用語集 雇用・労務関連

社会保険加入要件(週何時間等)しゃかいほけんかにゅうようけん

社会保険加入要件(週何時間等)とは?

社会保険加入要件とは、健康保険・厚生年金保険の被保険者となるための労働条件・雇用形態に関する要件のことです。

フルタイム労働者は適用事業所で勤務する限り原則として加入義務がありますが、短時間労働者については別途4要件(週20時間以上・月額88,000円以上・2か月超雇用見込み・学生でない)が設定されています。短時間労働者への適用は段階的に拡大されており、2024年10月から従業員数51人以上の企業に拡大されています。

2025年成立の年金制度改正法により、2026年10月に月額88,000円要件の撤廃予定(106万円の壁の解消)、2027年10月〜2035年10月にかけて企業規模要件(51人以上)が段階的撤廃予定です。

外国人労働者も国籍を問わず適用され、留学生(資格外活動・週28時間以内)は対象外、特定技能・育成就労はフルタイム就労が原則のため加入義務があります。違反は健康保険法第208条・厚生年金保険法第102条により6か月以下の懲役または50万円以下の罰金です。

具体的な意味・内容

フルタイム労働者の加入義務

適用事業所で常時使用される労働者は、国籍を問わず加入義務があります。法人事業所はすべて強制適用事業所、個人事業所も常時5人以上の従業員(一部業種を除く)で強制適用となります。フルタイム労働者は短時間労働者の4要件を確認するまでもなく加入対象です。

短時間労働者の4要件

特定適用事業所(従業員数51人以上)で勤務する短時間労働者は、以下4要件を満たす場合に加入対象となります。①週の所定労働時間が20時間以上、②所定内賃金が月額88,000円以上(年収約106万円)、③2か月超の雇用見込み、④学生でない(休学中・夜間・通信制学生は加入対象)。すべての要件を満たす必要があります。

適用拡大の経緯

短時間労働者への適用は段階的に拡大されてきました。2016年10月に501人以上、2017年4月から500人以下も労使合意で任意加入可能、2022年10月に101人以上、2024年10月に51人以上(直近12か月のうち6か月以上で被保険者数51人以上)と段階的に拡大されています。

2026年・2027年以降の改正

2025年成立の年金制度改正法により、2026年10月に月額88,000円要件の撤廃予定(106万円の壁の解消)、2027年10月〜2035年10月にかけて企業規模要件(51人以上)が段階的撤廃予定です。従業員50人以下の企業で新たに加入対象となる短時間労働者(標準報酬月額12.6万円以下)について、3年間の保険料調整措置も設けられます。

関連する制度・加入要件の概要

項目内容
所管省庁厚生労働省・日本年金機構
フルタイム労働者適用事業所で常時使用される者は加入義務
短時間労働者の4要件週20時間以上・月額88,000円以上・2か月超雇用見込み・学生でない
2024年10月適用拡大従業員51人以上の企業
2026年10月予定月額88,000円要件の撤廃(106万円の壁解消)
2027年〜2035年予定企業規模要件の段階的撤廃
外国人への適用国籍を問わず適用
留学生(資格外活動)週28時間以内のため対象外
特定技能・育成就労フルタイム就労原則で加入義務
家族滞在4要件を満たせば加入
違反時罰則6か月以下の懲役または50万円以下の罰金

実務上の注意点

特定適用事業所の判定

2024年10月から従業員数51人以上が特定適用事業所となりました。判定は直近12か月のうち6か月以上で被保険者数51人以上の場合です。被保険者数のカウントには適用拡大の対象となる短時間労働者は含まれない点に注意が必要です。

外国人留学生のアルバイト

留学生は資格外活動許可上「週28時間以内」の制限があり、原則として加入対象外です。ただし、夜間・通信制・休学中の学生は4要件を満たせば加入対象となります。長期休暇期間(夏休み等)の1日8時間以内の例外もあります。

特定技能・育成就労の加入義務

特定技能・育成就労はフルタイム就労が原則のため、加入義務があります。受入機関は雇入れから5日以内に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を年金事務所へ提出する必要があります。母国へ帰国する場合は厚生年金の脱退一時金請求が可能です。

未加入時の処分

加入義務違反は健保法208条・厚年法102条により6か月以下の懲役または50万円以下の罰金です。日本年金機構による職権適用・遡及加入の指導もあります。最大2年間遡及した保険料・延滞金等の追徴対象となるため、雇入れ時の確実な加入手続きが必須です。

関連用語との違い

項目社会保険(健保・厚年)雇用保険労災保険
加入要件(フルタイム)常時使用される者週20時間以上・31日以上見込みすべての労働者
加入要件(短時間)4要件(週20時間・月88,000円等)同上要件同上(要件なし)
適用拡大対象2024年10月で51人以上2028年10月から週10時間に拡大予定
外国人への適用国籍不問国籍不問国籍・在留資格不問
違反時罰則6か月以下の懲役・50万円以下6か月以下の懲役・30万円以下同左

社会保険(健康保険・厚生年金)と労働保険(雇用保険・労災保険)はそれぞれ別の加入要件・所管・罰則を持ちます。フルタイム労働者は通常すべての保険に加入し、短時間労働者は要件確認が必要です。一括した労務管理体制の整備が重要です。

よくある質問

Q. 月額88,000円要件はいつ撤廃されますか?

A. 2026年10月に撤廃予定です。「106万円の壁」の解消のための改正です。

2025年成立の年金制度改正法により決定されました。撤廃後は週20時間以上・2か月超雇用見込み・学生でない要件のみで判定されることになります。

Q. 51人以上の判定はどうしますか?

A. 直近12か月のうち6か月以上で被保険者数51人以上の場合に特定適用事業所となります。

被保険者数のカウントには適用拡大の対象となる短時間労働者は含まれません。判定基準を満たした時点で適用拡大の対象となります。

Q. 留学生のアルバイトは加入対象ですか?

A. 原則として対象外です。資格外活動許可上「週28時間以内」の制限があり、4要件の「学生でない」を満たさないためです。

夜間・通信制・休学中の学生は4要件を満たせば加入対象となります。長期休暇期間の1日8時間以内の例外もありますが、社会保険上は学生扱いが継続します。

Q. 特定技能外国人は短時間勤務でも加入義務ですか?

A. 特定技能はフルタイム就労が原則のため、通常は加入義務があります。短時間勤務は特定技能の在留資格要件を満たさない可能性が高いです。

特定技能外国人の労働時間は日本人と同等の所定労働時間が基本です。短時間勤務での雇用は特定技能基準不適合となる可能性があります。

参考資料

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