用語集 雇用・労務関連

源泉徴収げんせんちょうしゅう

源泉徴収とは?

源泉徴収とは、所得税法に基づき、給与・報酬等の支払者が支払時に所定の所得税を差し引いて国に納付する制度です。給与所得の源泉徴収義務は所得税法第183条、非居住者等への源泉徴収は所得税法第212条に規定されています。

外国人労働者の場合、「居住者」と「非居住者」の区分(所得税法第2条)により税率・取扱いが大きく異なります。1年以上の在留予定が明らかな場合は入国当初から居住者扱いとなります。

居住者は給与所得の源泉徴収税額表(甲欄・乙欄)に基づき源泉徴収され、年末調整・確定申告で精算されます。非居住者は原則一律20.42%(所得税20%+復興特別所得税0.42%)の源泉徴収となり、源泉分離課税で完結します。

出身国と日本との租税条約に基づく減免を受ける場合は「租税条約に関する届出書」を支払者経由で所轄税務署長に提出します。中国・ベトナム・インド等の国別に学生・研修生の免税条項に差があるため、本人の状況に応じた確認が必要です。

具体的な意味・内容

居住者と非居住者の区分

居住者は国内に住所を有する個人、または現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人です。非居住者は居住者以外の個人を指します。「住所」は各人の生活の本拠、「居所」は生活の本拠ではないが現実に居住している場所を意味します。入国時の判定として、契約等で1年以上の在留予定が明らかであれば、入国当初から居住者扱いとなります。

居住者の源泉徴収

給与所得の源泉徴収税額表(甲欄・乙欄)に基づいて源泉徴収されます。甲欄は扶養控除等申告書を提出した者(主たる給与)、乙欄は扶養控除等申告書を提出していない者(従たる給与)に適用されます。年末調整・確定申告で年間税額を精算します。日本人と同様の取扱いとなります。

非居住者の源泉徴収

非居住者の給与に対しては一律20.42%(所得税20%+復興特別所得税0.42%(20%×2.1%))の源泉徴収率が適用されます。国内源泉所得のみが課税対象で、原則として源泉分離課税で完結し、年末調整は行われません。出張で来日する短期滞在者、技能実習開始前の研修等が該当します。

租税条約による減免

出身国と日本との租税条約に基づき軽減・免除を受ける場合、「租税条約に関する届出書」を支払者経由で所轄税務署長に提出します。学生・研修生の免税条項は国別に内容差があり、中国は生計・教育・訓練のための受給は免税(日中租税条約第21条)、ベトナムは技能実習生は免税条項対象外(一般留学生のみ対象)、インド・タイ・韓国・フィリピン等も国別に内容差があります。

関連する法律・税率

項目内容
根拠法令所得税法第28条・第183条・第212条/所得税法第2条(居住者・非居住者定義)
所管国税庁・税務署
居住者の判定国内に住所/1年以上の居所/1年以上の在留予定で入国当初から居住者
居住者の源泉徴収源泉徴収税額表(甲欄・乙欄)/年末調整で精算
非居住者の源泉徴収一律20.42%(所得税20%+復興特別所得税0.42%)
非居住者の課税範囲国内源泉所得のみ
非居住者の精算原則として源泉分離課税で完結(年末調整なし)
租税条約の減免「租税条約に関する届出書」の提出が必要
中国の免税条項学生・研修生は生計・教育費は免税(日中条約21条)
ベトナムの免税条項技能実習生は対象外/一般留学生のみ対象
帰国時の取扱い居住者→非居住者の場合、出国年末調整類似の精算

実務上の注意点

入国時の居住者判定

1年以上の在留予定が明らかな場合は入国当初から居住者扱いとなります。雇用契約書で1年以上の雇用が明示されていれば居住者として源泉徴収します。短期滞在者・1年未満の場合は非居住者として20.42%の源泉徴収となります。判定誤りは遡及した精算が必要となるため、契約締結時の確認が重要です。

租税条約の届出書提出

租税条約による減免を受けるためには、給与等の最初の支払日の前日までに「租税条約に関する届出書」を支払者経由で所轄税務署長に提出する必要があります。提出が遅れると初回の支払いから減免が受けられないため、計画的な手続きが必要です。学生・研修生の免税条項は国別に内容差があるため、本人の出身国を確認することが重要です。

技能実習生のベトナム租税条約

ベトナム出身の技能実習生は日越租税条約の免税条項の対象外です(一般留学生のみ対象)。技能実習生は受入機関の業務に従事する労働者と位置づけられるためです。一方、中国出身の技能実習生は日中租税条約第21条で生計・教育・訓練のための受給は免税の対象となります。

帰国時の精算

居住者が日本を出国し非居住者となる場合、出国時までの所得について出国年末調整類似の精算が必要です。出国後の日本国内源泉所得については非居住者として20.42%源泉徴収となります。技能実習・育成就労外国人の帰国時には適切な精算を行う必要があります。

関連用語との違い

項目居住者の源泉徴収非居住者の源泉徴収租税条約適用時
税率源泉徴収税額表(累進)一律20.42%条約規定の軽減税率または免除
課税範囲全世界所得国内源泉所得のみ条約規定による
年末調整ありなし(源泉分離)条約規定による
確定申告必要に応じて原則不要条約規定による
典型例1年以上在留予定の労働者短期出張者・1年未満学生・研修生(国別差)

居住者と非居住者では源泉徴収の仕組みが大きく異なります。租税条約の適用は本人の出身国・身分(学生・研修生・労働者)により条件が異なるため、個別の確認が不可欠です。

よくある質問

Q. 入国直後は非居住者扱いですか?

A. 1年以上の在留予定が明らかな場合は入国当初から居住者扱いとなります。雇用契約書等で1年以上の雇用が明示されていれば居住者です。

1年未満の短期滞在・短期出張等の場合は非居住者として20.42%の源泉徴収となります。在留資格や契約期間に応じた判定が重要です。

Q. 租税条約の届出書はいつまでに提出しますか?

A. 給与等の最初の支払日の前日までに支払者経由で所轄税務署長に提出する必要があります。

提出が遅れると初回の支払いから減免が受けられません。学生・研修生の免税条項は国別に内容差があるため、本人の出身国を確認の上、適切に手続きすることが重要です。

Q. ベトナムの技能実習生は免税になりますか?

A. ベトナムの技能実習生は日越租税条約の免税条項の対象外です。受入機関の業務に従事する労働者と位置づけられるためです。

免税条項の対象は一般留学生のみとなります。中国の技能実習生は日中租税条約第21条で免税対象となるなど、国別の差があるため確認が必要です。

Q. 帰国時の年末調整はどうしますか?

A. 居住者が日本を出国し非居住者となる場合、出国時までの所得について出国年末調整類似の精算を行います。

出国後の日本国内源泉所得については非居住者として20.42%源泉徴収となります。技能実習・育成就労の帰国時には適切な精算が必要です。

参考資料

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