ワーキングホリデービザとは?
ワーキングホリデービザとは、二国・地域間の取決めに基づき、相手国・地域の青少年に対して休暇目的の入国と滞在期間中の付随的な就労を認める制度のビザです。
日本では在留資格「特定活動」の告示5号または告示5号の2として付与されます。旅行・異文化体験を主な目的としつつ、その費用を補うために付随的なアルバイト等の就労が認められる点が最大の特徴です。
日本は1980年にオーストラリアと制度を開始し、令和8年(2026年)4月1日現在で32か国・地域と協定を結んでいます。対象年齢は原則18歳以上30歳以下、滞在期間は原則6か月または1年で、協定内容によって一部の国・地域では2年まで認められます。利用は生涯1回限りが原則です。
制度の背景
ワーキングホリデー制度は二国間の取決め(協定や覚書)に基づくため、各国・地域との間で個別に要件が定められています。国際的な青少年交流の促進と相互理解の深化を目的に、休暇と就労を両立できる特別な制度として運用されています。
入国時には法務大臣が個々に指定した活動を記載した指定書が旅券に添付されます。指定書には活動内容・期間・就労制限等が明記されており、雇用主は在留カードと併せて指定書を確認することが必要です。
風俗営業等の業務は一切禁じられており、違反すると退去強制の対象となります。
主な種類と要件
ワーキングホリデービザの要件は国・地域ごとに細部が異なります。ここでは対象者のプロファイル別に「年齢要件」「目的と活動」「資金要件」の3つの観点から主な内容を整理します。
① 対象国・地域と年齢要件
| 対象国・地域 | 韓国・台湾・香港・オーストラリア・ニュージーランド・カナダ・フランス・ドイツ・イギリス・アイルランドなど32か国・地域 |
|---|---|
| 年齢要件(原則) | ビザ申請時の年齢が18歳以上30歳以下 |
| 年齢の例外 | オーストラリア・カナダ・韓国・アイルランドは18歳以上25歳以下(政府当局が認める場合は30歳以下まで) |
日本に来日するワーキングホリデー利用者は、対象国の国籍を有し所定の年齢要件を満たす必要があります。
国ごとに年齢上限が異なるため、自国の協定内容を確認することが出発点となります。また、扶養家族を同伴することは原則できず、単身での来日が基本となります。
② 目的と認められる活動
| 主な目的 | 休暇(旅行・異文化体験)を主目的とし、滞在資金を補うための付随的就労 |
|---|---|
| 認められる活動 | 観光旅行・語学学習・短期研修・アルバイト・短期就労など幅広く可能 |
| 禁止される活動 | 風俗営業等に関連する業務(キャバレー・ナイトクラブ・性風俗店等の受付・清掃・呼び込みを含む) |
ワーキングホリデービザは他の就労ビザと異なり、職種・雇用形態の制限がほぼありません。
単純労働も可能で、労働時間の上限規制もありません。ただし休暇が主目的である趣旨から、フルタイム就労のみを目的とする来日は制度の趣旨に反します。
風俗営業関連の業務は間接業務も含めて全面禁止である点に特に注意が必要です。
③ 資金要件と必要書類
| 資金要件 | 滞在の当初期間に生計を維持できる資金の所持(金額は国・地域ごとに異なる) |
|---|---|
| 主な必要書類 | 申請書・パスポート・証明写真・滞在計画書・帰国時までの旅券・資金証明書(預金残高証明書) |
| 申請先 | 自国にある日本大使館・総領事館 |
資金要件は国・地域ごとに異なりますが、オーストラリアでは約A$5,000(約50〜60万円)、カナダでは最低C$2,500(約25万円)相当の預金残高証明が求められます。
滞在計画書には来日後の活動予定・住居・就労の見込みなどを記載し、休暇を主目的とする趣旨に沿った計画であることを示します。
立場別の実務ポイント
ワーキングホリデービザは申請人本人・日本国内の雇用先の双方で留意すべきポイントがあります。雇用側は在留資格認定証明書を介さず直接雇用するケースが多いため、書類確認の徹底が不可欠です。
ワーキングホリデー利用者本人
滞在計画の具体化
