日本人の配偶者等ビザとは?
日本人の配偶者等ビザとは、在留資格「日本人の配偶者等」を取得するためのビザです。
日本人と婚姻関係にある外国人の配偶者、または日本人の実子・特別養子が対象となります。入管法別表第二に定められた「身分・地位に基づく在留資格」のひとつであり、就労に関する活動制限がなく、あらゆる職種で働くことができる点が最大の特徴です。
就労系在留資格(技術・人文知識・国際業務など)が職種・学歴・実務経験に関する要件を設けているのに対し、日本人の配偶者等ビザは日本人との身分関係が基礎となるため、職種や学歴に関係なく取得・就労が可能です。
ただし、婚姻の実態が失われた場合(離婚・偽装婚姻など)は在留資格の取消しや更新不許可となる可能性があります。
制度の背景
在留資格「日本人の配偶者等」は入管法別表第二に規定されており、「日本人の配偶者若しくは特別養子又は日本人の子として出生した者」が対象と定められています。
近年はグローバル化の進展に伴い国際結婚が増加しており、日本人の配偶者等として在留する外国人は安定的に推移している一方で、婚姻の実態を伴わないいわゆる「偽装婚姻」を利用した不正取得も問題視されており、審査においては婚姻の実態確認(同居状況・交流の証拠など)が厳密に行われます。
2024年以降は出入国在留管理庁の審査が従来よりも厳格化される傾向にあるため、申請時には実態を示す書類を十分に揃えることが重要です。
主な種類と要件
① 日本人の配偶者(夫または妻)
| 対象者 | 日本人と法律上の婚姻関係にある外国人 |
|---|---|
| 在留期間 | 6ヶ月・1年・3年・5年(審査による) |
| 就労制限 | なし(あらゆる職種に従事可能) |
| 主な申請書類 | 配偶者(日本人)の戸籍謄本・婚姻証明書・同居を証する書類・日本人配偶者の住民税課税証明書など |
最も一般的な類型です。法律上の婚姻(婚姻届の受理)が必要であり、内縁関係や事実婚は認められません。
審査では婚姻の実態が重視されるため、同居状況・交流の写真・通話履歴・日本人配偶者の収入証明など、実態を示す書類を充実させることが審査通過のポイントとなります。
② 日本人の実子・特別養子
| 対象者 | 日本人を父または母として生まれた外国籍の実子、または特別養子縁組により日本人の子となった者 |
|---|---|
| 在留期間 | 6ヶ月・1年・3年・5年(審査による) |
| 就労制限 | なし |
| 主な申請書類 | 日本人親の戸籍謄本・出生証明書など親子関係を証明する書類 |
日本人の実子は、父母の婚姻状況にかかわらず対象となります。なお、日本人を父とする非嫡出子(婚外子)の場合、父からの認知が必要です。
普通養子縁組の子は「日本人の配偶者等」ではなく「定住者」として申請することになります。
立場別の実務ポイント
受入企業向けのポイント
- 就労制限なし・職種の自由度が高い
日本人の配偶者等は就労に関する活動制限がないため、製造・農業・介護・事務・専門職など、あらゆる職種で採用・配置が可能です。採用時の在留カード確認で「就労不可」の記載がないことを確認してください。 - 在留期間の管理
在留期間が有限(最長5年)のため、在留期限前に更新申請が必要です。更新申請は在留期限の3ヶ月前から可能です。在留期限の管理を怠ると不法滞在となるリスクがあるため、採用時に在留期限を確認し、社内で管理することを推奨します。 - 離婚・死別後の在留資格変更に注意
日本人配偶者との離婚・死別があった場合、外国人本人は14日以内に出入国在留管理庁に届出る義務があります。身分関係が失われると在留資格の根拠がなくなるため、継続就労を希望する場合は速やかに他の在留資格(定住者・就労系資格など)への変更手続きが必要です。
外国人本人向けのポイント
- 離婚・死別時の届出義務
