用語集 多文化共生・社会統合

多文化共生たぶんかきょうせい

多文化共生とは?

多文化共生とは、総務省が「国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的ちがいを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくこと」と定義する概念です(2006年「多文化共生の推進に関する研究会」報告書)。

単なる「共存」ではなく、地域社会への積極的な参加・連携を促す点が特徴で、外国人住民を行政サービスの受け手としてだけでなく、地域社会を共につくる主体として位置づけています。

2005年の総務省「多文化共生の推進に関する研究会」発足以降、自治体・国際交流協会・NPOなどが連携した多文化共生政策が全国で展開されています。2025年6月末時点で在留外国人は395万6,619人(過去最高、196か国・地域)に達し、育成就労制度(2027年4月1日施行予定)施行を控え、地域社会での多文化共生の実装力が一段と問われる時代となっています。

多文化共生の概念と理念

「対等な関係」の構築

多文化共生の核心は、外国人住民と日本人住民が対等な関係を築こうとする点にあります。外国人を受身的な「支援対象」としてではなく、地域社会の対等な構成員として位置づけることが基本理念です。

「地域社会の構成員」としての参画

外国人住民が地域行事・自治会・防災活動・地域ボランティアなどに参画することで、地域社会の構成員として共に生きる関係性を構築します。能動的な社会参画が多文化共生の実現の鍵です。

「文化的ちがい」の相互認識

言語・宗教・食習慣・生活様式などの文化的ちがいを認め合い、相互理解を深めることが基盤です。違いを排除や同化の対象とせず、多様性を社会の豊かさとして受け止める価値観の醸成が求められます。

「共に生きていく」関係性

単なる「共存」ではなく「共に生きていく」関係性を目指す点が、多文化共生の特徴です。日常的な交流・協働を通じて、互いを地域社会の一員として認め合う関係が構築されます。

多文化共生の制度的展開

項目内容
定義国籍・民族の異なる人々が文化的ちがいを認め合い、対等な関係で地域社会の構成員として共に生きること
所管総務省自治行政局国際室
研究会発足2005年「多文化共生の推進に関する研究会」
地域における多文化共生推進プラン2006年3月策定・2020年9月改訂済
2025年6月末在留外国人数395万6,619人(過去最高・196か国・地域)
2024年度地域会議宮城・群馬・愛知・兵庫・徳島・大分の6ブロック開催済
2025年度地域会議青森・千葉・三重・奈良・山口・佐賀の6ブロック開催予定
2025年7月15日内閣官房「外国人との秩序ある共生社会推進室」設置済

2018年の在留資格「特定技能」創設以降、外国人住民の急増を受けて自治体の多文化共生政策が一段と重要となっています。各自治体が「地域における多文化共生推進プラン」を策定し、コミュニケーション支援・生活支援・地域社会づくりを総合的に推進しています。

最新動向と受入企業との関係

2024-2025年度の多文化共生地域会議

令和6年度(2024年度)は宮城・群馬・愛知・兵庫・徳島・大分の6ブロックで「多文化共生地域会議」が開催され、令和7年度(2025年度)は青森・千葉・三重・奈良・山口・佐賀の6ブロックで開催予定です。地域横断的な実践事例の共有・課題協議の場として機能しています。

2025年7月外国人との秩序ある共生社会推進室発足

2025年7月15日に内閣官房に「外国人との秩序ある共生社会推進室」が発足済です。外国人施策の司令塔組織として始動し、共生政策と出入国管理の総合的な調整役を担います。

育成就労施行と地域定着支援

育成就労制度(2027年4月1日施行予定)では日本語能力の段階的向上要件と転籍可能化が導入されるため、地域での定着支援が一段と重要となります。受入企業は地域コミュニティ・自治体・国際交流協会と連携した包括的支援が求められます。

受入企業の地域貢献

受入企業は外国人材の生活面サポート・日本語教育の費用負担・地域行事への参加促進などを通じて多文化共生に貢献できます。社員のボランティア参加、地域日本語教室への寄付・会場提供、自治会との連携などが効果的な取り組みです。

よくある質問(FAQ)

Q. 多文化共生と「共存」の違いは何ですか?

A. 「共存」が単に同じ空間に存在することを指すのに対し、多文化共生は互いの文化的ちがいを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていく能動的な関係性を意味します。

外国人住民を地域社会の対等な構成員と位置づけ、能動的な参画を促す点が、多文化共生の特徴です。総務省の公式定義として2006年から確立されています。

Q. 受入企業が多文化共生にできる貢献は?

A. 外国人材の生活面サポート、日本語教育の費用負担、地域行事への参加促進、地域日本語教室との連携、自治体・国際交流協会との協働などが効果的です。CSR活動として地域貢献を組み込む企業も増えています。

育成就労施行(2027年4月1日施行予定)に向け、地域定着・コミュニティ統合の支援は経営戦略上の重要課題となります。長期的な人材確保・定着につながる戦略的投資といえます。

Q. 多文化共生政策の所管はどこですか?

A. 総務省自治行政局国際室が中心で、CLAIR(自治体国際化協会)が支援機関として機能しています。2025年7月15日に内閣官房「外国人との秩序ある共生社会推進室」が発足し、政府全体での総合調整機能が強化されました。

実施主体は都道府県・市区町村・国際交流協会で、地域における多文化共生推進プランに基づく取り組みを展開しています。

Q. 育成就労施行で多文化共生はどう重要になりますか?

A. 育成就労制度(2027年4月1日施行予定)では日本語能力の段階的向上要件と転籍可能化が導入されるため、地域での定着支援が一段と重要となります。受入企業・自治体・地域コミュニティの連携が成功の鍵です。

転籍可能化により、外国人材が地域に根ざした生活基盤を持つことが長期定着につながります。多文化共生政策の実装力が、企業の人材戦略と地域経済の両方を支える基盤となります。

Q. 在留外国人数の最新は?

A. 2025年6月末時点で395万6,619人と過去最高を更新し、196か国・地域からの外国人住民が日本に居住しています。総人口に占める割合は約3.2%に達しています。

育成就労施行後はさらに増加が見込まれ、多文化共生政策の量的拡大と質的深化が求められます。受入企業も外国人材を地域社会の一員として捉える視点が必要となります。

参考資料

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