外国人の扶養控除申告書とは?
外国人の扶養控除申告書とは、日本に居住し給与所得を得る外国人労働者が事業者に提出する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を指します。
所得税法に基づく所得控除の適用を受けるための重要書類で、扶養親族・配偶者・障害者控除等の情報を記載します。住民票がある外国人にはマイナンバー(個人番号)が付番されるため、本人・控除対象配偶者・扶養親族のマイナンバー記載が必要です。
外国人特有の論点として、国外居住親族の扶養控除があります。
2023年1月以降、30歳以上70歳未満の国外居住親族は原則として扶養控除対象外で、例外として①留学者、②障害者、③年38万円以上の生活費・教育費送金者のいずれかに該当する場合のみ対象です。
必要書類として親族関係書類・送金関係書類・翻訳文の提出が義務化されています。2025年(令和7年)から新設の特定親族特別控除(19〜22歳・最高63万円控除)に対応した新様式(4申告書統合)が導入されています。
必要になる場面
入社時・年初時
外国人を新規雇用した時、または年初時点で在籍する外国人労働者から本申告書の提出を受けます。本人および控除対象配偶者・扶養親族の氏名・生年月日・マイナンバー等を記載します。提出により給与所得の源泉徴収税額表の甲欄適用となり、年末調整の対象となります。
国外居住親族の扶養控除申請時
本国の家族(配偶者・子・親等)を扶養親族として申告する場合、本申告書に加え親族関係書類(戸籍の附票・出生証明書等+翻訳文)と送金関係書類(金融機関の送金明細等)の提出が必要です。30〜69歳の親族については年38万円以上の送金書類が追加で必要となります。
家族構成の変更時
扶養親族の増減(出生・死亡・結婚・離婚・所得超過等)が発生した場合は、速やかに「異動」事由を記載した申告書を再提出します。年末調整の精算に反映されます。
申請・取得の手順
- 事業者は入社時または毎年年末調整前(11月頃)に本申告書を労働者に配布する。
- 外国人労働者は本人および扶養親族の氏名・生年月日・マイナンバー等を記載する。本人のマイナンバーは住民票がある場合に付番されている。
- 国外居住親族を申告する場合は親族関係書類(戸籍の附票・出生証明書等+翻訳文)を添付。
- 提出は雇入れ時または年末調整前。事業者は3年間(マイナンバー記載の場合)保管する。
- 年末調整時に送金関係書類(38万円以上送金書類含む)を追加提出する。
- 事業者は本申告書に基づき源泉徴収税額表の甲欄を適用し、年末調整で精算する。
注意点・よくある失敗
国外居住親族の30〜69歳要件
2023年1月以降、30歳以上70歳未満の国外居住親族は留学・障害者・38万円以上送金のいずれかに該当しない限り扶養控除対象外です。本国の家族を扶養申告する際は要件確認が必須で、要件を満たさない場合の申告は控除否認となります。
必要書類の準備
国外居住親族の場合、親族関係書類(戸籍の附票・出生証明書・婚姻証明書等)と送金関係書類(金融機関の送金明細・クレジットカード利用明細等)の両方が必要です。30〜69歳の場合は38万円送金書類も必須です。外国語書類は日本語翻訳文の添付が必要です。
マイナンバーの取扱い
住民票がある外国人にはマイナンバーが付番されます。本人・控除対象配偶者・扶養親族のマイナンバー記載が原則ですが、国外居住親族にはマイナンバーがないため記載不要です。マイナンバー記載書類は7年間保管が必要です(個人番号関係事務)。
2025年からの新様式
令和7年度税制改正により特定親族特別控除(19〜22歳・最高63万円控除)が新設され、年末調整時に提出する申告書が「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書 兼 特定親族特別控除申告書」の4申告書統合の新様式となりました。給与所得者の扶養控除等(異動)申告書本体の様式は令和7年分も変更ありません。
類似書類との違い
| 項目 | 扶養控除等(異動)申告書 | 基礎控除申告書(4申告書統合) | 保険料控除申告書 |
|---|---|---|---|
| 提出時期 | 入社時・年初時・異動時 | 年末調整時 | 年末調整時 |
| 主な記載事項 | 扶養親族・配偶者・障害者 | 基礎・配偶者・所得金額調整・特定親族特別 | 生命保険料・地震保険料等 |
| マイナンバー | 必要(本人・扶養親族) | 不要 | 不要 |
| 添付書類 | 国外居住親族の場合は親族関係書類等 | 送金関係書類(年末調整時) | 保険料控除証明書 |
| 2025年改正 | 本体様式変更なし | 4申告書統合の新様式 | 変更なし |
外国人の年末調整には複数の申告書が必要となります。扶養控除等申告書は入社時・年初時に提出し年間を通じて使用、その他の申告書は年末調整時に提出します。これらを一体的に管理することが重要です。
よくある質問
Q. 国外居住親族の扶養控除には何が必要ですか?
A. 親族関係書類(戸籍の附票・出生証明書等)、送金関係書類(金融機関の送金明細等)、外国語書類の翻訳文が必要です。
30〜69歳の親族については年38万円以上の送金書類が追加で必要です。30歳未満・70歳以上は基本的な書類のみで対応可能です。
Q. マイナンバーは必須ですか?
A. 住民票がある外国人本人と国内居住の扶養親族にはマイナンバーが付番されるため記載必須です。国外居住親族には付番されないため記載不要です。
マイナンバー記載書類は7年間保管が必要です(個人番号関係事務)。事業者の社内体制整備が重要です。
Q. 38万円送金は1人ずつ別個ですか?
A. はい、扶養親族1人ずつ別個に送金記録を保存する必要があります。複数親族への一括送金は認められません。
月3.2万円以上の継続送金が目安となります。各送金の受取人氏名・金額が確認できる書類の保存が重要です。
Q. 退職時の扶養控除等申告書はどう扱いますか?
A. 年の途中で中途退職する場合、基本的に退職時点で年末調整は行いません。転職先での年末調整または本人の確定申告で対応します。
1年以上の予定で海外転勤・帰国する場合(非居住者化)は、出国日までに年末調整を行います。保険料控除は出国日までに支払ったものに限定されます。