コンプライアンスとは?
コンプライアンス(法令遵守)とは、企業が法令・社内規程・社会規範を遵守して事業活動を行うことを指します。
外国人雇用におけるコンプライアンスでは、入管法・労働法・税法・社会保険法・マイナンバー法・個人情報保護法等の網羅的な順守と、適正な雇用管理体制の構築(内部統制システム)が要請されます。違反発覚時には受入停止・刑事罰・企業名公表等の重大なリスクがあるため、平時からの体制整備が経営課題となっています。
2025年4月の特定技能制度運用改善では届出頻度が四半期から年1回に簡素化される一方、不法就労助長罪は2026年6月14日施行で5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金に厳罰化されます。また、2026年10月1日からはカスタマーハラスメント(カスハラ)対策が事業主の措置義務に格上げされ、2027年4月1日には育成就労制度が施行され受入機関の中立性・適正性要件が強化されます。
受入機関は内部監査・第三者監査(社労士・行政書士・弁護士)の活用によりコンプライアンス体制を強化することが重要です。
具体的な意味・内容
主要領域
外国人雇用におけるコンプライアンスの主要領域は6分野です。
①入管法(在留資格の確認、不法就労助長罪の回避、住居地届出協力)
②労働法(労働基準法・最低賃金法・労働安全衛生法・労働契約法等)
③税法(源泉徴収・年末調整・法定調書)
④社会保険法(健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険の加入手続)
⑤マイナンバー法(適正な番号取扱)
⑥個人情報保護法(個人情報・特定個人情報の管理)
これらを統合的に管理することが重要です。
内部統制・コンプライアンス・プログラム
取扱規程の策定、責任者の明確化、教育・研修の実施、監査(内部監査・第三者監査)の活用、違反発覚時の是正フローを組み合わせた内部統制システムの構築が求められます。社労士・行政書士・弁護士等の専門家による第三者監査の活用が、属人的な運用の改善・最新法令への対応に貢献します。
特定技能・育成就労での重要性
特定技能制度は2025年4月の運用改善でコンプライアンス強化が打ち出されました。定期届出が四半期から年1回に簡素化される一方、支援実施困難事由が生じた場合の随時報告が新設されました。
育成就労制度(2027年4月施行予定)では関係省令等が2025年9月30日に公布され、監理団体に代わる「監理支援機関」と登録支援機関の第三者性・適正性要件が強化されます。
違反時のリスク
違反発覚時には、受入停止(特定技能基準省令違反で5年間)、計画認定の取消、刑事罰(不法就労助長罪は2026年6月14日施行で5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金に厳罰化)、企業名公表、行政処分等の重大なリスクがあります。経営者の刑事責任に発展する可能性もあるため、平時からの体制整備が必須です。
関連する制度・主要領域
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主要領域(6分野) | 入管法/労働法/税法/社会保険法/マイナンバー法/個人情報保護法 |
| 内部統制 | 取扱規程・責任者明確化・教育研修・監査・是正フロー |
| 第三者監査 | 社労士・行政書士・弁護士による専門監査 |
| 特定技能の運用改善 | 2025年4月:届出頻度簡素化・随時報告新設 |
| 育成就労施行 | 2027年4月1日(関係省令等2025年9月30日公布) |
| 不法就労助長罪 | 現行3年以下・300万円以下/2026年6月14日施行で5年以下・500万円以下に厳罰化 |
| カスハラ対策義務化 | 2026年10月1日施行 |
| 受入停止 | 特定技能基準省令違反で5年間 |
| 企業名公表 | 出入国在留管理庁による不正行為認定 |
| 主な所管 | 厚生労働省・出入国在留管理庁・国税庁・個人情報保護委員会 |
実務上の注意点
2026年6月14日の不法就労助長罪厳罰化
2026年6月14日施行で不法就労助長罪は5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金に厳罰化されます(現行は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金)。受入機関は在留資格・在留期限の確認を確実に行い、不法就労を防止する体制整備が必要です。
2026年10月のカスハラ対策義務化
2026年10月1日施行の労働施策総合推進法改正により、カスタマーハラスメント対策が従来の努力義務から事業主の雇用管理上の措置義務に格上げされます。労働者が1人でもいる事業主が対象です。外国人労働者にも適用されるため、対応マニュアル整備・現場対応フロー策定・相談体制充実が必要です。
育成就労の監理支援機関要件
育成就労制度(2027年4月1日施行予定)では監理団体に代わる「監理支援機関」が設置され、第三者性・適正性要件が強化されます。外部監査人(弁護士・社会保険労務士・行政書士のいずれか)の設置が許可基準として義務化され、受入機関の認定・支援体制も強化されます。
第三者監査の活用
社労士による労務監査、行政書士による在留資格・支援計画の点検、弁護士によるハラスメント・労務トラブル予防監査が広く活用されています。専門家の知見を活用したコンプライアンス強化が、違反発覚時の重大なリスク回避に貢献します。年1〜2回の定期監査が推奨されます。
関連用語との違い
| 項目 | コンプライアンス | 内部統制 | ガバナンス |
|---|---|---|---|
| 主目的 | 法令・規範遵守 | 業務の有効性・効率性・財務報告の信頼性 | 企業統治・経営の健全性 |
| 対象範囲 | 法令・規程・社会規範 | 業務全般 | 経営全般 |
| 主な担当 | コンプライアンス部門・法務 | 内部統制部門・監査役 | 取締役会・経営者 |
| 関連する制度 | 外国人雇用関連各法 | 金融商品取引法(J-SOX)等 | 会社法等 |
| 外国人雇用での重視 | 非常に重要 | 重要 | 重要 |
コンプライアンス・内部統制・ガバナンスは関連する経営概念ですが、それぞれ目的・範囲が異なります。外国人雇用では特にコンプライアンスが重要で、内部統制・ガバナンスと組み合わせた経営体制の整備が求められます。
よくある質問
Q. 違反発覚時の最大のリスクは何ですか?
A. 特定技能基準省令違反で5年間の受入停止、不法就労助長罪は2026年6月14日施行で5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金に厳罰化されます。
企業名公表のレピュテーションリスクも重大です。経営の継続性に重大な影響を与えるため、平時からの体制整備が経営課題となっています。
Q. 第三者監査はどのくらいの頻度で実施すべきですか?
A. 年1〜2回の定期監査が推奨されます。社労士・行政書士・弁護士の専門知見を活用します。
労務監査・在留資格点検・ハラスメント予防監査等を組み合わせて実施します。違反発覚時のリスク回避と、最新法令への対応に貢献します。
Q. 2026年6月の改正で何が厳しくなりますか?
A. 不法就労助長罪が3年以下の拘禁刑・300万円以下の罰金から、5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金に厳罰化されます。
あわせて特定在留カード(在留カード+マイナンバーカード一体型)の運用も開始されます。受入機関は在留資格・在留期限の確認体制をより徹底する必要があります。
Q. 育成就労の施行で何が変わりますか?
A. 監理支援機関の第三者性・適正性要件が強化され、外部監査人の設置が義務化されます。
従来の監理団体監査より監理支援機関の中立性・専門性要件が強化されます。受入機関には日本語教育支援義務・キャリア形成支援等の法的義務が追加されます。