国際移住機関(IOM)とは?
国際移住機関(International Organization for Migration、略称:IOM)は、人の移住・移民に関する課題を包括的に扱う国連関連機関です。
1951年に欧州移住政府間委員会として設立され、本部はスイス・ジュネーブにあります。加盟国は174か国、世界170か国以上で約2万人の職員が活動しており、国際移住政策の中心的機関として機能しています。駐日事務所(IOM Japan)は1981年に開設され、東京に所在しています。
2016年9月に国連総会で「国連関連機関」(Related Organization)としての地位を取得し、国際移住政策の中心的機関となりました。日本は1993年に加盟しており「公正で倫理的な人材獲得(Fair and Ethical Recruitment)」の国際基準を提唱し、送出国(ベトナム・インドネシア・カンボジア等)と受入国(日本)の双方に介入。
育成就労制度(2027年4月1日施行予定)に対しても、技能実習制度時代の人権侵害の反省を踏まえた制度設計を提言しています。
IOMの主な活動分野
移住労働者の権利保護
世界各国で移住労働者の権利保護を推進しています。「公正で倫理的な人材獲得(Fair and Ethical Recruitment)」の国際基準を提唱し、送出国と受入国の双方に介入することで、悪質ブローカー・違法手数料・契約条件詐取などの排除を進めています。
帰国支援・人身取引対策
困難な状況にある移住労働者の自発的帰国支援や、人身取引対策を世界的に展開しています。IOM駐日事務所も、インドシナ難民の米加定住支援を起点に、近年は移住労働者保護・人身取引対策などに業務を拡大しています。
Skills Mobility Partnerships(SMP)
IOMは「Skills Mobility Partnerships」(SMP)の枠組みを推進しています。送出国・受入国・労働者の3者の利益を調整する国際的な枠組みで、技能形成と労働移動を統合的に支援するモデルです。
調査研究・政策提言
世界の移住動向に関する調査研究・政策提言を継続的に発信しています。「世界移住報告書」など主要な国際報告書を発行し、各国政府・国際機関・企業の移住政策の指針となっています。
IOMの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称(英) | International Organization for Migration(IOM) |
| 日本語名 | 国際移住機関 |
| 設立 | 1951年(欧州移住政府間委員会として) |
| 本部 | スイス・ジュネーブ |
| 加盟国 | 174か国 |
| 職員数 | 世界170か国以上で約2万人 |
| 日本加盟 | 1993年 |
| IOM駐日事務所開設 | 1981年(東京) |
| 国連関連機関化 | 2016年9月(国連総会で地位取得) |
| 主な提唱 | 公正で倫理的な人材獲得(Fair and Ethical Recruitment) |
| 主な枠組 | Skills Mobility Partnerships(SMP) |
IOMは国連関連機関として、移住政策の国際標準を策定する権威ある機関です。日本も加盟国として政策連携を進めており、特定技能・育成就労制度の設計にもIOMの国際基準が反映されています。
最新動向(2024-2026年)
2025年8月IOM・JP-MIRAI覚書締結
2025年8月7日、IOMと一般社団法人JP-MIRAI(責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム)が覚書(MOU)を締結済です。「外国人労働者のエンパワーメントと公正で倫理的なリクルートの促進」「多様なステークホルダーの学び合いと市民参加」「共同調査研究」が協力分野となっています。
日本企業との連携プロジェクト
ファーストリテイリングなど日本企業との連携プロジェクトも進行中です。グローバル企業のサプライチェーンにおける移住労働者の人権配慮の支援を、IOMが提供しています。
2026年2月キャリアセミナー開催
2026年2月にもキャリアセミナーを開催するなど、人材育成にも注力しています。国際機関でのキャリアを志す日本人向けの情報発信・採用機会提供を継続しています。
