用語集 雇用・労務関連

厚生年金こうせいねんきん

厚生年金とは?

厚生年金とは、厚生年金保険法に基づき、企業に雇用される労働者が加入する公的年金制度です。国民年金(基礎年金)に上乗せされる2階部分として位置づけられ、老齢厚生年金・障害厚生年金・遺族厚生年金の3種類の給付があります。

法人事業所はすべて強制適用事業所、個人事業所も常時5人以上の従業員(一部業種を除く)で強制適用となります。国籍を問わず、日本国内に住所を有し適用事業所で働く外国人は加入義務があります。

保険料率は標準報酬月額および標準賞与額に18.300%を乗じた額で、労使折半(各9.150%)です。2017年9月で引き上げ完了し2026年現在まで18.3%固定です。

短期滞在外国人向けの脱退一時金制度があり、被保険者期間6か月以上・出国後2年以内の請求で保険料の一部返還を受けられます。2025年6月成立の年金制度改正法により、脱退一時金の支給月数上限が5年(60月)から8年(96月)へ引き上げられ、2026年4月1日から施行されます。

社会保障協定により22か国以上と二重加入が防止されています。

制度の背景・法的根拠

厚生年金は厚生年金保険法に基づく公的年金制度で、日本年金機構が運営しています。受給資格期間は2017年8月から25年→10年に短縮されました(年金機能強化法)。保険料は労使折半で負担し、給付は加入期間と標準報酬月額に応じて算定されます。

外国人労働者の場合、社会保障協定(米・独・英・韓・仏・加・豪・蘭等の22か国以上)により母国制度への加入が認められる場合があります。協定により派遣期間が5年以内など一定条件で母国制度のみへの加入が許され、二重加入を防止できます。

短期滞在で年金保険料を納付した外国人には脱退一時金で保険料の一部が返還されます。

主な内容と要件

① 老齢厚生年金

項目内容
受給資格期間10年以上(2017年8月から短縮)
受給開始年齢原則65歳から
繰上げ・繰下げ60〜75歳の範囲で選択可
給付額加入期間×標準報酬月額×給付乗率

加入期間10年以上の被保険者が65歳から受給できる年金です。在職老齢年金制度により、65歳以降も働きながら年金受給する場合、賃金との合計に応じて支給停止される場合があります。

② 障害厚生年金・遺族厚生年金

項目内容
障害厚生年金病気・けがで一定の障害状態
遺族厚生年金死亡した被保険者の遺族(配偶者・子等)
給付対象被保険者期間中の死亡・障害も対象

厚生年金加入者が病気・けがで障害状態となった場合に障害厚生年金、死亡した場合に遺族厚生年金が支給されます。受給要件・給付額は被保険者期間・標準報酬月額により異なります。

③ 脱退一時金

項目内容
対象日本国籍を有しない者
要件被保険者期間6か月以上・出国後2年以内に請求
金額最終月の標準報酬月額×支給率
支給月数上限(現行)5年(60月)
支給月数上限(2026年4月〜)8年(96月)に拡大

短期滞在外国人向けの保険料返還制度です。2025年6月成立の年金制度改正法により、支給月数上限が5年(60月)から8年(96月)へ引き上げられ、2026年4月1日から施行されます。技能実習・育成就労外国人の帰国時に活用される制度です。

立場別の実務ポイント

受入機関の加入手続き

外国人労働者を雇用した日から5日以内に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を年金事務所へ提出します。標準報酬月額は採用時の給与に基づき決定し、保険料は労使折半で給与天引きとなります。月額22万円の場合、保険料は事業主・従業員それぞれ約20,130円となります。

社会保障協定の活用

社会保障協定締結国(米・独・英・韓・仏・加・豪・蘭等22か国以上)からの派遣期間5年以内の労働者は、母国制度のみへの加入が認められます。受入機関は本国で発行された「適用証明書」の確認を行い、日本での加入義務免除を申請します。

脱退一時金の案内

技能実習・特定技能・育成就労外国人の帰国時には、脱退一時金の請求権について本人に案内することが重要です。2026年4月から支給月数上限が8年(96月)に拡大されるため、長期在留者の還付額も増加します。出国後2年以内の請求が必要です。

未加入リスク

厚生年金未加入は、最大2年間遡及した保険料追徴・延滞金等のリスクがあります。日本年金機構の調査・指導の対象となるため、雇用開始時の確実な加入手続きが必須です。労働保険・健康保険と一体的に整備することが重要です。

類似制度との比較

項目厚生年金国民年金共済年金(廃止)
対象適用事業所の労働者20〜59歳の自営業者・無職等公務員(2015年10月厚生年金に統合)
保険料率18.300%(労使折半)定額(月額17,510円・令和7年度)
給付2階部分(基礎年金+報酬比例部分)1階部分(基礎年金)
外国人の加入適用事業所で働けば義務住所要件で義務
脱退一時金あり(外国人)あり(外国人)

厚生年金は国民年金(基礎年金)に上乗せされる2階部分で、給与所得に応じた給付があります。共済年金は2015年10月に厚生年金に統合され、現在は厚生年金として一元管理されています。

よくある質問

Q. 外国人労働者も厚生年金に加入する必要がありますか?

A. はい、国籍を問わず日本国内に住所を有し適用事業所で働く外国人は加入が義務付けられています。

日本人と同等扱いです。社会保障協定締結国からの派遣期間5年以内の労働者は母国制度のみへの加入で日本での加入義務が免除される場合があります。

Q. 帰国時に保険料は戻ってきますか?

A. 脱退一時金として保険料の一部が返還されます。被保険者期間6か月以上・出国後2年以内の請求が要件です。

2026年4月から支給月数上限が5年(60月)→8年(96月)に拡大されるため、長期在留者の還付額が大幅に増加します。技能実習・育成就労の帰国時に重要な制度です。

Q. 社会保障協定とは何ですか?

A. 二国間で締結される協定で、年金保険料の二重加入を防止し、年金期間の通算を可能とする制度です。

2025年9月時点で23か国と署名済み、22か国以上で発効中です。米・独・英・韓・仏・加・豪・蘭等が含まれます。派遣期間5年以内の場合、母国制度のみへの加入が認められます。

Q. パート・アルバイトも厚生年金加入対象ですか?

A. 一定要件(週20時間以上・月額88,000円以上等)を満たす短時間労働者は加入対象です。

適用拡大の経緯により、短時間労働者の加入要件は段階的に緩和されています。2024年10月から従業員数51人以上の企業に拡大されており、今後も適用拡大が予定されています。

参考資料

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