用語集 送出国・国際関連

DMW(フィリピン海外労働者省)でぃーえむだぶりゅー

DMW(フィリピン移住労働者省)とは?

DMW(Department of Migrant Workers、日本語:フィリピン移住労働者省)は、海外で働くフィリピン人労働者(OFW:Overseas Filipino Workers)の保護・福祉・雇用手続きをワンストップで担うフィリピン政府の中央省庁です。

旧POEA(Philippine Overseas Employment Administration/フィリピン海外雇用庁)を中心に7機関を統合して省(Department)レベルに昇格しました。

海外労働者数で世界有数のフィリピンが、労働者保護を国家戦略として強化するために設立した、現代的な移住労働行政の象徴的存在です。

本部はマンダルヨン市オルティガス通りのBlas F. Ople Buildingにあり、世界各国の在外公館にはDMWの現地出先機関であるMWO(Migrant Workers Office、旧POLO)が設置されています。

フィリピンは1978年以降「直接雇用禁止規制」を厳格に運用しており、DMW認定送出機関を介さない雇用は原則禁止されています。これにより労働者保護と悪質ブローカー排除が制度的に担保されています。

DMWの主な業務・役割

海外送出機関のライセンス管理

フィリピンから海外へ労働者を派遣する民間送出機関(認定エージェント)のライセンス発行・更新・取消を一元管理しています。DMW公式サイトでは認定送出機関のリスト検索が可能で、悪質エージェント排除と労働者保護が制度的に担保されています。

海外雇用許可証(OEC)の発行

フィリピン人海外労働者の出国時に必要となるOEC(Overseas Employment Certificate、海外雇用許可証)を発行します。OECは出国時の空港でも提示が必要で、フィリピン人労働者保護の重要な制度的仕組みです。

直接雇用禁止規制の運用

2017年8月以降、DMW認定エージェントを介さない直接雇用は原則禁止です。例外として高度技術・専門職等で1法人最大5人まで免除申請が可能ですが、一般的な技能実習・特定技能採用ではDMW認定エージェント経由が必須となります。

政府間取決め(MOC)の窓口

特定技能・技能実習などの政府間取決めの窓口となり、日本との特定技能MOCは2019年3月署名(旧POEA時代)が継承されています。EPA介護福祉士候補者の受入や、今後の育成就労MOC交渉でもDMWが窓口を担います。

出国前訓練(PDOS)

PDOS(Pre-Departure Orientation Seminar)と呼ばれる出国前訓練を必須化しており、就労先国の文化・法令・労働者の権利・連絡先などをフィリピン人労働者に事前周知しています。出国前のリスク低減と労働者保護のための重要な制度です。

DMWの体制と概要

項目内容
正式名称(日本語)フィリピン移住労働者省/移民労働者省
正式名称(英語)Department of Migrant Workers(DMW)
設立年2022年(共和国法第11641号/RA 11641「移住労働者法」)
組織形態フィリピン政府の中央省庁(Department=省レベル)
本部所在地Blas F. Ople Building, Ortigas Avenue corner EDSA, Mandaluyong City
統合元機関旧POEA、DOLE海外労働事務所、外務省OFW担当、OWWAの一部など7機関
現地出先機関MWO(Migrant Workers Office、旧POLO、世界各国に設置)
日本での出先MWO東京(六本木フィリピン大使館内)、MWO大阪(フィリピン総領事館内)

DMWは7機関を統合した独立省として、海外労働者保護を国家戦略レベルで推進する画期的な組織です。フィリピンが世界有数の労働力送出国としての地位を確立するための制度的基盤として、他の送出国にとってもベンチマークとなる存在です。

日本との関係と受入実務における役割

特定技能採用の必須経由窓口

フィリピン人を特定技能で雇用する場合、DMW認定送出機関を経由することが必須です。直接雇用は原則禁止のため、DMW公式サイトで認定送出機関を確認し、正規ルートで採用を進める必要があります。違反すると送出機関・受入機関ともにブラックリスト化のリスクがあります。

現地出先機関MWOとの連携

日本国内ではDMWの現地出先機関であるMWO東京(六本木)・MWO大阪が実務窓口を担います。雇用契約書認証・雇用主アクレディテーション(事前承認)など、フィリピン人雇用に関する手続きはMWOで完結します。

