中国(送出国)とは?
中国(People’s Republic of China)は、日本にとってベトナムに次ぐ第2位の主要送出国であり、特に技人国(技術・人文知識・国際業務)・身分系・留学を含めた構成で在日労働者を最も多様に供給しています。
厚生労働省「外国人雇用状況」令和7年10月末時点で、在日中国人労働者は431,949人(国籍別2位、構成比16.8%)に達し、日本の外国人労働市場の主要プレイヤーです。
送出制度は中華人民共和国商務部(MOFCOM)・人力資源・社会保障部が主管し、技能実習における外国政府認定送出機関制度の対象国です。
特定技能MOCはcurrentDate時点で未締結で、育成就労MOCも未締結(2026年3月公表の暫定送出機関リストにも中国は含まれません)。歴史的経緯と最新の構造変化を踏まえた理解が必要な送出国です。
在日中国人労働者の規模と特徴
国籍別2位の巨大コミュニティ
令和7年10月末の在日労働者は431,949人で全外国人労働者の16.8%を占め、ベトナムに次ぐ2位を維持しています。前年(2024年10月:408,805人)から緩やかな増加ペースで、労働者総数比は徐々に低下傾向にあります。
技人国とIT技術者の最大供給国
在留資格別では「専門的・技術的分野(技人国中心)」が約29.8%と他の送出国を圧倒し、ITエンジニア・通訳・国際業務の最大供給国となっています。日本企業のグローバル・ケイパビリティ・センター(GCC)需要や、IT人材不足を補う中核ポジションを担っています。
身分系の比率も高い長期定着型
「身分に基づく在留資格(永住・定住・日本人配偶者等)」が約28.4%と高く、世代を超えた在日中国人コミュニティが形成されています。長期定着層が地域経済・サービス業を支えており、技能実習・特定技能とは別軸の労働力供給源となっています。
技能実習の比率は低下傾向
かつて2015年まで技能実習の最大送出国でしたが、ベトナムに逆転されて以降、現在は技能実習比率約7.4%まで低下しました。中国国内の賃金上昇と、日本企業側の選好変化が主因とされています。特定技能在留者も2024年12月で17,645人(国別5位前後)と、規模感は他主要国に比べると小さい状況です。
送出制度の仕組みと主な機関
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主管官庁 | 商務部(MOFCOM)、人力資源・社会保障部 |
| 送出機関 | 技能実習における外国政府認定送出機関制度の対象国 |
| 特定技能MOC | currentDate時点で未締結(受入は個別契約で可) |
| 育成就労MOC | 未締結。2026年3月暫定送出機関リスト対象外 |
| EPA協定 | 対象外 |
| 歴史的位置づけ | 2015年まで技能実習最大送出国、その後ベトナムに逆転 |
| 主要在留資格 | 技人国・身分系・留学 |
| 2025年10月の新動向 | 中国側がK字ビザ(科学技術人材向け)を導入し国内囲い込み強化 |
中国は特定技能MOCを締結していない例外的な送出国ですが、特定技能制度上は二国間取決めの有無に関わらず受入可能なため、個別契約ベースでの採用が継続しています。ただし、ベトナム・インドネシアと比べて現地での集団的なリクルートチャネルは限定的で、技人国・留学経由のキャリア組が主要供給源となっています。
最新動向と受入実務上の注意点
技能実習からの撤退傾向
山東省青島市など主要送出地域の送出機関では、技能実習業務から撤退し、派遣地域・業務多角化を進める動きが学術調査で確認されています。中国国内の賃金水準上昇により、日本側の提示給与との差が縮小し、出稼ぎインセンティブが低下していることが背景です。
技人国・身分系への構造シフト
高学歴IT人材、日本の大学・大学院からの就職組、日本人配偶者・永住者の家族層など、高度・長期定着型の層が中心となりました。特に新卒採用市場では中国人留学生の存在感が大きく、IT・金融・コンサル分野で重要な役割を果たしています。
