用語集 在留資格・ビザ関連

法律・会計業務ビザほうりつかいけいぎょうむびざ

法律・会計業務ビザとは?

在留資格「法律・会計業務」とは、日本の法律に基づく法律・会計分野の国家資格を有する外国人が、その資格の独占業務を日本で行うために付与される就労系の在留資格です。

対象は11種類の士業で、弁護士・公認会計士・税理士・司法書士・行政書士などが含まれます。資格保有のみでは不十分で、各士業団体への登録完了が必須条件となります。

在留期間は5年・3年・1年・3月のいずれかで、家族帯同や永住申請も可能です。外国の国家資格だけでは認められず、日本の試験合格または外国法事務弁護士・外国公認会計士としての法務大臣の承認を受けた上で日本の団体に登録する必要があります。

単に士業資格を持つだけで企業法務部などで働く場合は、技人国が適用されます。

制度の背景

在留資格「法律・会計業務」の対象となる11の士業はいずれも業務独占資格であり、無資格者が業務を行うと法律違反となるため、外国人が従事するには適切な国家資格と団体登録が前提条件となります。

制度の特徴は、単に資格を持つだけでなく資格の独占業務に従事することが要件である点です。例えば弁護士資格を持っていても、企業の法務部員として働く場合は独占業務ではないため技人国が適用されます。

外国法事務弁護士・外国公認会計士については、外国の弁護士・会計士資格+3年以上の職務経験+法務大臣の承認などの独自の要件が設定されており、国際的な法務・会計業務の需要に対応する仕組みとなっています。

主な種類と要件

対象となる11種類の士業は、分野別に大きく「法律系」「会計系」「その他の士業」に分けられます。それぞれ所属する団体と登録要件が異なるため、自身の資格に応じた手続きが必要です。

① 法律系資格

対象資格弁護士外国法事務弁護士・司法書士・土地家屋調査士・行政書士・海事代理士
登録先日本弁護士連合会(日弁連)・日本司法書士会連合会・日本行政書士会連合会など各団体
主な取得要件日本の国家資格取得+団体登録/外国法事務弁護士は法務大臣の承認+日弁連登録が必要

外国人が日本の弁護士として働くには、司法試験合格+司法修習+弁護士登録が必要です。

外国法事務弁護士制度は、外国の弁護士資格を持つ者が本国法等に関する法律業務を日本で行うための特別制度で、法務大臣の承認日弁連への登録の2段階の手続きを経ます。3年以上の外国弁護士としての職務経験、誠実な職務遂行意思、損害賠償能力などが承認の条件です。

② 会計系資格

対象資格公認会計士外国公認会計士・税理士
登録先日本公認会計士協会・日本税理士会連合会
主な取得要件日本の公認会計士試験・税理士試験合格+団体登録/外国公認会計士は内閣総理大臣の承認が必要

公認会計士は公認会計士試験合格+実務補習+修了考査を経て日本公認会計士協会に登録します。外国公認会計士制度は、外国の公認会計士資格を持つ者が日本で業務を行うための仕組みで、内閣総理大臣の承認を受けた上で協会に登録します。

税理士はさらに特別な要件があり、公認会計士・弁護士からの登録や税務官公署での実務経験でも資格取得可能です。

③ その他の士業

対象資格社会保険労務士・弁理士
登録先全国社会保険労務士会連合会・日本弁理士会
主な取得要件各国家試験合格+所定の実務経験または研修の修了+団体登録

弁理士は特許・商標などの知的財産に関する専門家で、グローバル化する知財業務で外国人弁理士の需要が高まっています。社会保険労務士は人事・労務の専門家として日本の労働法制を扱います。

外国人にとっては日本語での試験合格という高いハードルがあり、実際の取得者は限定的ですが、国際ビジネスの増加により今後の需要拡大が見込まれます。

立場別の実務ポイント

法律・会計業務ビザは、申請者本人の資格取得と団体登録が最も重要です。雇用主側も、資格の独占業務との適合性を明確化することが審査で問われます。

申請する士業者本人

国家資格と団体登録の完了

日本の国家資格取得後、各士業団体への登録を完了させる必要があります。団体登録証明書が申請に必須で、登録しないまま業務を開始することはできません。外国法事務弁護士・外国公認会計士は法務大臣・内閣総理大臣の承認手続きも別途必要となります。

