用語集 送出国・国際関連

在日ブラジル人ざいにちぶらじるじん

在日ブラジル人とは?

在日ブラジル人とは、日本に在留するブラジル国籍を持つ人々の総称で、その大半は1908年(明治41年)以降にブラジルへ移住した日本人の子孫である「日系ブラジル人」とその家族で構成されています。

1990年6月施行の改正入管法により、日系2世には「日本人の配偶者等」、日系3世とその家族には就労制限のない「定住者」の在留資格が付与されたことで、1990年代以降に「出稼ぎ」目的での来日が急増しました。

2024年末で在日ブラジル人は約211,907人で、国籍別では中国・ベトナム・韓国・フィリピン・ネパールに次いで第6位の規模です。在留資格の構成は2024年6月時点で約96%が「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」のいずれかで、すでに「出稼ぎ」段階を超えて定住化が進んだ集団となっています。

育成就労制度(2027年4月1日施行予定)は新規来日労働者向けで、定住者として就労する在日ブラジル人は基本的に直接の対象外となります。

在日ブラジル人の歴史と人口変動

1989年入管法改正と1990年代の出稼ぎブーム

1989年(平成元年)の入管法改正、1990年6月施行により定住者資格が新設されて以降、在日ブラジル人は1990年の約5万6,429人から1995年には約17万6,440人へ急増しました。自動車・電機・食品工業の集積地で派遣・請負労働者として働く層が中核を占め、2007年末には約31.7万人とピークを迎えました。

リーマンショックと帰国支援事業

2008年9月のリーマンショック後、製造業の派遣切りが集中し、厚生労働省は2009年4月〜2010年3月にかけて「日系人離職者に対する帰国支援事業」を実施しました(本人30万円・扶養家族20万円、再入国制限付き)。約2万3千人が帰国し、在日ブラジル人数は2015年頃まで減少を続けました。

2013年の再入国制限緩和と再増加

2013年に再入国制限が緩和され(1年以上の雇用契約を条件に認可)、2018年からは再増加に転じています。2024年末で約211,907人と、前年比+67人とほぼ横ばいながらも安定した規模を維持しています。

日系4世受入制度の創設

2018年7月に日系4世受入制度が開始されました。年齢18〜30歳、日本語要件等があるものの、受入は伸び悩み、要件緩和の検討が進んでいます。日系コミュニティの世代継承の重要施策として位置づけられています。

在日ブラジル人の基本情報と最新統計

項目内容
2024年末人数約211,907人(国別6位)
主な在留資格定住者・永住者・日本人の配偶者等(約96%)
制度的根拠1989年入管法改正(1990年6月1日施行)
ピーク時人数2007年末約31.7万人
主な集住地域東海地方約55%、関東地方約25%
都道府県別最大愛知県(約6万人)、静岡県(約3万人)
群馬県大泉町2025年3月末で外国人住民9,051人(21.69%)・うちブラジル人4,840人(11.6%)
主要産業自動車・電機・食品工場の派遣・請負労働
母語ポルトガル語(第二・第三世代は日本語バイリンガル増加)

在日ブラジル人は日系3世までの定住者資格を持つため就労制限なく、製造業のサプライチェーンに組み込まれた重要な労働力となっています。群馬県大泉町は「日本のブラジル」と呼ばれ、外国人住民比率21.69%(うちブラジル人11.6%)と国内最大級の集住地域を形成しています。

日本社会との関係と地域コミュニティ

外国人集住都市会議

2001年に浜松市の呼びかけで「外国人集住都市会議」が設立され、ブラジル人を中心とするニューカマー施策のモデルとなりました。浜松市は2025年度から「第3次浜松市多文化共生都市ビジョン」を運用中で、欧州評議会の「インターカルチュラル・シティ」プログラムにも加盟しています。

主要集住地域とブラジリアンタウン

大泉町、太田市、浜松市、豊田市、豊橋市、小牧市、四日市市、美濃加茂市、可児市、大垣市などにブラジル人スーパー・レストラン・カトリック教会等が集積し「ブラジリアンタウン」を形成しています。浜松市と名古屋市にはブラジル総領事館が設置されており、領事サービス・文化交流の拠点となっています。

