用語集 行政機関

外務省がいむしょう

外務省とは?

外務省(Ministry of Foreign Affairs of Japan、略称MOFA)は、外交政策の企画立案・実施、条約・国際協定の締結交渉、在外邦人保護、ビザ(査証)の発給などを所管する日本の中央行政機関です。

海外の日本大使館・領事館を通じた査証発給、EPA(経済連携協定)に基づく外国人看護師・介護福祉士の受入れ、特定技能の二国間取決め(MOC)の締結など、入国前段階における重要な役割を担っています。

受入企業にとって外務省は「在留資格認定証明書(COE)が交付された後、外国人本人が母国でビザを取得する窓口」として接点を持つことが多い機関です。

本国側の手続きを左右する立場にあるため、特定技能・育成就労・技能実習いずれの受入れにおいても、外務省の発信する査証情報・送出国情報を確認しておくことが実務上欠かせません。

外務省の主な業務・役割

在外公館を通じた査証(ビザ)発給

世界各地の日本大使館・総領事館がビザを発給します。在留資格認定証明書(COE)を持つ外国人は、本国の在外公館でビザ申請を行い、許可されて初めて来日できます。外務省は査証発給の基準・運用を統括し、不法滞在歴・偽造書類などのリスクを審査します。

EPA(経済連携協定)に基づく人材受入れ

インドネシア・フィリピン・ベトナムとのEPAに基づき、看護師・介護福祉士候補者の受入れを所管しています。2026年度の受入予定数は看護師候補者1,738名、介護福祉士候補者8,265名と過去最大規模に拡大し、外務省・厚生労働省・JICWELS(国際厚生事業団)の連携で運用されています。

特定技能・育成就労の二国間取決め(MOC)

特定技能制度では送出国との二国間取決め(協力覚書/MOC)が締結されており、2026年4月時点で14か国とMOC締結済みです。外務省は法務省・出入国在留管理庁とともに送出国政府との交渉窓口を担い、悪質ブローカー排除や送出手続きの透明化を進めています。

在外邦人保護と海外安全情報

外国人雇用と直接の関係は薄いものの、技術指導員などを送出国に派遣する企業にとっては、外務省「たびレジ」や海外安全情報の活用が安全管理の前提となります。災害・テロ・感染症情報を継続的に把握する仕組みを整えておくと、駐在員管理リスクの低減に役立ちます。

外交政策・国際協力の総合調整

ODA(政府開発援助)や国際機関への拠出、多文化共生政策の対外発信などを通じて、日本の労働力受入政策を国際社会に説明する役割も担っています。JICAやJETROなど関係機関の対外活動とも密接に連携しています。

外務省が関与する場面・主な接点

場面外務省の役割
査証(ビザ)申請在外公館にてCOE保持者の査証審査・発給。短期滞在は査証免除国を除き個別審査
EPA人材の受入協定運用の所管。送出国政府との協議窓口
特定技能MOC交渉14か国(2026年4月時点)と二国間取決めを締結済
査証免除制度2026年現在、約70の国・地域に短期滞在査証免除を実施
在留邦人・企業支援「たびレジ」「在留届」運用、海外安全情報の発信
領事サービスパスポート、各種証明書(在留証明・出生証明等)の発行

受入企業が外務省と直接やり取りする機会は多くありませんが、外国人本人がビザ申請で在外公館を訪れるタイミングで実質的な接点が生じます。COE発行後にビザが下りないと来日できないため、申請書類の不備や経歴詐称疑義などが見つからないよう、送出機関・受入企業側で事前確認を徹底することが重要です。

外務省の情報を受入実務で活用するメリット・ポイント

送出国別の最新査証情報を把握できる

外務省ウェブサイトでは国別の査証手続き・必要書類・所要日数が公開されています。技能実習や育成就労で複数の送出国を活用する企業は、ここで国別の所要期間を把握しておくと、入国スケジュールの精度が向上します。

