲翻訳・通訳全般日本語による情報伝達宗教・食文化・労働観全般
主な対象外国人本人日本人社員(特にOJT指導者)日本人社員中心
公的指針厚労省13言語多言語用語集やさしい日本語ガイドライン外国人雇用管理指針
育成就労での要件母国語対応体制義務化推奨推奨

多言語対応・やさしい日本語・異文化研修はそれぞれ別の手法ですが、組み合わせて活用することで外国人雇用の安定運用が実現できます。育成就労制度では多言語対応が義務化される方向で、体制整備が急務となります。

よくある質問

Q. どんな言語に対応すべきですか?

A. 受入機関の主要送出国に応じた言語選定が基本です。厚労省13言語多言語用語集(英語・中国語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語・ベトナム語・タガログ語・インドネシア語・タイ語・ネパール語・カンボジア語・モンゴル語・ミャンマー語)を活用できます。

複数国からの受入では英語版+やさしい日本語版を共通言語として整備し、母国語版を段階的に拡充する方法が現実的です。

Q. 機械翻訳のみで対応可能ですか?

A. 機械翻訳(DeepL・Google翻訳等)の品質は向上していますが、医療・法律・契約等の重要情報は人手レビューとの併用が推奨されます。

誤訳・脱落・更新漏れがトラブルの原因となるため、機械翻訳→人手チェックの併用が標準運用です。日常的な情報共有は機械翻訳のみでも対応可能です。

Q. やさしい日本語とは何ですか?

A. 在留外国人に行政情報を確実に届けるための日本語の言い換え技術です。出入国在留管理庁・文化庁が2020年8月にガイドラインを発行しました。

「文を短く区切る」「漢字にはふりがな」「敬語を簡略化」「曖昧な表現を避ける」等の具体的指針があります。2022年10月「話し言葉のポイント」追補版も公表されています。

Q. 育成就労での要件は?

A. 2027年4月施行予定で、就労開始時に日本語能力A1(JLPT N5)以上が必須となります。監理支援機関は母国語による相談・苦情対応体制の整備義務があります。

受入機関は2026年中の体制整備が重要です。多言語対応の取組には人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)が活用できます。

参考資料

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