K字ビザによる中国国内囲い込み
2025年10月、中国は科学技術人材向けの「K字ビザ」を導入し、海外で活躍する中国系科学技術人材の本国回流を促進する政策を打ち出しました。日本企業は中国人高度人材の獲得競争で、給与・キャリア・研究環境の競争力強化が急務となっています。
特定技能MOC未締結の影響
特定技能MOCが未締結のため、悪質ブローカー排除の制度的枠組みが弱く、受入企業は信頼できるリクルートチャネルの自己選定が重要となります。一方で、技能実習からの移行や留学経由ルートが定着しており、実務上のリスクは比較的限定的です。
他の主要送出国との比較
| 項目 | 中国 | ベトナム | フィリピン |
|---|---|---|---|
| 在日労働者数 | 431,949人(2位) | 605,906人(1位) | 260,869人(3位) |
| 主要在留資格 | 技人国・身分系 | 技能実習・特定技能 | 身分系・特定技能 |
| 特定技能MOC | 未締結 | 2019年7月 | 2019年3月 |
| 主要産業 | 製造・IT・卸売小売 | 製造・建設・農業 | 介護・宿泊・外食 |
| 位置づけ | 高度人材中心へ | 現業労働力の主軸 | 規制最も整備 |
中国は他の主要送出国と異なり、技能実習・特定技能の現業人材中心の供給国から、技人国・高度人材中心の構造へとシフトしています。日本企業はIT・グローバル業務での中国人材の戦力化と、現業分野ではベトナム・インドネシアなど他送出国との組み合わせを意識した採用戦略が必要です。
よくある質問(FAQ)
Q. 中国は特定技能MOCを締結していないのに採用できますか?
A. はい、可能です。特定技能制度は二国間取決めの有無に関わらず受入可能で、中国籍の特定技能在留者も2024年12月時点で17,645人と一定規模存在しています。
ただし、MOC未締結のため、悪質仲介排除の制度的枠組みは弱く、信頼できるリクルートチャネル選定の自己責任が大きくなります。実務上は技能実習からの移行や留学経由の採用が中心です。
Q. なぜ中国の技能実習生は減っているのですか?
A. 主因は中国国内の賃金上昇による出稼ぎインセンティブ低下、日本側の選好変化(ベトナム・インドネシアへのシフト)、そして送出機関側の業務多角化です。
中国は経済成長で都市部の賃金が日本の地方水準に接近し、相対的な魅力が薄れています。代わりに高学歴・IT・専門職層が日本企業に直接就職するルートが主流化しています。
Q. 中国人IT人材の獲得は今後どうなりますか?
A. 2025年10月のK字ビザ導入により、中国政府が高度科学技術人材の本国回流を促進しているため、獲得競争は激化する見通しです。日本企業は給与・キャリア・研究環境の競争力強化が必要です。
米国・欧州・シンガポールなど他のグローバル拠点との獲得競争もあり、英語環境の整備、リモートワーク許容、グローバルキャリアパス提示が日本企業の差別化要素となります。
Q. 中国とのEPAはありますか?
A. いいえ、中国とのEPA協定はありません。看護師・介護福祉士のEPA枠はインドネシア・フィリピン・ベトナムの3国のみです。
RCEP(地域的な包括的経済連携協定)は2022年に発効していますが、人材受入の特別枠は設けられていません。中国人材の受入は技能実習・特定技能・技人国・身分系の標準ルートとなります。
Q. 中国の育成就労MOCはいつ締結されますか?
A. currentDate時点(2026年5月)では未締結で、2026年3月公表の暫定送出機関リストにも中国は含まれていません。締結の時期は不透明な状況です。
育成就労制度は2027年4月1日施行予定ですが、中国は技能実習からの撤退傾向と技人国中心の構造シフトにより、育成就労の主要送出国となるかは不明確です。中国人材は引き続き技人国・身分系を主軸とした受入が見込まれます。