用語集 技能実習関連

技能実習適正化法ぎのうじっしゅうてきせいかほう

技能実習適正化法とは?

技能実習適正化法とは、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(平成28年法律第89号)の通称です。

正式には「技能実習法」と呼ばれ、2016年11月28日公布・2017年11月1日施行により、それまで入管法下で運用されていた技能実習制度を独立した法律として抜本的に整備しました。

技能実習計画の認定制、監理団体の許可制、外国人技能実習機構(OTIT)の設立、技能実習生の保護規定、罰則等を包括的に定めており、国際貢献としての技能移転と実習生の人権保護の両立を目指しています。

技能実習制度自体は2024年6月の法改正により段階的に廃止される方向で、2027年4月1日施行予定の「育成就労法」へと抜本的に改められます。施行後は3年程度の移行期間(〜2030年頃)に技能実習制度と育成就労制度が併存することとなり、技能実習法の役割は徐々に縮小していく見通しです。

制度の背景

技能実習制度は1993年の創設以来、長らく入管法を根拠として運用されてきましたが、実習生の在留資格が当初「研修」であったため労働者保護法制の適用を受けず、賃金未払・長時間労働・暴力事件など深刻な人権侵害問題が多発していました。

2009年の入管法改正で在留資格「技能実習」が統一的に整備され、2017年の技能実習法施行により、技能実習制度の本格的な法的基盤が確立しました。国際貢献を目的としつつも、実習生の保護を法律の中核に据えた点が大きな特徴です。

技能実習法の主な内容

① 基本理念と目的

第1条(目的)技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図り、人材育成を通じた開発途上地域等への技能等の移転による国際協力の推進
第3条(基本理念)①技能実習は技能等の適正な修得・習熟・熟達のためのもの、②技能実習生が専念できる保護体制の確立、③労働力の需給調整の手段としては行われてはならない
国等の責務国・地方公共団体・関係団体に技能実習の適正実施と実習生保護の責務を明記

特に第3条の「労働力の需給調整の手段としては行われてはならない」という基本理念は、技能実習制度が「国際貢献」を目的とする制度であることを強く宣言しています。

この理念が2027年4月施行予定の育成就労制度では「人材確保」を目的に含む形に転換される点で、制度の性格が大きく変わります。

② 技能実習計画の認定制

認定権者外国人技能実習機構(OTITが出入国在留管理庁長官及び厚生労働大臣の委任を受けて審査)
認定対象実習実施者が技能実習生ごとに作成する技能実習計画
記載事項10項目(実習生情報・実習区分・目標・内容・期間・指導体制・待遇等)
業務構成必須業務50%以上・関連業務50%以下・周辺業務3分の1以下・安全衛生業務10%以上
手数料計画1件3,900円

③ 監理団体の許可制

許可権者外国人技能実習機構(厚生労働大臣・出入国在留管理庁長官から委任)
許可区分一般監理事業(3号実習生の監理可)/特定監理事業(1号・2号のみ)
主な要件非営利の団体(事業協同組合・商工会議所・商工会・公益社団法人等)
役割実習実施者の監査(年1回以上)、技能実習生からの相談対応、実習計画作成指導等

④ 外国人技能実習機構(OTIT)の設立

設立根拠技能実習法第57条以下
主な業務技能実習計画の認定、監理団体の許可、実地検査、技能実習生への相談援助、申請・届出の受付
実地検査の頻度監理団体:年1回、実習実施者:3年に1回
違反時の措置改善勧告書(法令違反)、改善指導書(改善希望事項)、改善命令、認定・許可取消

⑤ 罰則規定

人権侵害行為技能実習生への暴力・脅迫・偽計等、旅券・在留カード取り上げ、意に反する貯金強制など一連の行為を禁止。違反時は罰金または拘禁刑
不正な認定取得虚偽の申請による認定取得は6ヶ月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金
違約金契約実習生・家族への違約金契約、保証金徴収等を禁止。違反は1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金
名義貸し認定された計画・許可の名義貸しを禁止

立場別の実務ポイント

実習実施者(受入企業)が押さえるべきポイント

技能実習計画の認定取得

技能実習生ごとに計画を作成しOTIT認定を受けなければ、実習を開始できません。

申請時期は実習開始6ヶ月前から、遅くとも4ヶ月前までです。監理団体の作成指導者による指導が必須で、計画の業務構成比率(必須50%以上等)の遵守が重要です。

技能実習責任者・指導員・生活指導員の選任

事業所ごとに技能実習責任者(3年以内講習修了の常勤)、技能実習指導員(5年以上の実務経験)、生活指導員を選任します。体制要件は厳格で、選任済みでない場合は認定されません。

