経済連携協定(EPA)とは?
経済連携協定(EPA:Economic Partnership Agreement)とは、関税撤廃・サービス貿易自由化に加え、人の移動・投資・政府調達等を含む幅広い経済関係の強化を目指す国際協定です。
日本は2002年のシンガポールEPAを最初に締結し、現在は二国間および多国間(CPTPP・RCEP・日EU-EPA等)合わせて多数のEPAを発効しています。2025年12月22日に日・バングラデシュEPA大筋合意、2026年2月6日に署名と新たな進展もあります。
外国人材分野で特に重要なのが看護師・介護福祉士候補者の受入です。インドネシア(2008年度)・フィリピン(2009年度)・ベトナム(2014年度)から在留資格「特定活動(EPA看護師候補者/EPA介護福祉士候補者)」で受入が行われています。受入調整機関は公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)(唯一の機関)です。
受入数枠は各国看護師最大200名・介護福祉士最大300名で、2025年の国家試験合格者は合計180名(看護師30名・介護福祉士150名)でした。
制度の背景
EPAは二国間の合意に基づく国際協定で、関税撤廃・サービス貿易自由化・投資自由化等の経済関係強化と人的交流の促進を目的とします。
日本は2002年のシンガポールEPAを最初に締結し、米国・EU・ASEAN諸国・南米諸国等と協定を拡大してきました。多国間協定としてはCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)・RCEP(地域的な包括的経済連携)・日EU-EPAが発効済みです。
外国人材分野では、2008年からインドネシア・フィリピン・ベトナムとのEPAに基づく看護師・介護福祉士候補者の受入が行われており、所管は厚生労働省(外務省と連携)、受入調整は公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)が一元的に担います。
在留資格は「特定活動(EPA)」で、看護師は3年(更新可、最長4年)、介護福祉士は4年(国家試験合格まで研修・就労)の在留が認められます。
主な内容と要件
① EPA看護師・介護福祉士候補者の受入
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受入国 | インドネシア(2008年〜)/フィリピン(2009年〜)/ベトナム(2014年〜) |
| 在留資格 | 特定活動(EPA看護師候補者/EPA介護福祉士候補者) |
| 受入調整機関 | 公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)(唯一の機関) |
| 受入数枠 | 各国 看護師最大200名/介護福祉士最大300名 |
| 看護師の在留期間 | 3年(更新可、最長4年) |
| 介護福祉士の在留期間 | 4年(国家試験合格まで研修・就労) |
EPA候補者は来日後、日本語研修と医療・介護現場での研修・就労を経て、滞在中に日本の国家試験合格を目指します。合格後は「医療」「介護」の在留資格に変更し、長期就労が可能です。
② 2025年国家試験結果
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 2025年合格者合計 | 180名(看護師30名・介護福祉士150名) |
| 2023年合格率 | 看護師前年比+10.5ポイント/介護福祉士+28.5ポイント(過去最高) |
| 合格水準 | 日本人受験者と同等の難易度 |
| 不合格時の対応 | 1年延長受験/特定技能への在留資格変更可能 |
国家試験の合格率は徐々に向上していますが、日本語能力・専門知識の両方が問われるため依然として高いハードルです。不合格者は1年延長受験または特定技能「介護」への在留資格変更が選択肢となります。
③ 特定技能制度との違い
| 項目 | EPA介護福祉士 | 特定技能「介護」 | 在留資格「介護」 |
|---|---|---|---|
| 対象国 | インドネシア・フィリピン・ベトナム3か国 | 出身国制限なし | 出身国制限なし |
| 受入調整 | JICWELS一元 | 登録支援機関等 | 受入機関 |
| 国家試験 | 必須(滞在中合格) | 不要(試験合格で取得) | 必須(取得後在留資格) |
| 在留期間 | 4年(国試合格まで) | 5年 | 無制限 |
EPA介護福祉士は対象がインドネシア・フィリピン・ベトナムの3か国のみに限定されます。在留資格「介護」は出身国制限なし、特定技能「介護」も別制度として並行運用されており、EPA候補者で不合格の者が特定技能に在留資格を変更するルートも実務的に活用されています。
立場別の実務ポイント
受入機関の活用方法
医療機関・介護施設はJICWELS経由でEPA候補者を受け入れることができます。2026年度来日候補者の受入機関募集がJICWELSにより2025年1月時点で実施されており、2025年3月7日に受入れ説明会も開催されました。受入準備には1年以上の期間を要するため、計画的な人材確保戦略が必要です。
国家試験対策の支援
EPA候補者の最大の課題は国家試験合格です。受入機関は日本語学習支援・専門知識の指導・模試対策等の継続的な支援が必要です。合格率向上のため、JICWELSや業界団体の研修プログラムを活用することが推奨されます。
特定技能との連動
EPA候補者で不合格となった者は特定技能「介護」への在留資格変更が可能です。長期的な人材確保戦略として、EPA→特定技能→在留資格「介護」のキャリアパスを設計することが効果的です。
2026年最新動向
2025年12月22日に日・バングラデシュEPA大筋合意、2026年2月6日に署名と、EPA網のさらなる拡大が進んでいます。今後のEPA締結により、新たな人材供給国が加わる可能性があります。受入機関はEPAの最新動向を継続的に確認することが重要です。
類似制度との比較
| 項目 | EPA(看護・介護) | 特定技能 | 技能実習(廃止予定) |
|---|---|---|---|
| 根拠 | 二国間EPA・国際協定 | 入管法 | 技能実習法 |
| 対象国 | インドネシア・フィリピン・ベトナム | 主要送出国(MOC国) | 主要送出国 |
| 主目的 | 人的交流・経済連携 | 人材確保 | 国際貢献・技能移転 |
| 受入調整 | JICWELS一元 | 登録支援機関 | 監理団体 |
| 国家試験 | 必須 | 不要(試験合格で取得) | - |
EPA・特定技能・技能実習はそれぞれ目的・根拠法令・受入調整機関が異なる別の制度です。看護・介護分野ではEPAと特定技能の使い分けが重要で、受入機関は本人の出身国・キャリア志向に応じた制度選択が必要です。
よくある質問
Q. EPAでどんな分野の人材を受け入れられますか?
A. 看護師・介護福祉士候補者の受入が中心です。インドネシア・フィリピン・ベトナム3か国からの受入が可能です。
受入調整機関は公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)の一元体制です。各国看護師最大200名・介護福祉士最大300名の受入枠があります。
Q. 国家試験合格率はどれくらいですか?
A. 2025年合格者は合計180名(看護師30名・介護福祉士150名)でした。2023年合格率は過去最高水準(看護師前年比+10.5ポイント・介護福祉士+28.5ポイント)でした。
日本語能力・専門知識の両方が問われるため依然として高いハードルです。不合格者は1年延長受験または特定技能への在留資格変更が選択肢です。
Q. EPAと特定技能はどう違いますか?
A. EPAは対象国が3か国に限定され国家試験合格が必須、特定技能は出身国制限なしで試験合格で取得します。
EPA候補者で不合格となった者が特定技能「介護」に在留資格変更するケースも実務的に活用されています。長期的なキャリアパスとして組み合わせが可能です。
Q. 受入機関はどう参加できますか?
A. 公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)の受入機関募集に応募します。年度ごとに募集があり、説明会も開催されます。
2026年度来日候補者の受入機関募集は2025年1月時点で実施され、2025年3月7日に説明会も開催されました。受入準備には1年以上の期間を要します。