育成就労施行への提言
育成就労制度(2027年4月1日施行予定、監理支援機関許可申請は2026年4月15日開始済)に対しても、技能実習制度時代の人権侵害の反省を踏まえた制度設計を提言しています。受入企業は、IOMが公表する「雇用主向け 移住労働者ガイドライン」を参照することで、国際基準に沿った受入れ体制の構築が可能となります。
受入企業との関係
「雇用主向け移住労働者ガイドライン」の活用
IOMが公表する「雇用主向け 移住労働者ガイドライン」は、外国人材を雇用する日本企業の参考資料として活用できます。公正で倫理的な人材獲得の国際基準に沿った受入れ体制の構築指針となります。
サプライチェーン人権配慮
グローバル企業はサプライチェーンにおける移住労働者の人権配慮が経営課題となっています。IOMとの連携プロジェクトを通じて、国際基準に沿った人権配慮を実装できます。
JP-MIRAIとの連携
2025年8月のIOM・JP-MIRAI MOU締結により、JP-MIRAI加盟企業はIOMの国際的知見を活用しやすくなりました。JP-MIRAIアシスト(多言語相談窓口)と組み合わせた包括的な労働者保護体制を構築できます。
悪質ブローカー排除
IOMの「公正で倫理的な人材獲得」の国際基準は、送出国の悪質ブローカー排除に貢献しています。受入企業は、IOM基準に準拠した送出機関の選定で、コンプライアンスリスクを大幅に低減できます。
よくある質問(FAQ)
Q. IOMとはどんな機関ですか?
A. 国際移住機関(International Organization for Migration)の略称で、1951年設立の国連関連機関です。本部はスイス・ジュネーブ、加盟国は174か国、世界170か国以上で約2万人の職員が移住・移民問題に取り組んでいます。
日本は1993年に加盟、IOM駐日事務所は1981年に東京で開設されています。2016年9月に国連関連機関化され、国際移住政策の中心的機関となりました。
Q. 「公正で倫理的な人材獲得」とは?
A. IOMが提唱する国際基準で、Fair and Ethical Recruitmentの原則です。労働者からの違法手数料徴収禁止、契約条件の透明化、公正な労働条件の確保、悪質ブローカー排除などを通じて、移住労働者の人権を保護する枠組みです。
送出国と受入国の双方が遵守する国際標準として、特定技能・育成就労制度の設計にも影響を与えています。受入企業はこの基準に沿った送出機関選定が推奨されます。
Q. IOMと受入企業の接点は?
A. 「雇用主向け 移住労働者ガイドライン」の参照、JP-MIRAIを通じた連携、グローバル企業のサプライチェーン人権配慮、悪質ブローカー排除の取り組みなどが接点となります。
2025年8月のIOM・JP-MIRAI MOU締結により、JP-MIRAI加盟企業はIOMの国際的知見を活用しやすくなりました。育成就労施行に向けて、コンプライアンス重視の企業にとって重要なリソースです。
Q. Skills Mobility Partnerships(SMP)とは?
A. IOMが推進する国際的枠組で、送出国・受入国・労働者の3者の利益を調整するモデルです。技能形成と労働移動を統合的に支援することで、移住労働者のキャリア形成と送出国への技能還元を両立する設計です。
育成就労制度の理念とも親和性が高く、国際基準に沿った人材育成・受入の参考モデルとなります。
Q. 育成就労施行でIOMの役割は?
A. 育成就労制度(2027年4月1日施行予定)に対して、技能実習制度時代の人権侵害の反省を踏まえた制度設計を提言しています。「公正で倫理的な人材獲得」の国際基準への準拠が、育成就労の信頼性向上の鍵となります。
受入企業はIOMの「雇用主向け 移住労働者ガイドライン」を参照し、国際基準に沿った受入れ体制を構築することで、グローバル基準のコンプライアンスを実現できます。
参考資料
- [1] IOM駐日事務所 公式サイト
- [2] 国連IOM駐日事務所紹介
- [3] IOM「雇用主向け移住労働者ガイドライン」
- [4] JP-MIRAI(責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム)
- [5] 出入国在留管理庁「特定技能制度」