実地検査への対応

OTITによる3年に1回程度の実地検査への対応が必要です。帳簿類・雇用契約書・賃金台帳・実習日誌等の整備と保管が平時からの管理ポイントとなります。違反が発見されると改善勧告書・改善命令・認定取消の段階的処分につながります。

監理団体が果たす役割

実習実施者の指導・監督

技能実習計画の作成指導、3ヶ月に1回以上の監査、実習生からの相談対応、法令違反の通報などが監理団体の主要業務です。許可取消のリスクが高く、コンプライアンス体制の整備が経営の生命線です。

一般監理事業と特定監理事業

3号実習生を監理するには「一般監理事業」の許可が必要で、優良要件を満たすことが前提となります。監理団体と実習実施者の双方が優良認定を受けると人数枠が最大6倍に拡大します。

実習生の権利保護

技能実習生からの相談窓口運営、母国語対応体制、賃金・労働条件の監視が重要な責任です。実習生からの重大な通報は出入国在留管理庁・労働基準監督署にも連携する義務があります。

類似制度・法律との比較

技能実習法と関連する法律として、入管法・育成就労法(2027年施行予定)・労働基準法・労働安全衛生法などがあります。それぞれの法律が技能実習制度の異なる側面を規律しており、複数法令の同時遵守が受入実務には欠かせません。

法律対象特徴
技能実習法(2017年施行)技能実習制度全般計画認定・監理団体許可・OTIT設立・実習生保護の独立法
育成就労法(2027年4月施行予定)新・育成就労制度技能実習法を改め、人材育成と人材確保の両立を目的とする
入管法(出入国管理及び難民認定法)在留資格全般技能実習の在留資格(技能実習1号・2号・3号)を規定
労働基準法・労働安全衛生法労働者一般技能実習生にも適用される労働関係法令
最低賃金法労働者一般技能実習生の賃金に地域別最低賃金が適用

2027年4月施行予定の育成就労法は、技能実習法の後継として位置付けられます。目的が「国際貢献」から「特定技能1号水準の人材育成+人材確保」へと転換され、制度の性格が根本的に変わります。

法律の枠組み(計画認定制・監理支援機関の許可制・実習生保護)は類似しますが、試験要件の必須化、転籍の柔軟化、日本語要件の段階的強化などが新制度の特徴です。

よくある質問

Q. 技能実習法はいつ廃止されるのですか?

A. 2024年6月の法改正により、技能実習法は育成就労法に改められることが決定しました。

施行日は2027年4月1日で、施行後は3年程度の移行期間(〜2030年頃)に技能実習制度と育成就労制度が併存します。

2027年4月以降は新規の技能実習計画認定申請は受け付けられなくなりますが、既に認定された計画の下で実習中の外国人には経過措置で従来制度が適用される見込みです。

Q. 技能実習法に違反するとどのような処分を受けますか?

A. 違反の種類と重大性により、①改善指導書・改善勧告書、②改善命令、③認定取消・監理許可取消、④刑事罰(罰金または拘禁刑)の段階的処分があります。

人権侵害行為(暴力・脅迫・パスポート取り上げ等)や保証金徴収・違約金契約の違反には6ヶ月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金、違約金契約は1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金が科されます。

法人両罰規定により法人にも罰金が科されます。

Q. OTIT(外国人技能実習機構)はどのような役割を果たしますか?

A. OTITは技能実習法第57条以下の規定に基づき2017年1月に設立された認可法人で、本部と13地方事務所・8支所を擁する全国組織です。

主な業務は①技能実習計画の認定、②監理団体の許可、③実習実施者・監理団体への実地検査(監理団体年1回、実習実施者3年に1回)、④技能実習生への母国語相談支援、⑤各種申請・届出の受付です。

育成就労制度施行後は、新設される外国人育成就労機構(仮称)が同様の機能を担う予定です。

Q. 2017年の技能実習法施行で何が大きく変わりましたか?

A. ①技能実習の在留資格がより明確化し3号(4〜5年目)が新設、②技能実習計画の認定制が導入、③監理団体が届出制から許可制に、④OTITの新設による実地検査の強化、⑤技能実習責任者等の指導体制の義務付け、⑥人権侵害行為の明文的禁止と罰則強化、⑦優良認定による人数枠拡大の仕組み導入などが主要な変更点です。

申請書類の量も旧制度の3〜4倍に増加し、実習実施者・監理団体双方のコンプライアンス負担が大幅に増しました。

Q. 技能実習法と入管法はどのような関係にありますか?

A. 入管法は外国人の在留資格全般(技能実習1号・2号・3号を含む)と出入国管理を規定し、技能実習法は技能実習制度の具体的運用(計画認定・監理団体・実習生保護)を規定します。

両法は補完関係にあり、技能実習生の在留は両法の同時適用を受けます。

2024年の改正では、入管法の在留資格「技能実習」が「育成就労」に変更される形で、両法の一体的な改正が行われました。

参考資料

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