EPA・MOC締結状況を踏まえた採用戦略

EPA人材は外務省・JICWELSのスキームを通じてのみ受入可能で、一般の特定技能とは別ルートになります。介護・看護分野の採用を検討する企業は、EPAと特定技能・育成就労の併用可否を外務省・厚労省情報で確認することが重要です。

海外赴任・出張のリスク管理

外国人技能実習生・育成就労外国人の母国への帰国手配や、日本人指導員の現地派遣の際、外務省「たびレジ」登録、海外安全情報チェックを業務プロセスに組み込むと、危機管理の質が向上します。

他の関連機関との違い

項目外務省出入国在留管理庁厚生労働省
所管法外務省設置法入管法労働基準法・職業安定法ほか
外国人施策の役割査証発給・送出国との交渉在留資格審査・在留管理労働条件・社会保険・職業紹介
主な接点機関大使館・領事館(在外公館)地方出入国在留管理局労働基準監督署・ハローワーク
外国人雇用での主接点本人の本国側ビザ取得COE申請・在留更新外国人雇用状況届出・労務監督

外務省は「日本国外での日本国の窓口」、出入国在留管理庁は「日本国内での出入国・在留管理」、厚生労働省は「労働者保護と雇用管理」と役割が明確に分かれています。

受入企業の実務では、出入国在留管理庁・厚生労働省と接する機会が圧倒的に多く、外務省との直接的なやり取りは限定的ですが、入国可否を左右する査証審査の主体は外務省であることを忘れてはなりません。

よくある質問(FAQ)

Q. COEが交付されればビザは必ず下りますか?

A. 原則として下りますが、必ずではありません。COE(在留資格認定証明書)は出入国在留管理庁が在留資格該当性を認めた書面ですが、ビザの発給は外務省(在外公館)の独自審査です。

過去の不法滞在歴、書類不備、面接時の挙動などにより、稀にビザが下りない事例があります。COEには有効期間(通常3か月)があり、その間に査証取得・入国まで完了しないと失効するため、本人と密に連絡を取り進捗を管理することが重要です。

Q. 特定技能と育成就労のMOC(二国間取決め)は同じものですか?

A. 別個に締結されます。2027年4月に育成就労制度が施行されるのに合わせ、外務省・出入国在留管理庁・厚生労働省は送出国と新たに育成就労用のMOCを順次締結する予定です。

特定技能のMOCはすでに14か国と締結済みですが、育成就労については2026年から本格的な交渉が進められており、企業側は送出国別の動向をウォッチしておくことが採用戦略上重要です。

Q. EPA人材と特定技能はどう違いますか?

A. EPAは外務省所管の経済連携協定に基づく特殊な人材受入スキームで、看護師・介護福祉士の国家資格取得が前提です。受入窓口はJICWELS(国際厚生事業団)に一本化されています。

一方、特定技能は出入国在留管理庁所管の一般的な労働受入制度で、登録支援機関や民間人材紹介会社経由で広く受入れが可能です。介護分野ではEPAと特定技能の両方が並走しており、企業はどちらのスキームが自社に適するか比較検討が必要です。

Q. 大使館にビザの所要日数を聞いてもよいですか?

A. 国・公館ごとに目安が公表されているケースが多く、外務省・各在外公館のウェブサイトで確認できます。一般的に通常案件は5営業日程度ですが、追加照会が入ると数週間〜数か月かかることがあります。

大量採用や年度初めなど混雑期は更に時間がかかるため、受入企業は採用スケジュールにバッファを必ず設けるべきです。送出機関を経由する場合は送出機関に最新情報を問い合わせると効率的です。

Q. 外務省に直接相談できる窓口はありますか?

A. 外務省領事局・外国人課が査証関係を所管していますが、企業からの個別案件相談は基本的に受け付けていません。査証案件は在外公館への問い合わせが原則です。

制度全般については外務省ウェブサイトのFAQや、外国人在留総合インフォメーションセンター(出入国在留管理庁所管)が窓口を兼ねています。複合的な相談はFRESC(外国人在留支援センター)に集約されている機関を活用するのが実務的です。

参考資料

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