用語集 雇用・労務関連

解雇予告かいこよこく

解雇予告とは?

解雇予告とは、使用者が労働者を解雇しようとする場合に少なくとも30日前にその予告をしなければならないことを定めた制度です。

30日前に予告をしない場合は、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりません。労働者の生活保護を目的とした重要な労働者保護規定で、違反は労働基準法第119条により6か月以下の懲役または30万円以下の罰金の刑事罰の対象となります。

予告と手当は合算が可能で、例えば10日前に予告した場合は不足する20日分の平均賃金を支払えば足ります(労基法20条2項)。

天災事変労働者の責に帰すべき事由による解雇では、労働基準監督署長の認定(解雇予告除外認定)を受けることで予告も手当も不要となります。試用期間中で入社から14日以内の者、日々雇い入れられる者等は適用除外(労基法21条)です。

外国人労働者にも国籍を問わず適用されるため、解雇時には30日前予告または予告手当の支払いが必須です。

具体的な意味・内容

30日予告と予告手当

解雇予告には3つのパターンがあります。30日以上前の予告のみ(手当不要)、予告なしの即時解雇(30日分以上の平均賃金支払い)、予告と手当の合算(例:10日前予告+20日分手当)の3形態です。

労基法20条2項に基づき、予告日数1日につき手当が1日分減る計算になります。

予告除外事由(労基法20条1項但書)

労働基準監督署長の認定(解雇予告除外認定)を受けることで、予告も手当も不要となる事由が2つあります。

天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合
労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合(重大な経歴詐称・業務命令違反・横領・傷害等の犯罪行為)

事前の労基署長認定が必須で、企業の判断のみでは予告除外は認められません。

適用除外(労基法21条)

以下の労働者は解雇予告制度の適用対象外です。

日々雇い入れられる者(1か月超継続使用で適用)
2か月以内の期間を定めて使用される者(所定期間超で適用)
季節的業務に4か月以内の期間で使用される者(同上)
試用期間中の者で入社から14日以内(14日超で適用)

これらの労働者は解雇予告なしで解雇できますが、所定期間を超えると適用対象となります。

平均賃金の算定(労基法12条)

解雇予告手当の計算基礎となる平均賃金は、原則として算定事由発生日以前3か月間に支払われた賃金総額÷その期間の総日数(暦日)で計算します。日給・時給・出来高払制の労働者は、3か月の賃金総額÷実労働日数×60%を最低保障額とし、原則計算結果と最低保障額を比較していずれか高い方を採用します。賃金総額には通勤手当を含みますが、臨時に支払われた賃金・賞与(3か月超ごと)は除きます。

関連する法律・罰則

項目内容
根拠法令労働基準法第20条(解雇予告)/第21条(適用除外)/第12条(平均賃金)
所管省庁厚生労働省(労働基準監督署)
予告期間少なくとも30日前
予告手当30日分以上の平均賃金
合算ルール予告日数+手当日数=30日以上で可
予告除外事由①天災事変等 ②労働者の責に帰すべき事由(労基署長認定要)
適用除外日雇/2か月以内有期/季節的業務4か月以内/試用14日以内
違反時罰則労基法119条 6か月以下の懲役または30万円以下の罰金
外国人への適用国籍不問(日本人と同様)
外国人雇用状況届出離職時に14日以内にハローワーク提出(雇用対策法28条)

実務上の注意点

解雇権濫用法理との関係

労基法20条の解雇予告は手続的要件で、これを満たしても労働契約法16条の解雇権濫用法理(客観的合理性・社会的相当性)を充足しなければ解雇は無効となります。予告手当の支払いだけでは解雇の実体的有効性は確保されない点に留意が必要です。整理解雇の場合は4要件(人員削減の必要性・解雇回避努力・人選の合理性・手続の妥当性)の充足が必要です。

予告除外認定の手続き

天災事変・労働者責に帰すべき事由による予告除外は、事前に労働基準監督署長の認定を受ける必要があります。企業判断のみで予告手当を支払わない取扱いは違反となります。認定申請は管轄の労基署に「解雇予告除外認定申請書」を提出する形で行います。

外国人労働者への配慮

外国人にも国籍を問わず労基法は全面適用されるため、30日前予告または予告手当の支払いが必要です。在留資格との連動として、解雇により在留資格該当性を失う場合、外国人本人は就労資格・身分系資格の活動を停止する必要があります。

受入企業はハローワークへの「外国人雇用状況届出」(離職)を14日以内に提出する義務があります(雇用対策法28条)。

特定技能・育成就労での追加責任

特定技能・技能実習・育成就労では、受入機関の都合(経営不振等)による解雇は転籍支援・帰国費用負担等の追加責任が発生します。

特定技能では「過去1年以内の非自発的離職」発生で新規受入1年間禁止のペナルティもあります。母国語による解雇理由の書面交付・通訳の手配等、十分な配慮が望まれます。

関連用語との違い

項目解雇予告解雇権濫用法理整理解雇4要件
根拠法令労基法20条労契法16条判例法理
性質手続的要件実体的要件整理解雇の有効性判断
対象すべての解雇すべての解雇整理解雇のみ
違反時の効果30万円以下罰金解雇無効整理解雇無効
除外可能性労基署長認定で除外可除外なし

解雇には手続的要件(解雇予告)と実体的要件(解雇権濫用法理・整理解雇4要件)の両方を充足する必要があります。予告手当を支払えば自由に解雇できるわけではなく、客観的合理性・社会的相当性が認められない解雇は無効となります。両要件の確認が解雇実施時の必須プロセスです。

よくある質問

Q. 30日に満たない予告は無効ですか?

A. 予告日数と手当日数の合算ルールにより、不足分の手当を支払えば有効です。例えば10日前予告なら不足20日分の手当で足ります。

予告日数1日につき手当が1日分減る計算です。即日解雇でも30日分以上の予告手当を支払えば手続的要件は充足します。

Q. 試用期間中なら自由に解雇できますか?

A. 入社から14日以内であれば解雇予告制度の適用除外で予告・手当ともに不要です。14日を超えると適用対象となります。

ただし、解雇予告制度の適用除外は手続的要件のみで、解雇権濫用法理(労契法16条)は適用されます。本採用拒否の自由は比較的広く認められますが、客観的合理性は必要です。

Q. 「労働者の責に帰すべき事由」とは具体的に何ですか?

A. 重大な経歴詐称、重大な業務命令違反、横領・傷害等の犯罪行為等が該当します。労働基準監督署長の認定が必要です。

軽微な勤務態度不良・能力不足では認定されません。事前に労基署に「解雇予告除外認定申請書」を提出して認定を得る手続きが必要です。

Q. 外国人を解雇する場合に追加の手続きはありますか?

A. 雇用対策法28条に基づく「外国人雇用状況届出(離職)」を14日以内にハローワークへ提出する義務があります。

特定技能・技能実習・育成就労では出入国在留管理庁・育成就労機構への届出も必要です。母国語による解雇理由の書面交付・通訳の手配等、十分な配慮が求められます。

参考資料

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