在日韓国・朝鮮人とは?
在日韓国・朝鮮人とは、戦前の日本による朝鮮半島統治期(1910〜1945年)に日本本土へ渡来・移住した朝鮮半島出身者およびその子孫(オールドカマー)と、1980年代以降に新規来日した韓国国籍者(ニューカマー)の総称です。
在留資格の観点では大きく2層に分かれ、オールドカマーの中核は1991年11月施行の入管特例法に基づく特別永住者、ニューカマーは「永住者」「定住者」「技術・人文知識・国際業務」「留学」「日本人の配偶者等」など中長期在留資格を持つ韓国籍者です。
2025年6月末時点で特別永住者は270,292人(うち約99%が韓国・朝鮮籍)、中長期在留者としての韓国籍は約409,584人(大半がニューカマー)で、減少基調にある特別永住者と、増加傾向にある中長期在留韓国籍者という二極構造が鮮明になっています。
コリアタウン(東京・新大久保、大阪・鶴橋)は韓流ビジネス・K-POP・韓国料理など文化交流の中心地として発展しています。
在日韓国・朝鮮人の歴史的背景
1910年の韓国併合と戦前の渡来
1910年の韓国併合により朝鮮半島出身者は日本国籍を有することとなり、戦時中の徴用・募集・経済的事情等により本土へ渡来しました。1945年敗戦時には約200万人が在留していたとされますが、終戦後の引揚げを経て約60万人が日本に残りました。
1952年サンフランシスコ平和条約発効
1952年4月のサンフランシスコ平和条約発効により、朝鮮半島出身者は法務省通達で一律に日本国籍を喪失しました。これにより、戦前から在留する人々が法的に外国人として登録される経緯が生じました。
1965年日韓基本条約と1991年入管特例法
1965年の日韓基本条約に伴う「協定永住」、1981年の「特例永住」を経て、1991年11月1日施行の入管特例法により、戦前から在留する朝鮮半島・台湾出身者およびその子孫を「特別永住者」として一本化しました。戦後40年以上を経てようやく安定的な法的地位が制度化された経緯があります。
特別永住者の減少傾向
特別永住者は1991年の約69万人から、帰化(戦後累計で40万人以上)、国際結婚、少子高齢化により減少を続け、2025年6月末で270,292人と全在留外国人約412万人中6.5%にとどまります。世代交代が進み、第三・第四世代では日本生まれ・日本育ちが大多数となっています。
在日韓国・朝鮮人の基本情報と最新統計
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 定義 | 戦前渡来の朝鮮半島出身者の子孫(オールドカマー)+1980年代以降来日の韓国籍者(ニューカマー) |
| 2025年6月末特別永住者 | 270,292人(うち約99%が韓国・朝鮮籍) |
| 2025年6月末中長期韓国籍 | 約409,584人(大半がニューカマー) |
| オールドカマーの法的地位 | 特別永住者(入管特例法1991年11月施行) |
| 主な集住地 | 大阪府(生野区・鶴橋)、東京都(新宿区・新大久保)、兵庫県、京都府、愛知県 |
| 2012年7月 | 外国人登録制度廃止、特別永住者証明書交付開始 |
| ヘイトスピーチ解消法 | 2016年6月3日施行 |
| ニューカマーの主な在留資格 | 技人国・経営管理・留学・特定技能・永住者 |
在日韓国・朝鮮人は歴史的経緯・国籍・在留資格・世代の異なる複数層を含む民族集団で、オールドカマー(特別永住者)とニューカマー(中長期在留者)の二極構造が特徴です。両者は同じ韓国系コミュニティでも生活様式・在留経緯が大きく異なり、それぞれ別の文化的・経済的活動を展開しています。
特別永住者制度の特徴
退去強制事由の限定
特別永住者は再入国許可制度や本邦外活動の自由度等で一般の永住者よりも有利な扱いが続いており、退去強制事由は内乱・外患・国交関連等に限定されています。歴史的経緯を踏まえた特別な処遇となっています。
就労制限なし
特別永住者は就労制限がなく、職種・業種を問わず働けます。日本人と変わらない自由度を持ち、医師・弁護士・公務員(一部除く)など幅広い職業に就くことが可能です。
特別永住者証明書の交付
2012年7月の外国人登録制度廃止に伴い、「特別永住者証明書」の交付が開始されました。一般の在留カードとは別の証明書で、特別永住者の法的地位を明確に区別しています。
育成就労制度との関係
育成就労制度(2027年4月1日施行予定)は新規来日労働者向け制度で、特別永住者・永住者は同制度の直接的対象外です。就労制限のない地位が引き続き維持されます。
日本社会との関係とコリアタウン
大阪・鶴橋(生野コリアタウン)
大阪府(生野区・鶴橋)は日本最大級のコリアタウンで、戦後の在日コリアン商業集積地としての歴史を継承しています。2025年現在は、2000年代以降の韓流ブームを経て、日本人観光客・訪日インバウンドを多く集める観光地として変貌しています。