日本人配偶者と離婚または死別した場合は、14日以内に出入国在留管理庁へ届け出る義務があります。届出を怠ると在留資格の取消しの対象となる場合があります。 - 永住申請への道筋
婚姻の実体が3年以上継続し、かつ引き続き1年以上日本に在留している場合、永住許可申請の要件を満たします。日本人配偶者の実子は、引き続き1年以上在留することで永住申請が可能です。
類似制度との比較
日本人の配偶者等と、永住者の配偶者等・定住者・技術・人文知識・国際業務は、いずれも外国人の日本在留に関わりますが、要件・就労制限・在留期間・永住申請の要件が異なります。
就労制限のない身分系在留資格のなかでも、対象者の範囲と取得のしやすさに違いがあります。
| 比較項目 | 日本人の配偶者等 | 永住者の配偶者等 | 定住者 | 技術・人文・国際業務 |
|---|---|---|---|---|
| 就労制限 | なし | なし | なし | 指定業務に限定 |
| 在留期間 | 最長5年(更新可) | 最長5年(更新可) | 最長5年(更新可) | 最長5年(更新可) |
| 主な対象者 | 日本人と婚姻した外国人・日本人の実子 | 永住者・特別永住者と婚姻した外国人 | 日系人・難民等 | 専門職従事者 |
| 学歴・職歴要件 | なし | なし | なし | あり |
| 永住申請 | 婚姻3年以上・1年以上在留で可 | 婚姻3年以上・1年以上在留で可 | 5年以上在留で可 | 原則10年以上在留で可 |
日本人の配偶者等と永住者の配偶者等は、いずれも就労制限がなく身分関係を基礎とする在留資格という点で共通していますが、婚姻相手が日本人かどうかによって区別されます。
よくある質問
Q. 日本人の配偶者等ビザを持つ外国人はどんな仕事でも働けますか?
A. はい、就労に関する活動制限がないため、職種・業種を問わずあらゆる仕事に従事することができます。
製造業の現場作業、農業、介護、事務職、専門職など、日本人と同様の働き方が可能です。受入企業としては採用・配置の自由度が高く、扱いやすい在留資格のひとつです。
Q. 日本人配偶者と離婚した場合、在留資格はどうなりますか?
A. 離婚後も直ちに在留資格が失効するわけではありませんが、身分関係(婚姻)が失われたことで在留資格の根拠がなくなります。離婚から14日以内に出入国在留管理庁への届出が必要です。
引き続き日本に在留したい場合は、定住者や就労系在留資格への変更を検討する必要があります。変更申請が認められるかは個別の事情によるため、早めに専門家に相談することを推奨します。
Q. 在留資格「日本人の配偶者等」から永住申請はどのように行いますか?
A. 日本人配偶者の場合、婚姻の実体が3年以上継続し、かつ引き続き1年以上本邦に在留していることが永住許可申請の要件です。
申請には申請書・配偶者(日本人)の戸籍謄本・在職証明・課税証明・納税証明・年金記録などの書類が必要です。申請は地方出入国在留管理局に対して行い、審査期間は概ね4ヶ月〜1年程度です。
Q. 国際結婚で海外に住んでいる場合、日本に来るにはどうすればよいですか?
A. 海外在住の状態から日本に来日する場合は、在留資格認定証明書(COE)の交付申請を日本の地方出入国在留管理局に行い、証明書取得後に現地の日本大使館・領事館でビザを申請します。
申請には日本人配偶者の戸籍謄本・婚姻証明書・質問書など婚姻の実態を示す書類が求められます。審査には通常1〜3ヶ月程度かかります。
参考資料
[1] 出入国在留管理庁「在留資格『日本人の配偶者等』」
[2] 出入国在留管理庁「在留資格『日本人の配偶者等』(配偶者の場合)」
[3] 出入国在留管理庁「在留資格『日本人の配偶者等』(実子・特別養子の場合)」
[4] 外務省「特定査証:日本人の配偶者等」
[5] 出入国在留管理庁「配偶者に関する届出」