用語集 雇用・労務関連

外国人社員の定着支援制度がいこくじんしゃいんのていちゃくしえんせいど

外国人社員の定着支援制度とは?

外国人社員の定着支援制度とは、受入機関が外国人労働者の長期就労・キャリア形成を支援するために整備する各種制度・取組の総称です。

厚生労働省は「事業者向け受入れ・定着マニュアル〜外国人と一緒にはたらくために〜」(令和5年公表)や「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」を通じて、受入機関に日本語教育・生活支援・キャリアパス整備等の取組を促しています。

受入機関が活用できる人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)では、雇用労務責任者の選任・就業規則の多言語化・苦情相談体制の整備・一時帰国休暇制度等の措置に対し、対象経費の2/3(上限72万円)が助成されます。

育成就労(2027年4月施行予定)では受入機関に対する日本語教育支援義務・キャリア形成支援義務が制度化され、定着支援が法的義務化されます。メンター制度・多文化共生研修・住居支援・一時帰国支援等の取組が広く展開されています。

制度の背景

外国人社員の定着支援は、厚生労働大臣告示「外国人労働者の雇用管理の改善等に関する指針」を法的基盤として、受入機関の努力義務として位置づけられています。日本語教育、生活習慣・文化・雇用慣行への理解促進、生活相談体制の整備等が求められます。

育成就労(2027年4月施行予定)では努力義務から法的義務に格上げされ、日本語教育支援義務、キャリア形成支援、相談支援体制整備等が受入機関の許可基準として組み込まれます。

本人意向の転籍が認められる新制度では、定着支援の充実が人材確保の鍵となります。優良受入機関の認定制度により、技能・日本語習熟度の達成実績、処遇、相談支援体制等で受入枠が拡大される仕組みも導入されます。

主な内容と要件

① 人材確保等支援助成金

項目内容
名称外国人労働者就労環境整備助成コース
制度導入時1制度導入につき定額20万円(上限80万円)
目標達成時(賃金要件あり)対象経費の2/3(上限72万円)
目標達成時(賃金要件なし)対象経費の1/2(上限57万円)
対象措置雇用労務責任者選任・就業規則多言語化・苦情相談体制・一時帰国休暇制度・社内マニュアル多言語化等
通訳費外部通訳謝金・派遣費用
翻訳機器上限10万円

外国人特有の事情に配慮した就労環境整備に取り組む事業主への助成金です。受入機関は活用しやすい補助制度として広く認知されており、定着支援の各種取組のコスト負担を大幅に軽減できます。

② 主要な定着支援の取組

取組内容
メンター制度・バディシステム先輩社員による業務・生活両面のサポート
多文化共生研修管理職・一般社員向けの異文化理解研修
日本語学習支援社内日本語教室・e-ラーニング・JLPT受験料補助
キャリアパス制度透明性のある評価・昇進制度(特定技能2号への移行支援等)
一時帰国支援有給休暇取得・帰国費用補助
住居支援社宅・借上げ住宅・保証人代行
生活・在留手続きの伴走支援在留期間更新・市区町村手続きのサポート

これら7つの取組を組み合わせることで、外国人社員の長期就労と本人のキャリア形成・生活基盤の安定が両立します。日本語教育・キャリアパス制度は特に重要な要素です。

③ 育成就労での定着支援義務(2027年4月〜)

項目内容
日本語教育支援義務社内日本語教室・オンライン教材・外部機関連携
キャリア形成支援分野別所管省庁のキャリア形成計画に沿った支援・外部委託費用の開示
転籍権利付与一定要件下で本人意向の転籍を認める
優良受入機関認定技能・日本語達成実績、処遇、相談支援体制で受入枠拡大

育成就労制度では受入機関の定着支援が法的義務化されます。本人意向の転籍が認められる新制度では、定着率向上が受入機関の経営課題となるため、定着支援の充実は経営戦略上の重要事項です。

立場別の実務ポイント

受入機関の体制整備

厚労省「事業者向け受入れ・定着マニュアル」を活用した社内体制整備が基本です。雇用労務責任者の選任・就業規則の多言語化・苦情相談窓口の設置・一時帰国休暇制度の整備が中核取組となります。人材確保等支援助成金の活用により、コスト負担を軽減できます。

日本語教育支援

日本語学習支援は定着率向上の最重要要素です。社内日本語教室・e-ラーニング・JLPT受験料補助・地域日本語教室への参加支援等を組み合わせて実施します。育成就労制度では日本語教育支援が義務化されるため、2026年中の制度設計が必要です。

キャリアパス制度

透明性のある評価・昇進制度の構築が定着率向上に貢献します。特定技能2号への移行支援、リーダー登用、長期就労へのインセンティブ等を制度化します。本国家族の招聘可能な特定技能2号は、外国人材にとって魅力的なキャリアゴールとなります。

一時帰国・家族関係への配慮

本国家族との関係維持は外国人材の心理的安定の基盤です。有給休暇取得への配慮、帰国費用補助、家族との連絡時間の確保等が重要な取組となります。育成就労の農業・漁業分野では最長6か月の一時帰国が認められるため、長期帰国対応も検討事項です。

類似制度との比較

項目定着支援制度特定技能の義務的支援育成就労の支援義務
位置づけ努力義務(指針)10項目の義務法的義務(2027年4月〜)
主体受入機関受入機関・登録支援機関受入機関・監理支援機関
主な内容多文化共生・キャリア・住居等事前ガイダンス・住居・銀行口座等10項目日本語教育・キャリア形成等
助成金人材確保等支援助成金
違反時指導・勧告受入機関認定取消許可取消・受入枠制限

定着支援制度は努力義務として位置づけられますが、特定技能では10項目の義務的支援、育成就労では法的義務として制度化されます。これらを一体的に運用することで、外国人材の長期就労・キャリア形成が実現できます。

よくある質問

Q. 助成金はどう申請しますか?

A. 都道府県労働局に「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」の支給申請書を提出します。

制度導入計画の策定→所定の措置実施→効果測定(離職率の改善等)→申請の流れです。社労士事務所等の代行も利用可能です。

Q. 育成就労での日本語教育支援はどう実施しますか?

A. 社内日本語教室の開催、オンライン教材の提供、外部日本語教育機関との連携、就労中の日本語サポート強化等の方法があります。

2027年4月の施行に向けて、2026年中の制度設計が必要です。受入機関の規模・分野に応じた最適な方法を選択します。

Q. メンター制度とは何ですか?

A. 先輩社員(メンター)が外国人社員(メンティー)に対し、業務・生活両面のサポートを継続的に行う制度です。

業務指導だけでなく、生活相談・キャリア相談・人間関係の橋渡し等を担います。同じ送出国出身のメンター配置が効果的です。

Q. キャリアパス制度のポイントは?

A. 透明性のある評価基準・昇進ルートを明文化し、外国人本人にも理解できる形で提示することがポイントです。

特定技能1号→2号への移行支援、リーダー登用、長期就労インセンティブ等を制度化します。多言語での説明資料整備も重要です。

参考資料

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