来日後に滞在する地域・予定している旅行先・語学学習の計画・想定する就労内容を具体的に示します。休暇目的であることを明確にしつつ、生活費を賄える就労見込みもバランスよく記載することで、審査がスムーズに進みます。
健康保険・社会保険の加入
3か月以上の滞在となる場合は国民健康保険への加入が必要です。一定時間以上の勤務をする場合は社会保険の加入対象となることもあり、雇用先と確認しておくことが重要です。出国時には住民税・健康保険料の清算も必要となります。
日本の雇用先企業
指定書の確認
ワーキングホリデー利用者を雇用する際は、在留カードに加えて旅券に添付された指定書を必ず確認します。指定書には活動内容・期間・就労制限が明記されており、これに反する雇用は違法となります。風俗営業関連業務は間接業務も含めて禁止されている点に特に注意が必要です。
雇用契約と労働条件
雇用契約は日本人と同等の労働条件で結ぶ必要があり、最低賃金・労働基準法は同様に適用されます。ワーキングホリデーだからといって低賃金での雇用は認められません。短期の雇用が前提となるため、業務の引継ぎや退職手続きも見据えた契約内容が望ましいです。
類似制度との比較
ワーキングホリデービザは特定活動の一種ですが、就労ビザや留学ビザと比較すると目的・就労制限・在留期間で大きく異なります。自身の目的に応じて適切な在留資格を選択することが重要です。
| 比較項目 | ワーキングホリデー | 就労ビザ | 留学 |
|---|---|---|---|
| 主な目的 | 休暇+付随的就労 | 就労(専門職) | 教育機関での学習 |
| 就労制限 | 風俗営業等を除き制限ほぼなし | 資格の範囲内 | 資格外活動許可で週28時間まで |
| 在留期間 | 原則6か月または1年(最長2年) | 5年・3年・1年・3月 | 4年3月・4年・3年3月・3年など |
| 対象年齢 | 18〜30歳(一部25歳) | 年齢制限なし | 入学する学校の対象年齢 |
ワーキングホリデーは青少年の国際交流と短期就労を目的とした特別制度で、就労ビザや留学ビザとは位置づけが異なります。
長期就労を想定する場合はワーキングホリデー期間中に就労ビザへの切り替えを検討することになりますが、切り替えには受入企業での正式な雇用と資格該当性の立証が必要です。
よくある質問
Q. ワーキングホリデーは何回でも利用できますか?
A. 原則として生涯1回のみの利用です。同じ国・地域に対して2回目の申請はできないのが基本ルールで、日本のワーキングホリデーも一度しか利用できません。
ただし、オーストラリア等では一定の条件を満たせばセカンドビザやサードビザとして延長利用できる国もあります。日本のワーキングホリデー制度では原則更新・延長が認められないため、期間満了前に別の在留資格への変更を検討する必要があります。
Q. ワーキングホリデーから就労ビザに変更できますか?
A. 変更は可能です。技術・人文知識・国際業務や技能ビザなど、該当する就労ビザの要件を満たせば在留資格変更申請ができます。受入企業での正式雇用と、業務内容が資格に該当することの立証が必要です。
変更には通常1〜3か月の審査期間が必要なため、ワーキングホリデー期間の満了までに余裕を持って申請することが重要です。審査中に期間が満了する場合でも特例期間中は滞在が認められますが、就労は原則不可となるため注意が必要です。
Q. ワーキングホリデーで家族を同伴できますか?
A. ワーキングホリデービザは単身での来日が原則であり、扶養家族の同伴は認められていません。配偶者や子を連れての来日はできません。
家族が別途短期滞在ビザで来日することは可能ですが、家族滞在ビザでの長期同伴は不可です。家族と一緒に日本で生活したい場合は、就労ビザや結婚ビザなど別の在留資格を検討する必要があります。
Q. ワーキングホリデーでフルタイムの就労はできますか?
A. 労働時間の制限はないため、結果的にフルタイム相当の就労も可能です。しかし制度の趣旨は休暇目的の滞在であり、就労のみを目的とする利用は本来の趣旨に反します。
入国審査や在留期間更新の際に、実態としてフルタイム就労のみを行っていると判断された場合、制度の濫用として問題視されるリスクがあります。旅行・学習・就労のバランスを意識した滞在計画を立てることが推奨されます。