用語集 在留資格・ビザ関連

公用ビザこうようびざ

公用ビザとは?

公用ビザとは、出入国在留管理庁が定める在留資格「公用」の通称で、日本国政府が承認した外国政府または国際機関の公務に従事する外国人およびその家族に付与される資格です。

外交官本人が対象となる「外交」ビザとは異なり、大使館・領事館の事務職員・技術職員・役務職員、および国際機関の職員が主な対象となります。

在留期間は5年・3年・1年・3月・30日・15日のいずれかで、任務の種類・派遣期間に応じて決定されます。申請は通常の入管ルートではなく、駐日外国公館から外務省を経由する特別な手続きで行われる点が特徴です。

制度の背景

公用ビザは、日本と外国政府・国際機関の円滑な公的関係を支えるための支援要員を広く受け入れる制度として設けられています。外交ビザと一体として運用される姉妹資格の関係にあり、両者で外交・公的活動全体をカバーします。

外交ビザが外交官個人に対する特別な特権・免除を前提とするのに対し、公用ビザは職員として公務に従事する者を想定しているため、特権・免除の範囲も限定的となります。ただし、外国政府から派遣された職員だけでなく日本国内で雇用された職員も公用ビザの対象となる点は特徴的です。

主な種類と要件

公用ビザの対象者は大きく「外交使節団・領事機関の職員」「国際機関の職員」「公務のために派遣される者」の3つに分類されます。いずれも公務性と派遣元の正当性が審査のポイントとなります。

① 外交使節団・領事機関の職員

対象となる職種大使館・領事館の事務職員(文書・会計・通訳等)、技術職員、役務職員(警備・運転手・調理・清掃等)
在留期間5年・3年・1年・3月・30日・15日
主な取得要件日本国政府が承認した外国政府の外交使節団・領事機関に雇用されていること

最も典型的な公用ビザ対象者で、在日外国公館の運営を支える職員が該当します。

通訳・会計・文書作成を担う事務職員、情報機器の管理等を担う技術職員、警備・運転・調理・清掃などを担う役務職員に分かれ、それぞれ公館の日常業務を支えます。本国から派遣された職員日本で現地採用された職員のいずれも対象となります。

② 国際機関の職員

対象となる職種日本国政府が承認した国際機関の本部・支部に勤務する職員
在留期間5年・3年・1年・3月・30日・15日
主な取得要件国際連合およびその専門機関等、日本が加盟する国際条約に基づく機関の職員であること

日本に本部を置く国際機関(例:国連大学UNHCR駐日事務所等)や、国際機関の支部で勤務する職員が対象です。

国連事務総長・事務次長などの最高幹部は外交ビザの対象となりますが、一般職員は公用ビザで受け入れられます。国際機関の性質上、長期的に勤務する職員が多く、5年の長期在留期間が付与されるケースも一般的です。

③ 公務のために派遣される者

対象となる職種外国政府・国際機関から公務のために日本国政府に派遣された者、およびその同行者
在留期間派遣期間に応じて5年・3年・1年・3月・30日・15日
主な取得要件日本国政府との公的な業務遂行を目的とした派遣であること

特定の公的プロジェクト・国際会議・調査団などで来日する外国政府関係者が対象です。

短期の来日の場合は30日・15日の短期の在留期間が付与されることも多く、柔軟な期間設定が可能です。事前に日本国政府との公的協議があることが前提となります。

立場別の実務ポイント

公用ビザも外交ルートで申請されるため、駐日公館・外務省との連携が不可欠です。派遣国・公館・日本側の受入担当者でそれぞれ押さえておくべき実務ポイントがあります。

派遣国・駐日公館

公用旅券の準備

公用ビザの申請には公用旅券または外交旅券の所持が原則です。一般旅券では公用ビザの申請が受理されないケースがあるため、派遣国の外務省等で公務渡航用の旅券を事前に発給しておきます。

任命通告の手続き

駐日公館は外務省儀典官室に対し、新任職員の任命通告を行います。通告書には職員の氏名・職位・業務内容・派遣期間・家族構成を明記し、公館身分証明書の発給申請を同時に行うことが一般的です。

日本側の受入部局

外務省経由の審査

公用ビザの審査は外務省が窓口となり、法務省・出入国在留管理庁との連携で処理されます。通常の在留資格認定証明書の交付申請は不要で、外交ルートを通じた通告と査証申請で完結します。

現地採用職員への対応

現地採用職員(日本国内で雇用される職員)も公用ビザの対象となりますが、派遣職員と異なり日本の在留資格を変更する形で取得するケースが多くなります。雇用契約書・給与証明・公館の雇用証明などを用意し、外務省経由で手続きを行います。

類似制度との比較

外交関連の在留資格としては「外交」と「公用」があり、対象者・手続き・特権の範囲で明確に区分されます。さらに公用旅券所持者でも観光目的の場合は短期滞在ビザが適用されます。

比較項目公用外交短期滞在
対象公館の事務・技術・役務職員、国際機関職員大使・領事等の外交官・高官観光・会議等の短期訪問者
在留期間5年・3年・1年・3月・30日・15日外交活動期間(During Mission)90日・30日・15日
特権・免除限定的にあり広範にあり(ウィーン条約)なし
申請ルート駐日公館→外務省→入管駐日公館→外務省→入管在外公館で査証申請

公用ビザは公館の職員・国際機関職員、外交ビザは大使・領事等の外交官本人が対象という違いがあります。

例えば大使は外交、大使館の運転手・事務員・警備員は公用が適用されます。公用旅券を持っていても観光目的で来日する場合は、公用ではなく短期滞在ビザが発給されます。

よくある質問

Q. 公用ビザで民間企業の仕事はできますか?

A. 公用ビザで認められるのは、外国政府または国際機関の公務に関する活動のみです。民間企業での就労や副業は原則として認められません。

資格外活動許可の取得も公用ビザでは想定されておらず、副収入を得るためには別の在留資格への変更が必要になります。任務に専念する前提の在留資格である点を理解しておくことが重要です。

Q. 公用ビザ保有者の家族も同じビザで来日できますか?

A. 同一世帯に属する家族は公用ビザの対象となります。外交ビザ・公用ビザでは他の在留資格と異なり内縁の配偶者・同性婚の配偶者も家族として認められる特例があります。

家族の就労については原則認められませんが、二国間協定がある場合は一定範囲で就労可能となるケースがあります。協定の有無は国ごとに異なるため、具体的には駐日公館を通じて外務省に確認してください。

Q. 任期終了後も日本に残ることはできますか?

A. 公用の任期が終了した時点で公用ビザの根拠が失われるため、在留資格を別のものに変更するか出国する必要があります。多くの場合、任期満了日から相当期間内の処理が求められます。

民間就労を希望する場合は「技術・人文知識・国際業務」等への変更、家族と引き続き滞在する場合は配偶者の在留資格を活用するなど、選択肢はケースによって異なります。外交・公用ビザからの永住申請には独自の要件があるため、長期滞在を検討する場合は早めに準備を始めることが重要です。

Q. 公用ビザでも外交特権はありますか?

A. 公用ビザ保有者の特権・免除は、業務の性質によって範囲が異なります。事務職員・技術職員は公務に関する行為についての免除、役務職員(運転手・警備等)はさらに限定的な免除となります。

外交関係に関するウィーン条約では、階層に応じた特権の範囲が定められており、外交官本人と完全に同等の免除が認められるわけではありません。具体的な免除範囲は職位と業務内容によって個別に判断されるため、駐日公館の法務担当者に確認することが推奨されます。

参考資料

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