ブラジル人学校と教育課題

ブラジル人学校は全国に約80校、うち各種学校認可は11校のみです。月数万円の授業料負担と日本語習得不足から「日本語も母語も中途半端(ダブルリミテッド)」と呼ばれる状態が課題となっています。日本の公立学校に通う子どもの不就学・日本語指導が必要な児童生徒数は文部科学省調査で増加傾向にあり、2024年度時点でも全国最多クラスを愛知・静岡が占めます。

第三世代の活躍

永住者比率の上昇と帰化件数の漸増、進学・就職する第三世代の登場により、エスニック・ビジネスの担い手や日系企業の通訳・コーディネーター職として活躍する例も増加しています。日本語・ポルトガル語のバイリンガル人材として、グローバル業務での独自の貢献が期待されています。

育成就労制度との関係

直接対象外だが間接的に関係

育成就労制度(2027年4月1日施行予定)は技能実習に代わる新規来日労働者向けの制度で、定住者として就労する在日ブラジル人は基本的に直接の対象外です。在日ブラジル人は就労制限のない在留資格を維持し、引き続き安定的に就労できます。

複合構造の現場

企業が技能実習生・育成就労外国人と定住者ブラジル人を同一現場で雇用する複合構造は、これまで以上に一般化する見込みです。受入企業は異なる在留資格を持つ外国人材を統合的に管理するノウハウが必要となります。

永住者の在留資格取消し要件

2024年6月公布の改正入管法・育成就労法には永住者の在留資格取消し要件追加が含まれ、永住者・定住者にも影響する規定が組み込まれています。在日ブラジル人を含む長期定着型外国人にも一定の影響があり、注意が必要です。

監理支援機関許可申請の開始

監理支援機関の許可申請は2026年4月15日から受付開始済で、育成就労施行に向けた制度的準備が進行中です。在日ブラジル人を雇用する企業も、育成就労との併用を視野に入れた採用戦略を検討する時期に入っています。

よくある質問(FAQ)

Q. なぜ在日ブラジル人が多いのですか?

A. 1908年以降のブラジル日本人移民が世界最大の日系人コミュニティを形成しており、1989年入管法改正で日系3世まで定住者資格が付与されたことから、1990年代に出稼ぎブームが拡大しました。2007年末には約31.7万人とピークを迎えました。

リーマンショック後の帰国支援事業(2009-2010年)で大幅減少しましたが、2018年から再増加に転じ、2024年末で約21.2万人と安定した規模を維持しています。製造業集積地での就労機会が継続的な吸引力となっています。

Q. 在日ブラジル人を採用するメリットは?

A. 就労制限のない定住者・永住者資格を持つため、職種・業種を問わず採用でき、技能実習・特定技能のような分野制限がありません。長期定着型の人材として、安定した雇用関係を構築できます。

第二・第三世代には日本語・ポルトガル語のバイリンガル人材も多く、グローバル業務や貿易関連、観光分野での独自の貢献が可能です。既存のブラジル人コミュニティを通じた採用ネットワークも活用できます。

Q. 群馬県大泉町はどんな地域ですか?

A. 群馬県大泉町は2025年3月末で総人口41,734人中、外国人住民が9,051人(21.69%)・うちブラジル人が4,840人(11.6%)と「日本のブラジル」と呼ばれる状況が続いています。国内最大級の外国人比率を持つ自治体です。

スバル自動車工場や電機工場を中心とした就労機会と、長年のブラジル人コミュニティが定着しています。ブラジル人スーパー・レストラン・カトリック教会などが集積し、独特の多文化共生空間を形成しています。

Q. ブラジル人学校の課題は何ですか?

A. 全国に約80校、各種学校認可は11校のみで、月数万円の授業料負担が家計を圧迫しています。日本語習得不足から「ダブルリミテッド(日本語も母語も中途半端)」と呼ばれる状態が課題となっています。

日本の公立学校に通う子の不就学・日本語指導が必要な児童生徒数も増加傾向にあり、第二・第三世代の教育保障が継続的な政策課題です。文部科学省・自治体・受入企業の連携が重要となります。

Q. 育成就労制度はブラジル人にも影響しますか?

A. 育成就労制度(2027年4月1日施行予定)は新規来日労働者向けで、定住者として就労する在日ブラジル人は直接の対象外です。ただし、2024年6月公布の改正入管法には永住者の在留資格取消し要件追加が含まれており、間接的な影響があります。

企業が技能実習生・育成就労外国人と定住者ブラジル人を同一現場で雇用する複合構造は今後一般化する見込みで、受入企業は統合的な外国人材管理ノウハウが必要となります。

参考資料

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