東京・新大久保コリアタウン
東京都新宿区の新大久保コリアタウンは、ニューカマー韓国系を中心に発展しました。K-POP関連ショップ・韓国コスメ・韓国料理店が集積し、若年層の人気観光地となっています。
第三・第四世代の社会統合
第三・第四世代となるオールドカマーの多くは日本生まれ・日本育ちで、言語・教育・職業面では日本人と大きな差がありません。文化・芸能・スポーツ・経営の各分野で活躍する三世・四世が多く、社会的可視性の高い集団となっています。
ヘイトスピーチ解消法(2016年施行)
2016年6月3日施行の「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」(ヘイトスピーチ解消法)は理念法ですが、川崎市や大阪市など自治体条例で実効性ある対応へ展開しています。法務省人権擁護局が所管として相談・啓発を担っています。
受入企業との接点
オールドカマー:日本人同等の採用
特別永住者・永住者は就労制限がなく、企業からは「日本人と同様に採用できる人材」として扱われます。育成就労制度(2027年4月施行予定)の直接対象とはならず、長期定着型の戦力として安定した雇用関係を構築できます。
ニューカマー:技人国・経営管理での活躍
ニューカマー韓国籍者は「技術・人文知識・国際業務」「経営・管理」「留学」「特定技能」等で来日し、IT・観光・飲食・美容・コンサルティング業で活躍する例が多くなっています。韓流ビジネス(K-POP関連、コスメ、飲食、エンタメ)はニューカマー起業家を中心に大きな経済圏を形成しています。
韓日バイリンガル人材としての価値
第三・第四世代のオールドカマーや、ニューカマーの韓国籍者は、日本語と韓国語のバイリンガル人材として、韓国ビジネス・インバウンド対応・通訳・教育などの分野で独自の貢献を果たしています。グローバル企業の韓国事業展開で重要な人材プールです。
就職差別・本名使用などの課題
就職差別・本名使用、参政権、社会保障制度における歴史的経緯への対応など固有の課題が残り、各自治体の人権施策の重要対象となっています。受入企業も多文化共生の観点から、適切な雇用管理が求められます。
よくある質問(FAQ)
Q. 在日韓国・朝鮮人とニューカマー韓国人の違いは?
A. 在日韓国・朝鮮人は戦前から日本に居住する朝鮮半島出身者の子孫(オールドカマー=特別永住者)と、1980年代以降に新規来日した韓国籍者(ニューカマー)の両方を含みます。在留資格・歴史的経緯・生活様式が大きく異なる二極構造です。
2025年6月末で特別永住者は270,292人(韓国・朝鮮籍が約99%)、中長期在留者の韓国籍は約409,584人(大半がニューカマー)と、規模ではニューカマーが上回るようになっています。
Q. 特別永住者と一般の永住者の違いは何ですか?
A. 特別永住者は入管特例法に基づく在日韓国・朝鮮人・台湾系オールドカマー向けの特別な在留資格、一般永住者は通常の永住許可を受けた中長期在留者です。退去強制事由が内乱・外患・国交関連等に限定されるなど、特別永住者の方が処遇が手厚くなっています。
両者とも就労制限はありませんが、特別永住者は歴史的経緯を踏まえた特別な法的地位を持ち、再入国手続も簡素化されています。証明書も「特別永住者証明書」と「在留カード」で異なります。
Q. なぜ特別永住者は減少しているのですか?
A. 帰化(日本国籍取得、戦後累計で40万人以上)、日本人との国際結婚(子は日本国籍を取得することが多い)、少子高齢化が主な要因です。1991年の約69万人から2025年6月末で270,292人へと大きく減少しています。
第三・第四世代では日本人と変わらない生活を送る人が大多数で、世代を経るごとに日本社会への統合が深まる傾向です。長期的には特別永住者人口の継続的縮小が予想されます。
Q. コリアタウンはどう発展していますか?
A. 大阪・鶴橋と東京・新大久保が代表的なコリアタウンで、2000年代以降の韓流ブーム・K-POPブームを経て、訪日インバウンドを多く集める観光地として変貌しています。
戦後の在日コリアン商業集積地としての歴史を継承しつつ、ニューカマー起業家による韓国コスメ・K-POP関連・韓国料理店が新たに加わり、世代横断的な韓国文化発信拠点となっています。
Q. 育成就労制度は在日韓国・朝鮮人にも影響しますか?
A. 育成就労制度(2027年4月1日施行予定)は新規来日労働者向けで、特別永住者・永住者は直接の対象外です。就労制限のない地位が引き続き維持されます。
新規来日する韓国籍ニューカマーが特定技能等で就労する場合は対象となりますが、韓国は特定技能MOC未締結のため、技人国・経営管理・留学などのルートが中心となります。育成就労制度施行による直接的影響は限定的です。