年末調整とは?
年末調整とは、給与等の支払者(雇用主)が給与所得者の1年間の所得税額を年末に再計算・精算する手続きです。源泉徴収された税額と確定税額の差額を還付または徴収することで、給与所得者の所得税申告を雇用主が代行する仕組みです。
対象者は給与所得者で、その年の最後の給与等の支払日まで在職している「居住者」です。1年以上の在留予定がある外国人は原則「居住者」として年末調整の対象となります。
必要書類は扶養控除等申告書・基礎控除申告書・配偶者控除等申告書・保険料控除申告書・住宅借入金等特別控除申告書の5種類が中心です。
2024年(令和6年)分は定額減税の年末調整での精算が必要となり、2025年12月1日施行の令和7年度税制改正により基礎控除が58万円〜95万円の5段階に引き上げられ、給与所得控除の最低額も55万円→65万円に引き上げられました。「特定親族特別控除」(19〜22歳・最高63万円控除)も新設されています。
国税庁の「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア」(年調ソフト)も令和7年分対応版(第6.1版)が2025年10月15日に公開され、電子化が進んでいます。
必要になる場面
年末の在職時
その年の最後の給与等の支払日まで在職している給与所得者(居住者)が対象です。1年以上の在留予定がある外国人は入国当初から居住者扱いとなり、年末調整の対象となります。短期出張等で1年未満の場合は非居住者扱いで、20.42%の源泉徴収のみで年末調整は不要です。
出国時の年末調整
1年以上の海外赴任で出国し非居住者になる場合、出国日までに年末調整を実施します(所得税法基本通達190-1)。技能実習・育成就労外国人の帰国時にも、出国日までに年末調整類似の精算が必要です。
中途入社時
その年の途中で入社した労働者については、前職の源泉徴収票を提出させて年間の所得を合算して年末調整を行います。前職の源泉徴収票がない場合は、当該勤務先での給与のみで年末調整を行うことになります。
申請・取得の手順
- 事業者は11月頃から年末調整に必要な書類(扶養控除等申告書・基礎控除申告書等)を従業員に配布する。
- 従業員は必要事項を記入し、生命保険料控除証明書等の証明書類を添付して期限内に提出する。
- 事業者は提出書類に基づき年間給与・控除額を計算し、年税額を算出する。
- 源泉徴収済み税額との差額を12月の給与・賞与で還付または徴収する。
- 翌年1月31日までに「給与所得の源泉徴収票」を作成し、従業員へ交付・税務署へ提出する。
- 外国人で国外居住親族の扶養控除を申請する場合は、親族関係書類・送金関係書類(38万円以上)の提出が必要。
注意点・よくある失敗
居住者・非居住者の判定
1年以上の在留予定がある外国人は居住者扱いで年末調整の対象、1年未満の短期滞在者は非居住者扱いで対象外です。判定誤りは遡及した精算が必要となるため、雇用契約書での在留期間の確認が重要です。
2024年定額減税の精算
2024年(令和6年)分は月次減税事務(6月以降の給与・賞与から3万円×人数を控除)と年調減税事務(年末調整時に再精算)の二段構えとなります。本人+同一生計配偶者+扶養親族(いずれも国内居住・合計所得48万円以下)が対象で、本人の合計所得1,805万円以下が条件です。「年末調整に係る定額減税のための申告書」は基礎控除申告書と兼用様式に統合されました。
国外居住親族の扶養控除
2023年1月以降、国外居住親族の扶養控除は、年齢30歳以上70歳未満は「留学」「障害」「38万円以上の送金」のいずれかが要件です。「親族関係書類」と「送金関係書類」の提出が必須で、外国語書類は日本語訳の添付が必要です。送金記録は1人ずつ別個に行う必要があります。
2025年税制改正の反映
2025年12月1日施行の令和7年度税制改正により、基礎控除が58万円〜95万円の5段階に引き上げられ、給与所得控除の最低額も55万円→65万円に引き上げられました。特定親族特別控除(19〜22歳・最高63万円控除)も新設されています。年末調整実施担当者は最新ルールを確認することが重要です。
類似書類との違い
| 項目 | 年末調整 | 確定申告 | 源泉徴収 |
|---|---|---|---|
| 主体 | 事業者(雇用主) | 個人(納税者) | 事業者(支払者) |
| 対象者 | 給与所得者(居住者) | すべての納税者 | 給与・報酬の支払を受ける者 |
| 時期 | 12月(給与最終支払時) | 翌年2月16日〜3月15日 | 支払の都度 |
| 主な目的 | 年間税額の精算 | 年間税額の確定申告 | 源泉所得税の徴収 |
| 必要書類 | 扶養控除等申告書等5種類 | 確定申告書・源泉徴収票等 | 源泉徴収税額表に基づく計算 |
| 外国人 | 居住者のみ対象 | 非居住者は原則不要 | 居住者・非居住者で税率異なる |
年末調整は事業者が従業員の所得税を精算する手続きで、確定申告は個人が自ら行う申告です。両者は連続する仕組みで、年末調整で完結する場合は確定申告不要、医療費控除等を追加で受けたい場合は確定申告を行います。
よくある質問
Q. 外国人労働者も年末調整の対象ですか?
A. 1年以上の在留予定がある「居住者」は対象、1年未満の「非居住者」は対象外です。
居住者の場合は日本人と同様の手続きで、扶養控除等申告書を提出し年末調整を受けます。本国家族の扶養控除を受ける場合は親族関係書類・送金関係書類の提出が必要です。
Q. 帰国時の年末調整はどう行いますか?
A. 出国日までに年末調整類似の精算を行います(所得税法基本通達190-1)。
技能実習・育成就労外国人の帰国時にも適切な精算が必要です。出国後の日本国内源泉所得については非居住者として20.42%源泉徴収となります。
Q. 年調ソフトはどこで入手できますか?
A. 国税庁の公式サイトから無料でダウンロードできます。Windows・Mac・iOS・Android・Microsoft Store版が提供されています。
令和7年分対応版(第6.1版)は2025年10月15日に公開済みです。控除額計算・扶養親族の年齢判定が自動化され、事業者の事務負担を軽減できます。
Q. 2024年の定額減税はどう精算しますか?
A. 月次減税事務と年調減税事務の二段構えで精算します。年末調整時に再計算して還付・徴収します。
本人+同一生計配偶者+扶養親族(国内居住・合計所得48万円以下)が対象で、本人の合計所得1,805万円以下が条件です。年末調整に係る定額減税のための申告書は基礎控除申告書と兼用様式に統合されました。