用語集 雇用・労務関連

最低賃金法さいていちんぎんほう

最低賃金法とは?

最低賃金法とは、労働者の生活の安定・労働力の質的向上・国民経済の健全な発展に寄与することを目的としています。地域別最低賃金(全労働者対象)と特定最低賃金(特定産業対象)の2種類があり、雇用形態を問わず適用されます(正社員・パート・アルバイト・有期・派遣等)。

2025年10月改定では、全国加重平均が1,121円(前年度1,055円から+66円、約6%増)と、昭和53年度の目安制度開始以来過去最高の引き上げ額となりました。全47都道府県で初めて時給1,000円超えを達成し、東京都1,226円・神奈川県1,225円・大阪府1,177円が高水準です。違反した場合は、最低賃金法第40条により50万円以下の罰金です。

外国人労働者にも国籍を問わず適用され、特定技能・育成就労では「日本人と同等以上」の報酬が在留資格の許可要件として明記されています。

制度の背景

最低賃金法は、地域別最低賃金は都道府県ごとに毎年度改定され、中央最低賃金審議会が示す目安額をもとに地方最低賃金審議会が地域の実情を踏まえて決定します。特定最低賃金は特定産業の労使からの申出に基づき、地域別最低賃金より高い水準で設定されます。

外国人労働者にも国籍を問わず適用され(労働基準法第3条で国籍による差別禁止)、特定技能・育成就労では「日本人と同等以上の報酬」要件が在留資格の許可要件として明記されています。入管申請時に同職種の日本人従業員賃金または賃金構造基本統計調査等の公的データとの比較が必要です。

主な内容と要件

① 2025年10月改定(過去最大の引き上げ)

項目内容
全国加重平均1,121円(前年度1,055円から+66円・約6%増)
引き上げ額昭和53年度の目安制度開始以来 過去最高
1,000円超え全47都道府県で初めて達成
東京都1,226円(最高額)
神奈川県1,225円
大阪府1,177円
最低額1,023円(複数県)
引き上げ幅最大熊本県(+82円)
発効日2025年10月1日から2026年3月31日までに都道府県ごと順次

2025年10月改定は過去最大の引き上げ幅となりました。受入機関は2025年10月以降の発効日を確認し、賃金体系の見直しが必要です。最早は栃木県10月1日、最遅は秋田県2026年3月31日と都道府県により発効時期が異なります。

② 違反時の罰則

項目内容
地域別最低賃金違反最低賃金法第40条 50万円以下の罰金
特定最低賃金違反労働基準法第24条違反で30万円以下の罰金
差額の支払い義務最低賃金額との差額を遡及して支払う必要
労基署の調査定期・申告調査で違反発覚

違反時は罰金に加え、最低賃金額との差額を遡及支払う必要があります。労基署の調査で違反が発覚すると是正勧告・指導の対象となります。

③ 外国人労働者への適用

項目内容
適用国籍を問わず全ての労働者に適用
根拠労働基準法第3条 国籍による差別禁止
特定技能・育成就労「日本人と同等以上」要件が許可要件
在留資格申請時同職種日本人従業員賃金との比較
特定技能の平均月給約221,400円(令和7年・厚生労働省統計)

外国人労働者にも最低賃金が適用されます。特定技能・育成就労では最低賃金以上はもちろん「日本人と同等以上」の報酬が要件です。在留資格認定証明書交付申請時に賃金台帳・雇用条件書での確認が行われます。

立場別の実務ポイント

受入機関の賃金体系見直し

2025年10月改定で全国加重平均が1,121円となったため、最低賃金近傍で雇用している労働者の賃金体系見直しが必要です。改定発効日に間に合わせた賃金改定が必須で、間に合わない場合は遡及支払いの対応が必要となります。

特定技能・育成就労の同等以上要件

特定技能・育成就労外国人には最低賃金以上はもちろん「日本人と同等以上の報酬」が在留資格の許可要件です。在留資格認定証明書交付申請時に同職種の日本人従業員賃金または賃金構造基本統計調査等の公的データとの比較が必要です。違反は受入機関の認定取消・新規受入停止のリスクがあります。

罰則の理解

地域別最低賃金違反は50万円以下の罰金で、最低賃金額との差額の遡及支払い義務も発生します。労働者からの申告・労基署の調査で違反が発覚するため、平時からの賃金管理体制整備が重要です。

特定最低賃金の確認

製造業等の特定産業では特定最低賃金が地域別最低賃金より高い水準で設定されている場合があります。受入機関は所属業種の特定最低賃金の有無を確認し、より高い方を適用する必要があります。

類似制度との比較

項目地域別最低賃金特定最低賃金同一賃金同一労働
根拠法令最低賃金法最低賃金法パート有期労働法・派遣法
対象全労働者特定産業の労働者非正規雇用の不合理な待遇格差
2025年水準全国加重平均1,121円地域別より高い水準
違反時罰則50万円以下の罰金30万円以下の罰金(労基法24条)指導・是正勧告
外国人への適用ありありあり

地域別最低賃金は全労働者を対象とした基本的な賃金下限規制、特定最低賃金は特定産業のさらに高い水準、同一賃金同一労働は雇用形態による不合理な待遇格差の禁止と、それぞれ異なる役割を担います。

よくある質問

Q. 2025年10月改定の引き上げ幅はどれくらいですか?

A. 全国加重平均で前年度1,055円から1,121円へ+66円(約6%増)の引き上げです。昭和53年度の目安制度開始以来、過去最高の引き上げ額です。

全47都道府県で初めて時給1,000円超えを達成しました。引き上げ幅最大は熊本県の+82円です。

Q. 外国人労働者にも最低賃金は適用されますか?

A. はい、国籍を問わず日本国内で就労する全ての労働者に適用されます(労働基準法第3条 国籍による差別禁止)。

特定技能・育成就労では最低賃金以上はもちろん「日本人と同等以上の報酬」が要件です。在留資格申請時に賃金水準の確認が行われます。

Q. 違反した場合はどうなりますか?

A. 地域別最低賃金違反は最低賃金法第40条により50万円以下の罰金、加えて差額の遡及支払い義務が発生します。

労基署の調査で違反が発覚すると是正勧告・指導の対象です。特定技能・育成就労では受入機関の認定取消・新規受入停止のリスクもあります。

Q. 特定最低賃金は地域別とどう違いますか?

A. 特定最低賃金は特定産業の労使からの申出に基づき設定され、地域別最低賃金より高い水準で設定されます。

製造業等の特定業種で適用される場合があります。受入機関は所属業種の特定最低賃金の有無を確認し、地域別と特定の高い方を適用する必要があります。

参考資料

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