業務形態の設計

独立開業するのか、既存の法律事務所・会計事務所に雇用されるのかを明確にします。独立開業の場合は事務所の賃貸契約・業務計画を整備し、雇用の場合は雇用契約書で業務内容を具体化します。企業内の一般職として働く場合は技人国が適用されるため、資格を活用した独占業務に従事する必要があります。

雇用する法律・会計事務所

業務内容の明確化

雇用契約書では、外国人士業者が独占業務に従事することを明記します。例えば弁護士なら「訴訟代理・法律相談」、税理士なら「税務書類の作成・税務代理」など、資格の独占業務と具体的に紐付けた記述が必要です。単なる事務補助・翻訳業務だけでは法律・会計業務ビザに該当しません。

報酬水準の確保

士業者としての適正な報酬を支払うことが重要です。新人弁護士・会計士でも年収500〜700万円程度が一般的で、これを大幅に下回ると審査で不許可になる可能性があります。業界標準の給与水準を参考に、適切な報酬設計を行うことが必要です。

類似制度との比較

法律・会計業務ビザは、資格がなくても就ける一般的な就労ビザとは明確に区別されます。類似する資格との違いを整理することが重要です。

比較項目法律・会計業務技術・人文知識・国際業務医療
対象11種類の士業資格者専門知識を活かす業務14種類の医療国家資格者
資格要件日本の国家資格+団体登録学歴または実務経験日本の国家資格
業務内容独占業務専門業務(独占業務でなくても可)医療業務
外国資格の扱い外国法事務弁護士等の特例あり外国の学歴・職歴で可原則として日本の資格のみ
在留期間5年・3年・1年・3月5年・3年・1年・3月5年・3年・1年・3月

法律・会計業務ビザは11種の士業独占業務、技人国は専門業務全般、医療は14種の医療業務というそれぞれの棲み分けです。

弁護士資格を持っていても企業法務部員として働く場合は技人国となるなど、業務内容によって適用資格が変わる点が重要なポイントです。

よくある質問

Q. 外国の弁護士資格だけでは取得できませんか?

A. 日本の弁護士資格または外国法事務弁護士としての承認・登録が必要です。外国の弁護士資格を持っていても、そのままでは日本で弁護士業務はできません。

外国の資格を活かして日本で活動したい場合は、外国法事務弁護士制度を利用する道が一般的です。法務大臣の承認と日弁連への登録を経ることで、本国法・外国法に関する法律業務を日本で行うことができます。

Q. 企業の法務部で働く弁護士はどの在留資格ですか?

A. 弁護士の独占業務を行わない場合は、「法律・会計業務」ではなく「技術・人文知識・国際業務」が適用されます。企業の法務部員・コンプライアンス担当は一般企業従業員として扱われるためです。

ただし企業内弁護士(インハウスローヤー)として弁護士登録を維持し、法律相談・訴訟対応などの独占業務を行う場合は法律・会計業務ビザも選択肢となります。どちらが適切かは業務実態で判断されます。

Q. 外国公認会計士制度はどう違いますか?

A. 外国公認会計士は、外国の公認会計士資格を持つ者が内閣総理大臣の承認を受けて日本で会計業務を行える制度です。業務範囲は外国法に関する会計業務や国際税務などに限定されます。

日本の公認会計士と同じ範囲の業務を行うには、改めて日本の公認会計士試験を受けて資格を取得する必要があります。国際的な監査法人では両方の資格保有者が求められることも多く、キャリアパスとして両資格取得を目指す外国人会計士もいます。

Q. 永住申請は可能ですか?

A. 可能です。一般的な就労ビザと同様に10年以上の在留実績などの要件を満たせば永住申請できます。士業者は高度な専門職として高度人材ポイント制での優遇も受けやすく、70点以上で3年、80点以上で1年の短縮が可能です。

独立開業している士業者は高い収入が見込まれるため、永住要件の独立生計を満たしやすい職業です。納税・社会保険の完納を徹底し、継続的な業務実績を示すことで永住許可取得を目指せます。

参考資料

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