用語集 多文化共生・社会統合

災害時多言語支援さいがいじたげんごしえん

災害時多言語支援とは?

災害時多言語支援とは、災害発生時に日本語が十分でない外国人住民・旅行者に対し、被害状況・避難情報・生活再建情報などを多言語およびやさしい日本語で提供し、必要に応じて通訳ボランティアの派遣や相談対応を行う活動を指します。

中核となる仕組みが「災害時多言語支援センター」で、都道府県・市町村が国際交流協会と連携して災害発生時に立ち上げ、被災地と外国人住民の橋渡しを担います。

1995年阪神・淡路大震災を契機に必要性が認識され、CLAIR(自治体国際化協会)が2009年「災害多言語支援センター設置運営マニュアル」、2018年「災害時の多言語支援のための手引き2018」を策定しました。2025年8月29日にCLAIRが「防災・減災のための多言語支援の手引き2023」ver2.0を公開済で、災害多言語支援センター設置運営事例の追加が主な改定内容です。

育成就労制度(2027年4月1日施行予定)施行で地域参画する外国人労働者が増加することが見込まれ、災害時の情報格差解消は喫緊の課題となっています。

災害時多言語支援の主な内容

災害時多言語支援センター

災害時多言語支援センターは、都道府県・市町村が国際交流協会と連携して災害発生時に立ち上げる中核的な仕組みです。被災地と外国人住民の橋渡しを担い、多言語情報の集約・発信、通訳ボランティアの派遣、相談対応などを統合的に行います。

多言語情報の提供

被害状況・避難情報・生活再建情報などを多言語およびやさしい日本語で提供します。命に関わる緊急情報を、母語または平易な日本語で確実に伝える仕組みです。

通訳ボランティアの派遣

必要に応じて通訳ボランティアの派遣を行います。避難所での通訳、医療機関での通訳、行政手続きでの通訳など、現場での言語サポートを提供します。

SNSによる情報発信

近年は災害時情報のSNS発信が重要な手段となっています。LINE・Facebook・X(旧Twitter)などで多言語の災害情報を迅速に拡散し、スマートフォンを通じて外国人住民にリアルタイム情報を届けます。

基本情報と最新動向

項目内容
制度的根拠総務省「地域における多文化共生推進プラン」(2020年改訂済)
主要な担い手都道府県・市町村・国際交流協会・CLAIR
歴史的契機1995年阪神・淡路大震災
CLAIR策定2009年「災害多言語支援センター設置運営マニュアル」、2018年「災害時の多言語支援のための手引き2018」
2025年8月29日CLAIR「防災・減災のための多言語支援の手引き2023」ver2.0公開済
2024年能登半島地震石川県災害多言語支援センター設置(2024年1月2日〜3月31日)、7言語+翻訳機31言語対応
和歌山県発災後12時間以内のセンター設置体制を整備
愛知県県と(公財)愛知県国際交流協会が共同運営、市町村からの要請に応じて翻訳・通訳派遣
多言語表示シート最大10言語表示・Word出力機能追加

CLAIRの「災害時多言語表示シート」は最大10言語表示・Word出力機能が追加されており、自治体がカスタマイズして活用できます。地域固有の災害情報・避難所情報の多言語化が可能で、平時からの準備に活用できます。

最新動向と各地の取り組み

2025年8月CLAIR手引き2023 ver2.0公開

CLAIRは2025年8月29日に「防災・減災のための多言語支援の手引き2023」ver2.0を公開済です。災害多言語支援センター設置運営事例の追加が主な改定内容で、構成は第1章「災害時の外国人支援」、第2章「平時の備え」、第3章「災害発生時の取り組み(センター設置運営含む)」となっています。

和歌山県の12時間以内設置体制

和歌山県では発災後12時間以内のセンター設置体制を整備しています。迅速な災害時多言語支援の立ち上げを実現する先進的な取り組みです。

愛知県の共同運営モデル

愛知県は県と(公財)愛知県国際交流協会が共同運営しており、市町村からの要請に応じて翻訳・通訳派遣を行います。広域的な災害対応の連携モデルとして注目されています。

2024年能登半島地震の対応

2024年の能登半島地震では石川県災害多言語支援センターが2024年1月2日〜3月31日に運営され、7言語+翻訳機による31言語対応が実施されました(実施済)。民間ではBRIDGE MULTILINGUAL SOLUTIONS社による24時間無料電話通訳も提供されました。

受入企業との関係

災害時の労働者安否確認

受入企業は災害時の労働者の安否確認手段の整備が必要です。地域の災害時多言語支援センターと連携することで、迅速な安否確認・避難支援が可能となります。

監理支援機関の被災時支援義務

育成就労施行(2027年4月1日施行予定)で、監理支援機関は被災時の支援義務を負います。監理支援機関の許可申請受付は2026年4月15日開始済で、災害時対応も含めた包括的な支援体制構築が進行中です。

平時からの顔の見える関係構築

自治体・国際交流協会は平時から訓練を通じて顔の見える関係を構築することが重要です。受入企業も社員の地域防災訓練への参加、国際交流協会との連携構築を、災害時の支援基盤として整備することが推奨されます。

情報格差解消への貢献

育成就労施行で地域コミュニティに参画する外国人労働者が増加することが見込まれ、災害時の情報格差解消は喫緊の課題です。受入企業は社員への災害時多言語支援センターの周知、社内多言語マニュアルの整備で貢献できます。

よくある質問(FAQ)

Q. 災害時多言語支援センターはいつ設置されますか?

A. 災害発生時に都道府県・市町村が国際交流協会と連携して立ち上げます。和歌山県では発災後12時間以内のセンター設置体制を整備するなど、自治体ごとに体制が異なります。

2024年能登半島地震では、石川県が2024年1月2日〜3月31日に設置し、7言語+翻訳機による31言語対応を実施しました。

Q. どんな支援が受けられますか?

A. 被害状況・避難情報・生活再建情報の多言語提供、通訳ボランティア派遣、相談対応、SNSによる情報発信などが受けられます。多言語およびやさしい日本語による包括的な災害情報支援です。

多言語表示シート・指さしボードなどの平時から整備されたツールも、災害時の意思疎通に活用されます。

Q. CLAIRの「手引き2023」ver2.0の特徴は?

A. 2025年8月29日に公開済の「防災・減災のための多言語支援の手引き2023」ver2.0は、第1章「災害時の外国人支援」、第2章「平時の備え」、第3章「災害発生時の取り組み(センター設置運営含む)」の3章構成です。

能登半島地震の教訓を反映した災害多言語支援センター設置運営事例の追加が主な改定内容で、全国の自治体・国際交流協会の実践ガイドとして活用されています。

Q. 受入企業はどう関わるべきですか?

A. 災害時の労働者安否確認体制の整備、社員への災害時多言語支援センターの周知、地域防災訓練への社員参加促進、社内多言語マニュアルの整備などが効果的です。

育成就労施行(2027年4月予定)に向けて、監理支援機関と連携した災害時対応体制の構築が経営課題となります。

Q. 育成就労施行で災害時多言語支援はどう変わりますか?

A. 育成就労制度(2027年4月1日施行予定)に伴い、地域コミュニティに参画する外国人労働者が増加することが見込まれ、災害時の情報格差解消は喫緊の課題となります。

受入企業・監理支援機関・自治体・国際交流協会の連携体制が一段と重要となり、平時からの顔の見える関係構築が成功の鍵となります。

参考資料

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