育成就労制度への対応はこれから

currentDate時点でフィリピンは育成就労暫定送出機関リスト未掲載で、2027年4月1日施行予定の育成就労制度への対応は今後の協議次第となります。フィリピンが参加する場合、DMWが日本側との窓口を担うことになります。

EPA介護福祉士候補者の受入

EPA介護福祉士・看護師候補者の受入もDMWが窓口となります。2025年度はフィリピン候補者の求職者が前年比2倍以上に急増し、マッチング成立率も上昇しており、介護分野での主要供給国としての地位が再強化されています。

他の主要送出国機関との違い

項目DMW(フィリピン)DOLAB(ベトナム)KemenP2MI(インドネシア)
組織形態独立した省(2022年昇格)内務省配下の局独立した省(2024年昇格)
所管対象海外労働者全般の保護・福祉海外労働者派遣の管理・監督移住労働者の保護・福祉
送出機関DMW認定エージェント(必須)ライセンス制(民間)P3MI(許可制)
直接雇用原則禁止(例外5人まで可)原則制限なし(推薦者表必須)原則禁止
独自証明OEC(海外雇用許可証)推薦者表E-PMI(移住労働者証)
現地出先機関MWO(世界各国に設置)BP3MI(国内地方支部)

DMWは独立省として労働者保護を最優先する組織体制を持ち、特に「直接雇用禁止規制」と「MWO(現地出先機関)」の組み合わせで、世界に類を見ない厳格な規制運用を実現しています。フィリピン人材を採用する企業は、この規制体系を理解した上で正規ルートでの採用を徹底することが必須です。

よくある質問(FAQ)

Q. DMWを経由しないでフィリピン人を採用できますか?

A. 原則できません。フィリピン政府は1978年以降、直接雇用禁止規制を厳格に運用しており、DMW認定送出機関を介さない雇用は原則禁止です。違反した場合、送出機関・受入企業ともにブラックリスト化されるリスクがあります。

例外として高度技術・専門職等で1法人最大5人まで免除申請が可能ですが、一般的な技能実習・特定技能採用では認定送出機関経由が必須です。登録支援機関・監理団体経由でDMW認定送出機関にアクセスするのが実務上の標準です。

Q. DMWとMWO(旧POLO)の関係はどうなっていますか?

A. MWOはDMW(フィリピン本国の中央省庁)の世界各国にある現地出先機関です。2022年のDMW発足に伴い、旧POLO(Philippine Overseas Labor Office)からMWO(Migrant Workers Office)に改称されました。

日本ではMWO東京(六本木フィリピン大使館内)・MWO大阪(フィリピン総領事館内)の2か所が設置されており、日本企業のフィリピン人雇用に関する実務窓口を担っています。雇用契約書認証などはMWOで手続きします。

Q. OECとは何ですか?

A. OEC(Overseas Employment Certificate、海外雇用許可証)は、フィリピン人海外労働者の出国時に必要となるDMW発行の許可証です。出国時の空港でも提示が求められます。

OEC取得には正規送出機関経由の雇用契約・MWO認証などの一連の手続きが必要で、フィリピン人海外就労が制度的に管理されている重要な仕組みです。受入企業の手続きではないものの、本人がこれを保有していないと出国できません。

Q. DMWは育成就労でも窓口になりますか?

A. なる見通しですが、currentDate時点(2026年5月)ではフィリピンは育成就労暫定送出機関リストに未掲載で、本格対応はこれからです。

育成就労制度は2027年4月1日施行予定で、フィリピンが参加する場合、DMWが日本側との窓口を担います。直接雇用禁止規制や送出機関認定の枠組みは、育成就労でも継続される見通しです。

Q. DMW認定送出機関はどこで確認できますか?

A. DMW公式サイト(dmwph.com)で認定送出機関リストを検索できます。ライセンス取消や違反履歴も公開されているため、採用前の確認が重要です。

登録支援機関や監理団体に問い合わせれば、信頼できるDMW認定送出機関を紹介してもらえることが多いです。新規に取引する場合は、ライセンスの有効性と過去実績を必ず確認することが推奨されます。

参考資料

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