用語集 雇用・労務関連

健康保険被扶養者けんこうほけんひふようしゃ

健康保険被扶養者とは?

健康保険被扶養者とは、健康保険の被保険者により主として生計を維持されている家族で、健康保険から保険給付を受けることができる者を指します。年間収入130万円未満(60歳以上または障害厚生年金受給要件に該当する障害者は180万円未満)等の認定基準があります。

2020年4月1日施行の健康保険法改正により国内居住要件が追加され、原則として住民基本台帳に住民登録があることが要件となりました。

外国人労働者の家族については、特定技能1号・育成就労外国人は家族帯同が原則不可のため被扶養者認定の対象とはなりません。特定技能2号・高度専門職・技術人文知識国際業務等の在留資格保持者で家族帯同可能な場合は、配偶者・子等の被扶養者認定が可能です。

海外居住の家族については、留学・赴任同行・一時的渡航等の海外特例要件5類型に該当する場合に限り認定可能で、必要書類として送金証明・在留証明等の提出が求められます。

具体的な意味・内容

認定基準(生計維持関係・年収)

被扶養者として認定されるには「被保険者により主として生計を維持されていること」が要件です。年間収入は130万円未満(60歳以上または障害厚生年金受給要件に該当する障害者は180万円未満)が基準です。同一世帯の場合は被保険者の収入の半分未満、別居の場合は被保険者からの仕送り額より少ないことが条件となります。

2025年10月以降は19歳以上23歳未満の特例(150万円未満/年)も新設されています。

国内居住要件(2020年4月施行)

住民基本台帳に住民登録があるかどうかで判断します。住民票が日本国内にある者は原則として国内居住要件を満たします。海外で就労しており日本でまったく生活していない等、日本国内に生活の基盤がないと判断される者は、住民票があっても認定対象外です。

医療目的で来日した者(医療滞在ビザ)とその付添人も認定対象外となります。

国内居住要件の例外(海外特例要件5類型)

住民票がなくても認定される海外特例要件は以下の5類型です。

①外国留学する学生
②外国に赴任する被保険者に同行する者
③観光・保養・ボランティア活動その他就労以外の目的で一時的に海外渡航する者
④被保険者が外国に赴任している間に身分関係が生じた者で②と同等と認められる者
⑤上記以外で渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者

在留資格別の被扶養者の扱い

特定技能1号・育成就労は家族帯同が原則不可のため被扶養者該当なしです。特定技能2号は配偶者・子の家族帯同可能で被扶養者認定可能です。高度専門職・技術人文知識国際業務・経営管理等は「家族滞在」での家族帯同可能で、年収要件等を満たす場合に被扶養者認定可能です。

関連する制度・認定要件

項目内容
根拠法令健康保険法第3条第7項
所管厚生労働省(全国健康保険協会・健康保険組合)
年収要件130万円未満(60歳以上・障害者は180万円未満)
同一世帯の場合被保険者の収入の半分未満
別居の場合被保険者からの仕送り額より少ない
国内居住要件住民基本台帳に住民登録(2020年4月施行)
海外特例要件留学・赴任同行・一時渡航等の5類型
必要書類(海外特例)送金証明・在留証明・査証等+日本語翻訳文
特定技能1号・育成就労家族帯同不可のため対象外
特定技能2号・高度人材等家族帯同可能で被扶養者認定可
2025年10月特例19歳以上23歳未満は150万円未満

実務上の注意点

海外特例要件の必要書類

留学生の場合は査証(ビザ)・学生証・在学証明書等の写しが必要です。赴任同行家族の場合は査証・海外赴任辞令・海外公的機関発行の居住証明書の写しが必要です。別居している場合は送金者名・受取人名・金額が確認できる書類(預金通帳の写し、振込明細書、現金書留控え等)が必要となります。

外国語書類は日本語翻訳文(翻訳者署名入り)の添付が必要です。

特定技能・育成就労の家族帯同

特定技能1号・育成就労は家族帯同が原則不可のため、本国の家族を被扶養者として認定することはできません。特定技能2号取得後は配偶者・子の家族帯同が可能となり、被扶養者認定の対象となります。長期的なキャリア形成を希望する人材には2号取得を目標としたサポートが重要です。

2025年10月の特例新設

2025年10月以降、19歳以上23歳未満の特例として年収150万円未満の場合に被扶養者認定が可能になりました。学生のアルバイト収入の取扱いに変化があり、扶養範囲内の働き方の幅が拡大しています。

適切な認定の重要性

被扶養者として誤認定すると、後日の保険給付時に資格遡及・保険料追徴等の問題が発生する可能性があります。年収・生計維持関係・国内居住要件の確認を確実に行い、必要に応じて健康保険組合・全国健康保険協会に事前確認することが推奨されます。

関連用語との違い

項目健康保険被扶養者国民健康保険世帯員所得税扶養親族
根拠法令健康保険法3条7項国民健康保険法所得税法84条
年収要件130万円未満世帯主との関係なし合計所得48万円以下
国内居住要件原則必要(2020年4月〜)住民登録必要30〜69歳は要件強化
家族帯同要件在留資格による住民登録できる在留資格必要送金等で別居可
主な対象被保険者の家族(無職・低所得)世帯員全員納税者の親族

健康保険被扶養者は「健康保険」の概念で、所得税の扶養親族とは別の制度です。両者の認定基準は異なるため、健康保険上は被扶養者でも所得税上は扶養控除対象外(またはその逆)のケースがあります。

よくある質問

Q. 海外在住の親族を被扶養者にできますか?

A. 原則として国内居住要件があるためできませんが、海外特例要件5類型に該当すれば認定可能です。

留学生・赴任同行家族・一時的渡航等が該当します。送金実績の証明・査証等の書類提出が必要で、外国語書類は日本語翻訳文の添付が求められます。

Q. 特定技能1号外国人の家族は被扶養者になれますか?

A. 特定技能1号は家族帯同が原則不可のため、本国の家族を被扶養者として認定することはできません。

特定技能2号・高度専門職・技術人文知識国際業務等は家族帯同可能で、年収要件等を満たす場合に被扶養者認定が可能です。育成就労(2027年4月施行予定)も家族帯同不可です。

Q. 130万円の壁はどう判定しますか?

A. 過去の収入ではなく、認定時点以降の年間見込み収入で判定します。月額換算で約108,333円が目安です。

給与所得・事業所得・不動産所得・年金等の合計です。被扶養者の収入が130万円を超える状態が継続する場合は資格喪失となります。

Q. 別居している家族も被扶養者にできますか?

A. 生計維持関係があれば認定可能です。別居の場合は被保険者からの仕送り額が被扶養者の収入より多いことが要件です。

送金記録(振込明細書・送金依頼書等)の保存が重要です。海外在住の場合は海外特例要件への該当も確認する必要があります。

参考資料

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