雇用条件書(特定技能)とは?
雇用条件書(特定技能)とは、特定技能外国人を受け入れる事業主に作成・交付が義務付けられる労働条件の詳細を記載した書類です。在留資格「特定技能」の各種申請時の必須提出書類で、母国語・本人理解できる言語での説明・交付義務が課されています。
必須記載事項は、雇用契約期間・就業場所・業務内容・始業終業時刻・休憩・休日・賃金・社会保険加入状況・雇入れ時健康診断・帰国担保措置等です。出入国在留管理庁が英語・ベトナム語・中国語・インドネシア語・タガログ語・タイ語・ミャンマー語・クメール語・モンゴル語等の翻訳様式を公表しています。
「日本人と同等以上」の報酬要件の確認資料として、特定技能外国人の報酬に関する説明書(参考様式第1-4号)と組み合わせて運用されます。育成就労(2027年4月施行予定)でも雇用条件書の交付義務は継承される見込みです。
必要になる場面
在留資格認定証明書交付申請時
海外から特定技能外国人を呼び寄せる際の在留資格認定証明書交付申請(COE申請)時に必須提出書類です。雇用条件書とともに「特定技能雇用契約書」「特定技能外国人の報酬に関する説明書」も提出します。
在留資格変更許可申請時
技能実習修了者・留学生等から特定技能への在留資格変更時にも雇用条件書の作成・提出が必要です。技能実習からの移行が多くを占めるため、実務上極めて重要な書類です。
受入機関の変更(転職)時
特定技能外国人が転職する場合、新たな受入機関は雇用条件書を作成し、本人理解できる言語で説明・交付する必要があります。在留資格変更許可申請とともに提出します。
申請・取得の手順
- 出入国在留管理庁の公式様式「参考様式第1-6号 雇用条件書」(日本語版)をダウンロードする。
- 本人の出身国に応じた翻訳様式(英語・ベトナム語・中国語等)も準備する。
- 必須記載事項(業務内容・労働時間・賃金・社会保険・休日・休暇等)を記入する。
- 「日本人と同等以上」の報酬要件を満たすことを確認し、根拠資料を整理する。
- 本人に母国語・本人理解できる言語で内容を説明する。
- 本人の署名を取得し、写しを本人と受入機関双方で保管する。
- 在留資格申請時に出入国在留管理局へ提出する。
注意点・よくある失敗
必須記載事項の漏れ
必須記載事項は、雇用契約期間・就業場所・業務内容・始業終業時刻・休憩・所定労働時間・所定外労働の有無・休日・休暇・賃金(基本給・諸手当・割増賃金・計算方法・控除・支払方法・昇給・賞与)・退職解雇の事由・社会保険加入状況・雇入れ時健康診断・初回給与支払までの生活費支援・帰国担保措置です。記載漏れは在留資格申請の不交付理由となります。
「日本人と同等以上」の報酬要件
同一業務に従事する日本人従業員と同等以上の報酬であることが要件です。日本語能力や外国籍であることを理由とした賃金差別は禁止されます。同等の日本人がいない場合も、賃金規程・職務評価制度に基づく合理的説明が必要です。「特定技能外国人の報酬に関する説明書(参考様式第1-4号)」で根拠資料を添付します。
母国語での説明・署名取得
本人が十分に理解できる言語で内容説明をした上で署名を取得することが義務です。出入国在留管理庁の翻訳様式を活用し、必要に応じて通訳を介して説明します。形骸化した署名取得はトラブルの原因となるため、十分な時間をかけた説明が重要です。
違反時の処分
受入機関の認定基準違反となり、5年間の特定技能外国人受入停止のリスクがあります。改善命令・出入国管理上の是正指導の対象でもあり、重大な場合は登録支援機関の登録取消にも発展します。
類似書類との違い
| 項目 | 雇用条件書(特定技能) | 特定技能雇用契約書 | 労働条件通知書(一般) |
|---|---|---|---|
| 根拠 | 特定技能基準省令 | 同左 | 労基法15条 |
| 様式 | 参考様式第1-6号 | 参考様式第1-5号 | 規定なし(厚労省モデル様式あり) |
| 主な記載事項 | 労働条件の詳細 | 契約締結の合意事項 | 労働条件の明示 |
| 母国語説明 | 必須 | 必須 | 外国人雇用管理指針で推奨 |
| 違反時 | 受入機関認定取消等 | 同左 | 30万円以下の罰金 |
雇用条件書は労働条件の詳細を記載する書類、特定技能雇用契約書は契約締結の事実・合意を記載する書類で、両方を作成し本人に説明・交付するのが実務運用です。一般の労働条件通知書とは別の特定技能制度独自の様式です。
よくある質問
Q. 公式様式はどこで入手できますか?
A. 出入国在留管理庁の公式サイトから「参考様式第1-6号 雇用条件書」(日本語版+多言語翻訳様式)が無料ダウンロードできます。
英語・ベトナム語・中国語・インドネシア語・タガログ語・タイ語・ミャンマー語・クメール語・モンゴル語の翻訳様式が用意されています。本人の出身国に応じた様式を活用します。
Q. 「日本人と同等以上」をどう証明しますか?
A. 「特定技能外国人の報酬に関する説明書(参考様式第1-4号)」に同職種の日本人従業員の賃金または賃金構造基本統計調査等の公的データとの比較を記載します。
同等の日本人がいない場合も賃金規程・職務評価制度に基づく合理的説明が必要です。記載が不十分な場合は申請却下となるリスクがあります。
Q. 特定技能雇用契約書との違いは?
A. 雇用契約書は契約締結の事実・合意を記載、雇用条件書は労働条件の詳細を記載する書類です。両方を作成し本人に説明・交付します。
雇用契約書は参考様式第1-5号、雇用条件書は参考様式第1-6号です。両者を組み合わせて在留資格申請時に提出します。
Q. 育成就労でも同様の書類が必要ですか?
A. 育成就労(2027年4月施行予定)でも同等以上の報酬要件・雇用条件書の交付義務は継承される見込みです。
育成就労計画認定の前提として雇用条件書の整備が必須となります。母国語説明・署名要件は強化される方向です。