用語集 在留資格・ビザ関連

医療ビザいりょうびざ

医療ビザとは?

医療ビザとは、出入国在留管理庁が定める在留資格「医療」の通称で、日本の医療系国家資格を持つ外国人が、その資格の範囲内で日本の医療機関において医療業務に従事するために付与される就労系の在留資格です。医師・歯科医師・看護師・薬剤師など、法令に基づく医療資格を前提とする点が最大の特徴です。

在留期間は5年・3年・1年・3月のいずれかが付与されます。外国で取得した医療資格だけでは要件を満たさず、日本の国家資格を取得していることが必須条件です。

治療目的で来日する外国人患者に発給される「医療滞在ビザ」(特定活動)とは別の制度である点にも注意が必要です。

制度の背景・法的根拠

医療ビザの法的根拠は出入国管理及び難民認定法(入管法)別表第一の二の表に規定されており、「医師、歯科医師その他法律上資格を有する者が行うこととされている医療に係る業務に従事する活動」と定義されています。日本の医療現場における人材需要と、国際的な医療交流の促進を背景に設けられた在留資格です。

対象となる医療資格は14種類に限定されており、日本の法令で業務独占が定められている医療職が中心です。報酬については「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上」であることが求められ、審査期間は一般的に1〜2か月程度とされています。

医療人材の国際的流動性を確保する一方、日本の医療の質を担保するための厳格な資格要件が課されています。

主な種類と要件

医療ビザの対象となる職種は14種類あり、大きく「医師・歯科医師系」「看護・薬剤系」「医療技術系」に分けられます。それぞれ求められる日本の国家資格と業務内容が異なるため、申請前に自分の資格がどの区分に該当するかを確認することが重要です。

① 医師・歯科医師

対象となる職種医師・歯科医師
在留期間5年・3年・1年・3月
主な取得要件日本の医師免許または歯科医師免許を取得していること。病院・診療所で日本人と同等額以上の報酬で勤務

日本の医師国家試験または歯科医師国家試験に合格し、免許を取得していることが必須です。

外国の医師免許だけでは認められず、厚生労働大臣の認定を経て日本の国家試験に合格する必要があります。研修医として臨床経験を積む場合もこの在留資格で対応可能です。

② 看護師・薬剤師・助産師など

対象となる職種薬剤師・保健師・助産師・看護師・准看護師・歯科衛生士
在留期間5年・3年・1年・3月
主な取得要件該当する日本の国家資格を取得していること。准看護師は免許取得後4年以内の研修としての業務に限る

看護師・薬剤師・助産師などは日本の国家資格取得が必須です。

准看護師については、免許取得後4年以内の期間中に研修として業務を行う場合に限り対象となる点が特徴的です。この4年間の制限は在留資格「医療」の条文で明示されており、期間を超えると他の在留資格への変更が必要になります。

③ 医療技術職

対象となる職種診療放射線技師・理学療法士・作業療法士・視能訓練士・臨床工学技士・義肢装具士
在留期間5年・3年・1年・3月
主な取得要件該当する日本の国家資格を取得していること。医療機関または関連施設での業務従事が前提

医療技術職も日本の国家資格取得が前提です。

リハビリテーション・放射線検査・医療機器操作など専門性の高い業務を担当するため、業務独占資格としての性格が強い職種が対象となります。EPA(経済連携協定)ルートで来日する看護師・介護福祉士候補者とは別の枠組みである点に注意してください。

立場別の実務ポイント

医療ビザは資格要件が明確な一方、書類面や報酬面での立証が審査で重視されます。申請する医療従事者本人・受入医療機関・人事担当者それぞれに押さえておくべきポイントがあります。

申請する医療従事者本人

国家資格免状の準備

日本の医師免許証・看護師免許証など、国家資格の免状または登録証明書の写しを用意します。外国の医療資格しか持たない段階では申請できないため、まずは日本の国家試験受験に向けた予備試験や認定手続きを進める必要があります。

職歴・専門性の整理

臨床経験・専門分野・論文実績などを整理しておくと、審査や採用時に有利に働きます。特定の診療科や研究領域を持つ場合は、受入医療機関との業務内容のマッチングを明確に示すことが重要です。

受入医療機関

医療機関の概要資料の準備

病院・診療所の開設届・定款・従業員数・診療科目などを示す資料を用意します。医療法人か個人経営か、病床規模はどの程度かなど、医療機関としての実態を客観的に立証することが必要です。

雇用契約書の整備

雇用契約書には業務内容・勤務時間・報酬額・契約期間を具体的に明記します。報酬は日本人医療従事者と同等額以上であることが必須で、同職種の既存スタッフの給与水準を下回ると不許可になるリスクがあります。

類似制度との比較

「医療ビザ」という言葉は複数の制度で使われるため、目的によって適用される在留資格が異なります。特に外国人患者の治療目的で来日する場合の医療滞在ビザとは別制度であることに注意が必要です。

比較項目医療(就労)医療滞在(特定活動25号)短期滞在
目的医療従事者として就労日本での治療を受ける90日以内の治療・健診
対象者日本の医療国家資格保持者外国人患者・同伴者外国人患者
在留期間5年・3年・1年・3月6月・1年(更新可)90日・30日・15日
報酬日本人と同等額以上活動に報酬なし活動に報酬なし

医療ビザ(在留資格「医療」)は医療従事者の就労を目的とし、医療滞在ビザ(特定活動25号)は外国人患者の治療受診を目的とする、全く異なる制度です。

前者は日本の国家資格が必須、後者は日本の受入医療機関との治療計画があることが要件となります。

よくある質問

Q. 外国の医師免許だけで医療ビザは取れますか?

A. 外国の医師免許だけでは医療ビザを取得できません。医療ビザは日本の国家資格を取得していることが前提条件であり、外国の免許は原則として認められません。

外国で医学校を卒業した場合は、厚生労働大臣の認定を受けた上で日本の医師国家試験を受験する流れになります。資格取得には時間がかかるため、長期的な計画を立てて臨むことが必要です。

Q. 准看護師として医療ビザで働けますか?

A. 日本の准看護師免許を取得していれば可能ですが、免許取得後4年以内の研修としての業務に限定されます。この期間制限は入管法の条文で明示された特別な規定です。

4年を超えて働き続けたい場合は、正看護師の資格を取得して在留資格を継続するか、他の在留資格への変更が必要になります。准看護師として来日する外国人は、4年間のうちに正看護師へのステップアップを計画することが一般的です。

Q. EPA看護師と医療ビザは同じですか?

A. 別の制度です。EPA(経済連携協定)に基づく看護師・介護福祉士候補者は、「特定活動」の在留資格で来日し、日本の国家資格取得を目指す研修生として扱われます。

EPAルートで来日した候補者が日本の看護師国家試験に合格した場合、改めて在留資格「医療」への変更を申請することができます。資格取得前後で在留資格が切り替わる点を理解しておくことが重要です。

Q. 家族を日本に呼び寄せられますか?

A. 配偶者と子を「家族滞在」の在留資格で呼び寄せることができます。医療職は比較的報酬水準が安定しているため、扶養能力の証明はほかの就労資格より通りやすい傾向にあります。

家族滞在の在留資格では原則として就労できませんが、資格外活動許可を取得すれば週28時間以内のアルバイトが可能になります。長期的には永住許可や帰化の道もあり、医療従事者は専門職として永住申請の要件を満たしやすい職種とされています。

参考資料

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