用語集 雇用・労務関連

労働保険ろうどうほけん

労働保険とは?

労働保険とは、労災保険(労働者災害補償保険)と雇用保険の総称で、一体のものとして取り扱われます(一元適用事業)。労働者を1人でも雇用する事業主は、原則として労働保険に加入義務を負う強制適用制度です。

労働者を雇い入れた日から10日以内に「保険関係成立届」を所轄の労働基準監督署またはハローワークへ提出する必要があり、概算保険料申告書も保険関係成立日から50日以内に提出が必要です。

保険料は労災保険が事業主全額負担雇用保険が労使折半(厳密には事業主の方が多い負担)です。雇用保険の被保険者要件は週20時間以上・31日以上の雇用見込み(2028年10月から週10時間以上に引下げ予定)です。労働保険料の年度更新は毎年6月1日〜7月10日に実施されます。

外国人労働者にも国籍・在留資格を問わず適用され、特定技能・育成就労外国人も雇用保険・労災保険の両方が適用されます。

制度の背景・法的根拠

労働保険は労働者災害補償保険法(1947年制定)と雇用保険法(1974年制定)に基づく公的保険制度です。労災保険は労働者の業務災害・通勤災害への補償、雇用保険は失業時の生活保障・雇用機会の確保等を目的とします。

両保険は「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」により一体化された保険料徴収・年度更新制度のもと運用されています。

労働者を1人でも雇用する事業主には強制適用され、未加入の場合は労災保険法第51条等により6か月以下の懲役または30万円以下の罰金の対象となります。さらに故意・重大な過失による未加入の場合は、保険給付額の40〜100%を費用徴収される厳しいペナルティもあります。

主な内容と要件

① 労災保険

項目内容
対象すべての労働者(パート・アルバイト含む)
保険料負担事業主全額
保険料率事業の種類により異なる(0.25%〜8.8%)
主な給付療養・休業・障害・遺族・葬祭・傷病年金・介護
外国人への適用国籍・在留資格・在留期間不問(不法就労者も対象)

労災保険は労働者を1人でも雇う事業主に強制適用され、保険料は事業主全額負担です。給付は業務災害・通勤災害の補償として療養給付・休業給付・障害給付等が中心です。

② 雇用保険

項目内容
被保険者要件週20時間以上・31日以上の雇用見込み
2028年10月予定週10時間以上に引下げ
保険料負担労使折半(事業主の方が多い)
主な給付失業給付(基本手当)・育児休業給付・教育訓練給付等
外国人への適用国籍・在留資格不問(被保険者要件を満たせば適用)
外国人雇用状況届出資格取得・喪失届で兼用

雇用保険は被保険者要件(週20時間以上・31日以上雇用見込み)を満たす労働者に適用されます。2028年10月から週10時間以上に引下げ予定で、適用範囲が拡大されます。

③ 年度更新

項目内容
時期毎年6月1日〜7月10日
内容前年度の確定保険料を申告・納付+新年度の概算保険料を申告・納付
2025年度2025年6月2日〜7月10日が受付期間
申請窓口労働基準監督署・ハローワーク・都道府県労働局

労働保険料の年度更新は毎年6月〜7月に実施され、前年度の確定保険料と新年度の概算保険料を一括で申告・納付します。電子申請(e-Gov)も利用可能です。

立場別の実務ポイント

受入機関の加入手続き

外国人労働者を雇用した日から10日以内に「保険関係成立届」を提出します。既に労働保険適用事業所の場合は、雇用保険の資格取得届(外国人雇用状況届出を兼用)の提出が必要です。届出漏れは行政指導・費用徴収の対象となります。

外国人雇用状況届出との関係

外交・公用以外の在留資格の外国人を雇用・離職した際、ハローワークへの「外国人雇用状況届出」が義務付けられています。雇用保険適用の場合は資格取得・喪失届で兼用できるため、別途届出は不要です。雇用保険適用外の場合は別途専用様式での届出が必要です。

未加入のリスク

未加入時のペナルティは厳しく、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に加え、最大2年間遡及して保険料・追徴金を徴収されます。労災事故発生時には、故意の場合保険給付額の100%、重大な過失の場合40%が事業主から徴収されます。悪質な場合は厚労省による企業名公表・ハローワーク求人掲載不可等の措置もあります。

2028年10月の雇用保険拡大

2028年10月から雇用保険の被保険者要件が週20時間以上から週10時間以上に引下げ予定です。短時間労働者の雇用保険適用拡大により、外国人留学生のアルバイト等にも適用範囲が広がります。受入機関は今後の制度改正に備えた事務体制整備が必要です。

類似制度との比較

項目労災保険雇用保険健康保険厚生年金保険
主目的業務・通勤災害補償失業時の生活保障傷病・出産老齢・障害・遺族年金
適用基準労働者全員週20時間以上等週20時間以上等週20時間以上等
保険料負担事業主全額労使(事業主多)労使折半労使折半
所管厚労省(労基署)厚労省(ハローワーク)協会けんぽ等日本年金機構
外国人への適用全員適用要件を満たせば適用同左同左

労働保険(労災・雇用)と社会保険(健康・厚生年金)はそれぞれ異なる目的・財源・所管の保険制度ですが、外国人労働者を雇用する企業はすべての保険への加入手続きが必要です。一体的に整備することで適切な労務管理が可能となります。

よくある質問

Q. パート・アルバイトも労働保険の対象ですか?

A. 労災保険は全員、雇用保険は被保険者要件(週20時間以上・31日以上雇用見込み)を満たす者が対象です。

2028年10月からは雇用保険の要件が週10時間以上に引下げられるため、適用範囲がさらに拡大します。

Q. 未加入が発覚するとどうなりますか?

A. 罰則として6か月以下の懲役または30万円以下の罰金、最大2年間遡及した保険料・追徴金徴収となります。

労災事故発生時には故意で給付額の100%、重大な過失で40%が事業主から徴収されます。悪質な場合は企業名公表もあります。

Q. 外国人留学生のアルバイトも対象ですか?

A. 労災保険は全員適用、雇用保険は週20時間以上の場合に適用されますが、留学生は資格外活動許可上「週28時間以内」の制限があるため雇用保険適用となります。

留学生のアルバイトでも適切な労働保険手続きが必要です。外国人雇用状況届出も必須となります。

Q. 年度更新を忘れるとどうなりますか?

A. 追徴金(10%)・延滞金が課される可能性があります。労働基準監督署からの督促・指導の対象となります。

毎年6月〜7月の年度更新期間を社内カレンダーに登録し、計画的に対応することが重要です。電子申請(e-Gov)の活用も推奨されます。

参考資料

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お問い合わせ 03-5772-7338平日(10:00~19:00)
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