用語集 多文化共生・社会統合

外国人住民の防災対応がいこくじんじゅうみんのぼうさいたいおう

外国人住民の防災対応とは?

外国人住民の防災対応とは、日本語が不自由な外国人住民が地震・水害等の災害時に必要な情報を入手し、適切な避難行動をとれるよう、平時から自治体・国際交流協会・地域コミュニティが整備する一連の取り組みのことです。

具体的には、多言語ハザードマップの作成、やさしい日本語による防災情報の発信、災害時多言語支援センターの設置運営、外国人を対象とした防災訓練の実施、ピクトグラムを活用した避難所表示などを含みます。

総務省「地域における多文化共生推進プラン」(2006年策定、2020年改訂)で、1995年阪神・淡路大震災での教訓を受けて多言語支援の必要性が認識され、2011年東日本大震災、2016年熊本地震、2024年能登半島地震を経て体系化が進みました。

育成就労制度(2027年4月1日施行予定)施行で外国人労働者の地域参画が増えるため、防災対応の充実が一段と重要となっています。

外国人住民の防災対応の主な要素

多言語ハザードマップ

自治体は多言語ハザードマップを作成・配布しています。地震・水害・土砂災害などのリスク情報を母語で確認でき、平時からの備えと災害時の適切な避難判断を支援します。

やさしい日本語による防災情報

やさしい日本語による防災情報の発信が進められています。基本的な日本語能力(JLPT N5〜N4相当)の外国人住民でも理解できる言語表現で、命に関わる情報を伝える仕組みです。

災害時多言語支援センター

自治体・国際交流協会が連携して災害時多言語支援センターを設置運営します。災害発生時に立ち上げられ、被災地と外国人住民の橋渡しを担う重要な仕組みです。

外国人を対象とした防災訓練

外国人を対象とした防災訓練を自治体・国際交流協会が実施しています。日本の災害特性・避難行動・避難所運営ルールなどを実地で学ぶ機会を提供し、平時からの備えを促します。

基本情報と最新動向

項目内容
制度的根拠総務省「地域における多文化共生推進プラン」(2006年策定・2020年改訂済)
主要な担い手自治体・国際交流協会・地域コミュニティ
歴史的背景1995年阪神・淡路大震災、2011年東日本大震災、2016年熊本地震、2024年能登半島地震
内閣府資料「外国人のための減災のポイント」(やさしい日本語+多言語QRコード15言語)
CLAIR提供災害多言語支援センター設置運営マニュアル、多言語表示シート
2024年能登半島地震石川県災害多言語支援センター設置(1月2日〜3月31日)、7言語+翻訳機31言語対応
2025年8月29日CLAIR「防災・減災のための多言語支援の手引き2023」ver2.0公開済
内閣府調査多言語情報のある地域の外国人住民の85.3%が「安心して暮らせる」と回答(情報なしは63.7%)

内閣府は「外国人のための減災のポイント」をやさしい日本語と多言語QRコード(15言語)で配布しています。CLAIR(自治体国際化協会)は災害多言語支援センター設置運営マニュアルや多言語表示シートを提供しています。自治体は17言語に対応するパンフレット・看板を整備し、ピクトグラムの標準化も進展しています。

2024年能登半島地震の事例と教訓

石川県災害多言語支援センター

2024年1月の能登半島地震では、石川県災害多言語支援センターが2024年1月2日〜3月31日に設置され、英・韓・中・葡・露・越・尼など7言語+翻訳機による31言語対応が行われました(実施済)。被災外国人住民への情報提供・相談対応の重要なモデルケースとなっています。

CLAIR「手引き2023」ver2.0公開

CLAIRは2025年8月29日に「防災・減災のための多言語支援の手引き2023」ver2.0を公表済。災害多言語支援センター設置運営事例の追加が主な改定内容で、能登半島地震の教訓を反映した実践的なガイドラインとなっています。

多言語情報による「安心」効果

内閣府の調査では、多言語情報のある地域の外国人住民の85.3%が「安心して暮らせる」と回答(情報なしは63.7%)と、多言語対応の効果が定量的に示されています。平時からの多言語情報整備が地域の安心感を大きく高めることが明らかになっています。

17言語対応とピクトグラム標準化

自治体は17言語に対応するパンフレット・看板を整備し、ピクトグラムの標準化も進展しています。識字能力に依存しない視覚的なコミュニケーション手段として、災害時の安全確保に貢献しています。

受入企業との関係

地域防災訓練への外国人参加促進

自治体・国際交流協会は防災訓練への外国人参加の促進を進めています。受入企業には、自社の外国人労働者を地域防災訓練に参加させることが推奨されています。災害時の生存率向上に直結する重要な取り組みです。

社内防災マニュアルの多言語化

受入企業は社内防災マニュアルの多言語化を進める必要があります。CLAIRの多言語指さしボード・多言語表示シート、内閣府の「外国人のための減災のポイント」など公的リソースを活用することで、コストを抑えつつ効果的な対応が可能です。

監理支援機関との連携

育成就労施行(2027年4月1日施行予定)では、受入企業・監理支援機関が外国人労働者の生活支援義務を負う中、地域防災への組み込みも重要課題となります。監理支援機関の許可申請受付は2026年4月15日開始済で、生活支援体制の整備が進行中です。

災害時の安否確認体制

災害時の安否確認体制の整備が、受入企業の安全配慮義務の重要な要素となります。多言語SNS・メッセージアプリ・地域防災ネットワークとの連携で、迅速な安否確認体制を構築する必要があります。

よくある質問(FAQ)

Q. 外国人住民の防災対応で最も重要なことは?

A. 平時からの多言語情報整備と、外国人住民を巻き込んだ防災訓練の実施です。内閣府調査では多言語情報のある地域の外国人住民の85.3%が「安心して暮らせる」と回答しており、多言語対応の効果が定量的に示されています。

多言語ハザードマップ・やさしい日本語の防災情報・災害時多言語支援センター・外国人対象の防災訓練など、複合的な取り組みが効果的です。

Q. 受入企業はどう対応すべきですか?

A. 外国人労働者を地域防災訓練に参加させる、社内防災マニュアルを多言語化する、災害時の安否確認体制を整備する、地域コミュニティとの連携を構築するなどが効果的です。

育成就労施行(2027年4月予定)に向けて、受入企業・監理支援機関の生活支援義務に地域防災への組み込みが重要課題となります。

Q. 公的支援リソースは何がありますか?

A. 内閣府「外国人のための減災のポイント」(やさしい日本語+多言語QRコード15言語)、CLAIRの「防災・減災のための多言語支援の手引き2023」ver2.0(2025年8月29日公開済)、多言語指さしボード、多言語表示シート、災害多言語支援センター設置運営マニュアルなどがあります。

これら公的リソースは無料で活用でき、受入企業の防災対応の基盤として組み込めます。

Q. 育成就労施行で防災対応はどう変わりますか?

A. 育成就労制度(2027年4月1日施行予定)では、受入企業・監理支援機関が外国人労働者の生活支援義務を負う中、地域防災への組み込みも重要課題となります。

自治体は防災訓練への外国人参加促進・多言語ハザードマップ配布・避難所運営マニュアルの多言語化を推進しており、受入企業も社員の地域参画を支援する体制が求められます。

参考資料

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