用語集 多文化共生・社会統合

在留支援のためのやさしい日本語ガイドラインざいりゅうしえんのためのやさしいにほんごがいどらいん

在留支援のためのやさしい日本語ガイドラインとは?

「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」とは、出入国在留管理庁と文化庁が共同策定した、行政・自治体・受入企業等が在留外国人とコミュニケーションを取る際に用いるべき「やさしい日本語」の指針です。

書き言葉版(2020年8月公表済)と話し言葉版(2023年1月公表済)の2本柱で構成されており、災害時・医療・行政手続き・職場のコミュニケーションなど幅広い場面で活用されています。

制度的根拠は2018年「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」で、行政・生活情報の多言語化と「やさしい日本語」での発信が政府方針として位置付けられました。

育成就労制度(2027年4月1日施行予定)施行を控え、受入側にもやさしい日本語によるコミュニケーションが求められ、監理支援機関の相談業務でも本ガイドラインの活用が想定されています。

やさしい日本語の主なポイント

短い文章で伝える

長い複文を避け、主語と述語を明確にした短い文章で伝えることが基本です。1文に1つの情報のみを含め、外国人住民が理解しやすい構造で表現します。

難しい言葉を言い換え

専門用語・難解な漢語・カタカナ語などをやさしい言葉に言い換えます。例:「閉鎖」→「閉まる」、「破損」→「壊れる」、「該当する」→「当てはまる」など、外国人住民が理解しやすい語彙を選択します。

あいまいな表現を避ける

「〜と思います」「〜かもしれません」などのあいまいな表現を避け、明確な指示・情報を伝えます。文化的背景の違う外国人住民にも誤解なく伝わる表現が重要です。

話し言葉のポイント

話し言葉編(2023年1月公表済)では、対面コミュニケーション特有のポイント(ゆっくり話す・はっきり発音する・確認しながら進める・図やジェスチャーを活用)が示されています。

ガイドラインの基本情報

項目内容
正式名称在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン
策定機関出入国在留管理庁・文化庁(共同策定)
書き言葉版公表2020年8月(施行済)
話し言葉版(話し言葉のポイント)2023年1月31日公表(施行済)
制度的根拠2018年「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」
関連検討会議2021年8月「やさしい日本語の普及による情報提供等の促進に関する検討会議」設置、2022年8月「話し言葉のやさしい日本語の活用促進に関する会議」開催
無料配布公的機関サイトでPDFダウンロード可能
関連法令日本語教育推進法(2019年6月施行済)

ガイドラインは多文化共生・日本語の有識者、外国人支援団体関係者、自治体担当者、外国人当事者の意見を反映して作成されました。川崎市等の自治体は独自の「やさしい日本語ガイドライン」を派生して策定しており、地域の特性に応じた応用も進んでいます。

活用場面と最新動向

災害時・防災活用

災害時の避難所運営・避難情報発信でやさしい日本語が活用されています。命に関わる緊急時の誤解を防ぐため、CLAIRの災害時多言語表示シートとも併用されています。

行政手続き案内

自治体の行政手続き案内・通知文書でやさしい日本語が広く採用されています。住民票・国民健康保険・税金・教育・防災など、生活に直結する手続きの理解を支援します。

医療機関での問診票

医療機関での問診票・診察説明でやさしい日本語が活用されています。命に関わる場面での誤解を防ぐため、医療通訳と組み合わせた包括的な対応が広がっています。

職場のコミュニケーション

受入企業の社内文書・就業規則・安全教育資料の言い換えに活用できます。労働災害防止・業務指示理解・労務トラブル予防に大きく貢献し、外国人材の早期戦力化を支えます。

受入企業との関係

社内文書の言い換え

受入企業はガイドラインを参考に、社内文書・就業規則・安全教育資料・労務通知などをやさしい日本語に言い換えることができます。母語翻訳と比べてコスト負担が小さく、日本人社員も含めた職場の理解促進にも寄与します。

職場の安全衛生

建設・製造・農業など労働災害リスクの高い職場での安全衛生指示に活用できます。やさしい日本語による安全教育で、外国人材の理解度を高め、災害防止に直結します。

育成就労施行への対応

育成就労制度(2027年4月1日施行予定)では、外国人本人の日本語能力がA1相当(JLPT N5)以上が条件とされる一方、受入側にもやさしい日本語によるコミュニケーションが求められます。監理支援機関の相談業務でも本ガイドラインの活用が想定されています。

日本人社員研修への活用

日本人社員向けの多文化共生研修教材としても活用できます。やさしい日本語の使い方を日本人側が学ぶことで、職場全体の多文化対応力が高まります。

よくある質問(FAQ)

Q. やさしい日本語ガイドラインはどこで入手できますか?

A. 出入国在留管理庁・文化庁の公式サイトで無料配布されています。書き言葉版(2020年8月公表)と話し言葉版(2023年1月公表)の両方がPDFでダウンロード可能です。

受入企業の社内マニュアル・研修資料に組み込んで活用できます。コスト負担なく実装できる公的リソースです。

Q. やさしい日本語と通訳・翻訳の使い分けは?

A. やさしい日本語は基本的な日本語能力(A1相当・JLPT N5以上)がある外国人住民向けで、通訳・翻訳は母語による完全なコミュニケーションが必要な場面で活用します。両者を組み合わせた多層的なコミュニケーション戦略が効果的です。

育成就労外国人は入国時にA1相当の日本語能力を持つため、やさしい日本語での基本的なコミュニケーションが可能となります。

Q. 受入企業はどう活用できますか?

A. 社内文書・就業規則・安全教育資料・労務通知などをやさしい日本語に言い換える、外国人材向けマニュアルを整備する、日本人社員向け研修教材として活用する、職場の安全衛生指示で活用するなど、多面的な活用が可能です。

育成就労施行(2027年4月予定)に向けて、やさしい日本語による職場コミュニケーション体制の整備は経営課題となります。

Q. 話し言葉のポイントとは?

A. 2023年1月31日公表の「話し言葉のポイント」は、対面コミュニケーション特有のポイント(ゆっくり話す・はっきり発音する・確認しながら進める・図やジェスチャーを活用)を示したガイドラインです。

書き言葉版(2020年8月公表)と組み合わせて、文書と対面の両方の場面でやさしい日本語を活用できる体系的なガイドラインとなっています。

Q. 育成就労施行でガイドラインはどう活用されますか?

A. 育成就労制度(2027年4月1日施行予定)では、受入側にもやさしい日本語によるコミュニケーションが求められ、監理支援機関の相談業務でも本ガイドラインの活用が想定されています。

受入企業は本ガイドラインを社内マニュアルに組み込み、日本人社員研修にも活用することで、育成就労外国人の早期戦力化と長期定着を支援できます。

参考資料

用語集
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