用語集 雇用・労務関連

有給休暇制度ゆうきゅうきゅうかせいど

有給休暇制度とは?

有給休暇制度とは、使用者が一定要件を満たした労働者に対して付与しなければならない年次有給休暇の制度です。雇入れの日から起算して6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して10労働日の年次有給休暇を与える義務があります。継続勤務年数に応じて付与日数が増加し、6年6か月以上で20日が上限となります。

2019年4月施行の働き方改革関連法により、年10日以上の年休が付与される労働者に対し、使用者は年5日以上を時季指定により取得させる義務があります(労基法39条7項)。違反は労基法120条1号により30万円以下の罰金です。労基法は国籍を問わず適用される(労基法3条均等待遇原則)ため、外国人労働者にも同様に適用されます。

特定技能では母国一時帰国のための年休取得への配慮が運用要領で求められ、育成就労では農業・漁業分野で繁忙期の関係で最長6か月の一時帰国が認められる運用です。

制度の背景・法的根拠

年次有給休暇は労働者の心身の疲労回復・労働力の維持・生活の充実を目的とした労基法上の重要な権利です。日本では年休取得率の低さが長年の課題で、欧米諸国と比較して取得率が低い水準にありました。これを改善するため2019年4月から年5日取得義務化が導入され、企業の労務管理の重要課題となっています。

外国人労働者の場合、本国の家族との関係維持・冠婚葬祭への参加等のため、一時帰国を希望するケースが多くなっています。特定技能・育成就労では受入機関に対して年休取得への配慮を求める運用が定着しています。技能実習法・育成就労法の関連省令でも一時帰国時の有給休暇取得が明記されています。

主な内容と要件

① 付与要件と日数

継続勤務付与日数
6か月10日
1年6か月11日
2年6か月12日
3年6か月14日
4年6か月16日
5年6か月18日
6年6か月以上20日

付与要件は6か月継続勤務+全労働日の8割以上出勤です。継続勤務年数に応じて付与日数が増加し、6年6か月以上で20日が上限となります。年休は付与日から2年間で時効により消滅します。

② 年5日取得義務化(2019年4月)

項目内容
根拠法令労働基準法第39条第7項
対象年10日以上の年休が付与される労働者
使用者の義務年5日以上を時季指定により取得させる
罰則労基法120条1号 30万円以下の罰金
備考違反は労働者ごとに成立し得る

使用者は年10日以上の年休が付与される労働者に対し、付与日から1年以内に時季指定により5日以上を取得させる義務があります。労働者自らが取得した日数・計画的付与による日数は5日に算入できます。

③ パート・アルバイトの比例付与

項目内容
対象週所定労働日数4日以下かつ週所定労働時間30時間未満の労働者
根拠労基法施行規則24条の3
付与日数労働日数に応じた比例付与

パート・アルバイトでも要件を満たせば年休が付与されます。週4日勤務の場合、6か月継続勤務で7日、6年6か月以上で15日と通常労働者の比例付与となります。

立場別の実務ポイント

受入機関の年休管理

労基法施行規則24条の7により年次有給休暇管理簿を労働者ごとに作成し、3年間保存する義務があります。年5日取得義務の管理として、付与日・取得日・残日数を一覧管理することが重要です。労務管理ソフトの活用が効果的です。

時季変更権・計画的付与

使用者は事業の正常な運営を妨げる場合に時季変更権を行使可能です(労基法39条5項)。労使協定により計画的付与(5日を超える部分)が可能で、夏季・年末年始の一斉休業等で活用されます。外国人労働者にも同様に適用されます。

特定技能の母国一時帰国配慮

特定技能では「特定技能外国人受入れに関する運用要領(令和7年4月版)」により、本人から一時帰国の申出があった場合、業務上やむを得ない場合を除き有給の休暇を取得できるよう配慮を求められます。本国家族との関係維持は定着率向上の鍵となります。

育成就労での農業・漁業の特例

育成就労(2027年4月施行予定)では、農業・漁業分野で繁忙期の関係で最長6か月の一時帰国が認められる運用です。一時帰国の旅費は単独型では受入機関、監理型では監理支援機関が負担します。長期帰国期間を活用した本国でのキャリア形成・家族関係維持が可能です。

類似制度との比較

項目有給休暇特別休暇育児・介護休業
根拠法令労基法39条就業規則・労働協約育児・介護休業法
賃金支払有給有給または無給(規程による)原則無給(給付金あり)
付与法定企業による法定(要件あり)
取得義務年5日(2019年4月から)なし労働者の権利
外国人への適用あり規程によるあり

有給休暇は労基法上の法定義務、特別休暇は企業の裁量で設定する慶弔休暇等、育児・介護休業は別の法律に基づく制度です。これらを組み合わせて労務管理を行うことが重要です。

よくある質問

Q. 外国人労働者にも年休は付与されますか?

A. はい、労基法は国籍を問わず適用されるため(労基法3条均等待遇原則)、日本人と同様に付与されます。

在留資格の種類・雇用形態を問わず一律適用されます。特定技能・技能実習・育成就労外国人にも適用され、母国一時帰国の取得配慮も求められています。

Q. 年5日取得義務に違反するとどうなりますか?

A. 労基法120条1号により30万円以下の罰金です。違反は労働者ごとに成立し得るため、対象者100名で違反した場合は理論上3,000万円以下の罰金まで科される可能性があります。

労働者自らが取得した日数・計画的付与による日数も5日に算入できるため、計画的な取得促進が重要です。

Q. 母国一時帰国のための年休取得は認められますか?

A. はい、特定技能では運用要領で配慮が求められ、育成就労では一時帰国時の有給休暇取得が省令で明記されています。

農業・漁業の育成就労では繁忙期の関係で最長6か月の一時帰国が認められます。本国家族との関係維持は定着率向上の鍵となります。

Q. パート・アルバイトでも年休はもらえますか?

A. はい、要件を満たせば付与されます。週所定労働日数4日以下かつ週30時間未満の場合は労働日数に応じた比例付与となります。

週4日勤務の場合、6か月継続勤務で7日、6年6か月以上で15日が付与されます。雇用形態を問わず適用される労働者の権利です。

参考資料

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