ミャンマー(送出国)とは?
ミャンマー(Republic of the Union of Myanmar)は、近年急速に在日労働者数を伸ばしている送出国です。厚生労働省「外国人雇用状況」令和7年10月末時点で、在日ミャンマー人労働者は約16万人、前年比伸び率は+42.5%と全国籍中で2年連続1位を記録しています。特に介護分野では事実上の主要供給源となっており、2025年6月末の特定技能在留者数ではフィリピンを抜いて全国籍3位に浮上しました。
送出機関は政府の許可制で運営され、労働・入国管理・人口省(MOLIP:Ministry of Labour, Immigration and Population)が管轄しています。労働者は同省が発給する海外労働許可証(OWIC:Overseas Worker Identification Card)の保有が必須です。
2021年以降の政治情勢の不安定化を受け、出国規制・送金義務など他国にはない独自の運用がある点に、受入企業は留意する必要があります。
在日ミャンマー人労働者の規模と特徴
2年連続トップの増加率
令和7年10月末時点で約16万人、前年比+42.5%と全国籍中で2年連続1位の伸び率を記録しています。技能実習は令和6年に40,371人(前年比+23.5%)、特定技能は2024年12月末で27,348人と全国籍4位(2025年6月末で3位に浮上)まで拡大しています。
介護分野での主要供給源
介護分野の特定技能では国別シェアでトップクラスとなっており、事実上の主要供給源と位置づけられます。次いで飲食料品製造、外食、宿泊、ビルクリーニングなどサービス・現場系分野での就労が中心です。
緊急避難措置による在留
2021年のクーデター以降、人道的観点から「ミャンマー緊急避難措置」が運用されており、特定活動の在留資格で就労する人材が一定数います。2024年10月の運用見直しを経て、現在も継続中です。これが在留統計を押し上げる要因の一つとなっています。
失踪率の改善
技能実習生の失踪は令和6年で前年比−28.4%と大幅減少しました。2024年10月の緊急避難措置見直しによる在留資格選択肢の拡大が、失踪減少に寄与したと分析されています。
送出制度の仕組みと主な機関
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主管官庁 | 労働・入国管理・人口省(MOLIP) |
| 労働者の必須証明 | OWIC(海外労働許可証) |
| 送出機関 | 政府許可制(MOLIP認可事業者のみ業務可) |
| 特定技能MOC | 2024年3月29日更新署名済、2024年4月1日から5年間有効 |
| 育成就労MOC | currentDate時点で正式締結未公表 |
| EPA協定 | 対象外 |
| 強制送金義務 | 給与の25%本国送金義務(2023年9月施行・2024年8月強化) |
| 男性出国制限 | 18〜35歳男性の就労目的出国を原則禁止(2025年から年齢層拡大) |
ミャンマーは特定技能MOCを2024年3月に更新済で、制度的には日本との人材交流が整備されています。一方、軍政下での出国規制・強制送金義務など独自の運用があるため、受入企業は送出機関との連携において母国法令の最新情報を継続的に把握する必要があります。
最新動向と受入実務上の注意点
軍政下の出国規制
2024年2月施行の徴兵法に続き、2025年から18〜35歳男性の就労目的出国が原則禁止されました。出国には空港入管リストへの登録が必須であり、受入企業はミャンマー人男性候補者の出国可否を採用段階で送出機関に確認する必要があります。
給与の25%強制送金義務
2023年9月施行・2024年8月強化通達により、ミャンマー人海外労働者は給与の25%を本国送金する義務を負います。違反者はOWIC・パスポート更新の拒否リスクがあるため、受入企業は雇用契約締結時にこの義務を本人と共有することが望ましいとされます。
緊急避難措置の運用
2021年のクーデターを受けて運用されているミャンマー人向け緊急避難措置(特定活動による就労許可)は、2024年10月に見直され現在も継続中です。在留資格の選択肢が広がったことで、技能実習・特定技能と並ぶ受入ルートとして機能しています。
日本語・技能試験のインフラ整備
ヤンゴンを中心に日本語教育・技能試験のインフラが整備されつつあり、JFT-Basicの現地実施回数も増加しています。一方、政情不安定により試験運営が中断する事例もあり、採用計画には一定のバッファが必要です。
他の主要送出国との比較
| 項目 | ミャンマー | ベトナム | インドネシア |
|---|---|---|---|
| 在日労働者数 | 約16万人(伸び+42.5%) | 605,906人(1位) | 5位(伸び+34.6%) |
| 所管官庁 | MOLIP | MOLISA/DOLAB | KemenP2MI |
| 特定技能MOC | 2024年3月更新 | 2019年7月 | 2024年6月更新 |
| 主要分野 | 介護中心 | 製造・建設・農業 | 介護・食品・農業 |
| 特徴的な規制 | 男性出国制限・25%送金義務 | 送出手数料問題 | 宗教面(ムスリム)配慮 |
ミャンマー人材は特に介護分野で安定的な就労実績があり、勤勉さ・温和な人柄が評価されています。一方、母国の政治情勢に起因する独自規制(男性出国制限・強制送金)があり、受入企業はこれらを理解した上で長期的な採用戦略を立てる必要があります。
よくある質問(FAQ)
Q. ミャンマー人男性は採用できますか?
A. 18〜35歳男性の就労目的出国は2025年から原則禁止されており、空港入管リストへの登録がないと出国できません。実質的に新規採用は極めて難しい状況です。
既に来日している男性人材の継続雇用や在留資格変更は可能ですが、新規募集は当面、女性中心または35歳超を対象とせざるを得ません。送出機関に最新の運用状況を確認し、可能な属性を見極めて採用計画を立てる必要があります。
Q. 給与の25%本国送金義務はどう運用されますか?
A. ミャンマー政府が指定する銀行ルートで給与の25%を本国送金することが義務付けられています。違反者はOWIC・パスポート更新が拒否されるリスクがあります。
受入企業の直接的な義務ではありませんが、本人が義務を遵守できるよう、給与振込口座や送金手続きに関する情報提供を行うことが望ましいとされます。送出機関や監理団体がガイドラインを提供している場合は活用しましょう。
Q. ミャンマー人材はなぜ介護分野で多いのですか?
A. 主因は、現地で介護分野の日本語教育・技能試験インフラが充実していること、温和な人柄や敬老精神が職場に適合しやすいこと、緊急避難措置による在留資格の柔軟性などです。
介護分野では特定技能・技能実習・緊急避難措置の多層的な受入が可能で、施設側も国別の安定供給源としてミャンマー人材を高く評価しています。今後の育成就労ルートも、介護分野が主軸となる見込みです。
Q. 緊急避難措置で就労している人を雇用しても問題ありませんか?
A. はい、適法に交付された特定活動の在留資格を持つ人材であれば、就労可能です。出入国在留管理庁の最新運用方針に基づき、雇用契約・労働条件は他の在留資格と同様に整備されます。
緊急避難措置の対象範囲・在留期間は出入国在留管理庁が定期的に運用見直しを行っているため、採用時には最新の運用方針を確認し、本人の在留カードの記載内容と整合性を必ずチェックすることが重要です。
Q. ミャンマーの育成就労MOCはいつ締結されますか?
A. currentDate時点(2026年5月)では正式締結は公表されていません。特定技能MOCは2024年3月に更新済(2029年3月まで有効)ですが、育成就労MOCは別途協議が必要です。
育成就労制度は2027年4月1日施行予定であり、ミャンマーは介護分野の重要供給国として早期協議対象に含まれる見通しです。受入企業は出入国在留管理庁・外国人技能実習機構の発表を継続的にウォッチすることが推奨されます。